第6話 パンとベーコン

ごんたろのお陰で、無事、囲炉裏の準備ができた。

自分が囲炉裏にあたりたいからかもしれないが、頼もしい。


頭を撫でてやると、目を細めて額を手に擦り付けてくるかのようにした。

嬉しいようだ。


ごんたろが暖房の部屋より囲炉裏が好きなのは、炎系ドラゴンであることと関係があるのかもしれないな、などと考察していると、新島が紙袋を持ってやってきた。


「これ、囲炉裏で焼こーや!」

紙袋にはパンと吊るしベーコンが入っていた。

この近辺のパン屋と畜産メーカーのものらしい。


新島は五徳を囲炉裏の空いたスペースに置き、その脚を灰に埋めた。

その下に、熾火おきびと呼ばれる炎を上げずに燃える状態の炭を置く。

五徳の上には網を乗せ、そこで食パンを焼きはじめた。


「これであとは焼けるのを待つ……と」


さらに別の場所では、切ったベーコンを焼き始めた。


焼けてきた食パンに、バターを乗せる。

溶けていく香ばしい匂いが、すでに美味しい。


匂いに反応したのか、ごんたろがそわそわとわたしの方にやってきた。


口からべちょべちょと涎が垂れている。

あぐらをかいたわたしの脚の上に乗ってくるものだから、わたしのズボンは涎まみれだ。


ごんたろは昨日孵ってから、まだ何も食べていない。

いろいろ試してみたが、白湯を飲むばかりで食べようとしなかったのだ。


「これって、ごんたろに食べさせてもいいのかな?」


「どうせ何食べるかわからんのやし、あげてみようや」


というわけで、皿を三枚用意して、それぞれに焼けたパンとベーコンを乗せた。


「できた、できた。めっちゃ美味そう! はよ食お!」


「すでに美味びみ確定の匂いしてる」


「ンあ! ンあ!」


待ちかねたような勢いで、ごんたろがベーコンに齧りついた。


味わうように噛んで、飲み下す。

大きな目をうるうる輝かせて、ほぅ、と息をついた。


「なんや。こいつ、えらいグルメやなぁ」


「もっと食べな。わたしのベーコンも半分あげるよ」


皿に追加してやると、すぐに平らげる。


わたしたちも、焼きたてのうちに食べる。

食パンにベーコンを包むようにして口に入れる。


これは……。


 食パンは外がサクっ中がもちっとしていて、これだけでも十分に美味しい。

そこにバターがしみ込み、もはや反則的な味わいである。

肉厚に切ったベーコンはジューシーに焼けていた。


ごんたろはいち早く完食して、座布団の上に寝ころんだ。

ぽっこりと膨れたお腹が、破裂しそうにぱんぱんだ。


「人生初の食事が、囲炉裏で焼いたパンとベーコンとは……」

「こりゃ口の肥えたドラゴンになるで」


どこか蕩けるような表情でご満悦のドラゴンに、わたしも妙に満足してしまった。

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