第2話 STAR MOON

7時58分。

月詠はノートパソコンを開いて、頫麯楪ルーレーチャーにログインする。

ログインできたらライブのアイコンをクリックすると、ライブ配信画面に飛んだ。

すでに何人もの人がライブ開始をまっている。

スゥッと息を吸う。

「よし」

静かにそう言って音声オンのボタンをクリックした。

「皆さん。こんばんは〜。生でお話しするには初めてですよね。僕が、STAR MOONで〜す」

そう言うと、コメント欄が一気に騒がれる。

「ふふ。いい反応だね。と、いうわけで、今回は、告知通り、リクエストに答えながら、春をイメージした女の子を描いていくよ〜」

更にコメント欄が騒がしくなる。

「なになに〜、『学生がいいです!』『髪はロングで!』なるほど〜。よし!じゃあ、描いていこー!」

月詠はノートパソコンを操作して、絵を描く画面に移動する。

「まずは、ラフを描いていくよ〜。ラフは、青い薄いペンで、大体のポーズを決めます」

説明中にも同接続者は増えていき、もう万を超えている。

「はい。どんなポーズがいいかな〜」

コメント欄でリクエストが溢れかえる。

月詠は一つ一つ、コメントを見過ごさないように、しっかりとチェックしていく。

「みんな、たくさんのコメントありがとう。じゃあ〜今日は〜IKTさんのコメント『桜見ながらお団子を食べている』これにします。ちなみに、選ばれた人には、特別にアイコンを描く企画も用意してるので、みんな目に留まるようなリクエストよろしく〜」

コメントが更に勢いを増して増えていく。

月詠はタッチペンを走らせて、アタリを描く。

「アタリ完成。どんどん描いていきまーす」

そう言ってちょくちょく話しながらペンを走らせる。

その間も、月詠はコメントから目を離さない。

「質問来てるね。えー『なにを使っていますか』。使っているものは、郭畫繹レーリーっていうお絵描きアプリ。アプリ内で配布されている線画ペンWを使ってる。塗りのペンはテキトー。きょうはハードペン」

コメントに、自分も使ってる!や、使ってみる!などのコメントが並ぶ。

「次の質問。『アイコンの子のキャラデザの理由は?』アイコンの子って…これだよね」

月詠はアイコンをクリックする。

すると画面いっぱいに茶色いショートでヘッドホンをつけ、水色のパーカーを着た少年のイラストが映る。

月詠が使用しているアイコンイラスト。

「この子、まんま自分で、自分の姿をミニキャラ化しただけなんだよね〜」

可愛い!などのコメントが並ぶ。

「可愛い?ありがとう」

そんなこんなで質問に答えたりしているうちに、絵の大部分はできてきた。

あとは目の塗りだけだ。

月詠は改めて全体を見る。

いつもとは違い、春ということとリクエストに答えていたと言うこともあり、全体的に暖色系。

「よし。あとは目だけ。やってくぞー!」

月詠は目に塗りを入れていく。

ペン先が一瞬だけ止まった。

「目とか、イラスト描くときには、細かいとこまでこだわってるよー。例えば、今塗ってる目。まだ塗ってないけど、目だけでだいぶ印象変わるからね。本当に。色が違うだけで、全く違うの」

目の線一本一本丁寧に描く。

「最後に目にハイライトを入れたら…できた。今日の絵。春のイメージの女の子です」

できたイラストは、女の子が団子を食べているもの。

視線の先には桜。

今回も、少し儚く寂しさを思わせる表情。

「今回、桜の咲いている期間は短ってことで、桜はすぐに散ってしまうから、少し寂しいよな〜って思いながら描きました。どうだろう。これも頫麯楪ルーレーチャーにあげときまーす。よかったら見てね!それじゃあ、楽しかったです!明日も来てね〜!」

そう言って月詠はライブ終了ボタンをクリックした。

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