第7章「未練の解消と二人の安定した日常」
朝の柔らかな光が未来の部屋を満たす。
未来は布団の中で目を覚まし、隣に悠斗の気配を感じる。
「おはよう、悠斗」
小さくつぶやくと、心の中で優しい声が返ってきた。
「おはよう、未来」
未来はゆっくりと起き上がり、昨日の出来事を思い返す。
――悠斗の過去の影は完全に消え、心に温かい余白が残った瞬間だった。
台所で朝食を準備する未来を、悠斗は静かに見守る。
「卵焼き、今日はうまくできそうだね」
「うん、悠斗がいると安心して作れる」
二人の朝は、当たり前のようでいて、特別な時間。
幽霊であることや過去の事故も、今では二人の絆を深める要素になっている。
大学に向かう陸橋で、未来はふとつぶやく。
「ねえ、悠斗。もう過去に縛られなくていいんだよね?」
悠斗は静かにうなずく。
「うん。君と一緒にいる時間が、僕にとって一番大事だから」
未来は胸の奥で温かさを感じ、自然に笑みを浮かべる。
――怖がらなくてもいい、悲しまなくてもいい、悠斗と一緒なら。
授業中も未来は悠斗の存在を感じながらノートをとる。
悠斗も隣で静かに見守るが、もう不安や未練の影はない。
「ここ、少し違うかも」悠斗が小さくメモを残すと、未来は笑って訂正する。
「ありがとう、悠斗。あなたと一緒ならどんなことも乗り越えられる」
放課後、未来と悠斗は陸橋を歩く。
「今日は夕陽がきれいだね」未来がつぶやくと、悠斗も見上げる。
「本当に。こうして一緒にいられるだけで幸せだ」
家に戻ると、夕食の支度を始める未来。悠斗も隣で静かに手伝うふりをする。
「今日はハンバーグにしようか」
「いいね、僕も楽しみだ」
未来は鍋をかき混ぜながら思う。
――過去の影が消えても、幽霊の存在は変わらない。
でも、それが自然で、温かくて、当たり前になっている。
夜、布団に入った未来はそっとつぶやく。
「悠斗、これからもずっと一緒だよ」
悠斗の気配が優しく未来を包む。
「もちろんだよ、未来」
二人の共同生活は安定し、日常は非日常と混ざり合いながらも、かけがえのない時間を紡いでいる。
陸橋、大学、家…どこにいても、悠斗の存在が未来に安心と喜びをもたらす。
夢の中でも、二人は陸橋を歩き、話し、笑い合う。
幽霊であることも、過去の影も、すべて二人の関係を特別にしていた。
不思議で温かい時間が、今日も確かに、そしてこれからもずっと流れていく――。
未来と悠斗、二人の絆は完全に結ばれ、ハッピーエンドを迎えた。
君と、歩くあの陸橋 春馬 @haruma888340
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