古い柩

古い柩に眠る少年は

もう誰も見つめない

瞳の輝きは失せ

ひたすら眠るだけ


彼の脳裏にあるものは

無か寂

あるいは悔だろうか


彼は身動きせず

柩の中で眠りを貪っている

時折

無邪気な微笑みを見せるが

それ以外は邪気のみ


気怠げに起き上がる

彼の細い腕の乾いた皮膚

彼には潤いが足りない


胸の中には

風が吹き荒び

唸り声を上げていても

その顔は冷たい


彼が自分を取り戻せるのは

この柩

その狭き なか

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