ガソリン税廃止!来年はいい年になりますように。

αβーアルファベーター

もういくつ寝るとお正月

もういくつ寝ると、お消滅


◇◆◇


――暫定税率という名の妖怪退治


日本には昔から妖怪が多い。

ぬらりひょん、のっぺらぼう、そして――

暫定税率。


こいつは厄介だ。


「すぐ帰ります」と言って上がり込み、

気づけば何十年も居座り、

冷蔵庫の中身まで勝手に使っている。


しかも名刺にはこう書いてある。


「※一時的です」



◇◆◇


「暫定」と書いて「永住」と読む


ガソリンを入れるたびに思う。

暫定って何年だよ。


1970年代に生まれ、

平成をぬるっと越え、

令和でも当然の顔で生き残る税金。


もはや暫定税率は税ではない。

文化財だ。

いや、呪いだ。


「政治のため」

「財源が」

「今は時期尚早」


その言い訳だけで、

国民は何リットル分のお金を吸われてきたのか。



◇◆◇


ガソリンスタンドは儀式会場


給油とは、ただの作業ではない。


価格表示を見て一瞬フリーズ

「高っ」と言う(義務というか強制)

それでも満タンにする(敗北)


この一連の流れは、

暫定税率への供物儀式である。


車社会の地方では特に深刻だ。


最近ならUber Eatsとかの仕事も増えてさ。


車を使うならお金を払え?

じゃあ仕事するなと言っているのと同じだ。


暫定税率はこう囁く。


「選択肢はない。でも請求書はある」



◇◆◇


そして来た、廃止という“噂”


2025年末。

ついに流れた一報。


「暫定税率、廃止」


……信じられるか?

あの妖怪が、成仏?


多くの国民は思った。


看板だけ外して中身は残るんじゃ?

名前を変えて復活するんじゃ?

「第二暫定税率」とか言い出すんじゃ?


疑うのも無理はない。

だって今までずっと、そうだった。



◇◆◇


だからこそ唱える呪文


ここで必要なのは祝賀ではない。


そこでこのキャッチコピー。


もういくつ寝ると、お消滅


お正月までにはお願いします!


これは願いではない。

カウントダウン付きの圧力だ。


「忘れないぞ」

「逃がさないぞ」

「成仏するまで見届けるぞ」


そういう国民の合唱である。



◇◆◇


消えるのは25.1円だけじゃないといいな


もし本当に消えるなら、

なくなるのは25.1円/Lだけじゃない。


「どうせ無理」という諦め

「政治は変わらない」という前提

「声を上げても無駄」という沈黙


それらも一緒に、お消滅してほしい。



◇◆◇


最後に一言


暫定税率よ。

長い居候生活、ご苦労だった。


もういくつ寝ると――

お消滅。


成仏したら、

二度と「暫定」の名で騙して戻ってくるな。


次に会う時は、

本当に一時的なやつだけにしてくれ。


いや、もう会いたくないが。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ガソリン税廃止!来年はいい年になりますように。 αβーアルファベーター @alphado

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ