第2話「燕饗、牛を投げる」

 項烈と孫炎は挙兵して放浪軍となった。目指す場所は参壬、強辰将軍のいる場所である。まずは将軍と合流し、陳鵜討伐の助太刀をして武名を高めようと考えたのだ。

 参壬に向かって北上している道中項烈軍は憧憬という村の横の広大な麦畑を通り過ぎようとしたとき、烈は倒れている男を見つけた。その近くでは大きな牛が一頭、湯気を立てながらこちらを見ている。恐らくは盗人が牛を盗もうとしてしくじったのであろう。牛は烈と目が合うと烈に向かって突っ込んできた。

「危ない!!」

 烈に向かってくる巨牛を止めようと兵が剣を抜いて烈の前に立ち庇う。その時であった。麦畑から素早く大きな男が飛び出してきたかと思うと牛の角を摑んで取っ組み合った。そして自分の倍はあろうかと巨牛を投げ飛ばす。すると烈が目を丸くして大男に尋ねた。

「これは驚いた、なんという怪力だ。そこの御人、名はなんと申される?」

「はっ!拙者は燕饗と申します。この村で父と商売をやっているのですが中々性に合わず、考えながら歩いていたところ牛が盗まれているのを見つけまして慌てて探したらこの有様で御座います。ご無礼をお許しください」

「いやはや気に入った。その馬鹿力を腐らせておくのは実に惜しい、是非ともあなたの力を私に貸してほしい。わが軍の武将にならないか?」

「拙者でよければ喜んで!」

 こうして万夫不当の大男、燕饗が項烈軍の陣に加わえられた。

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楚公伝 猫又大帝 @molavia

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