ヘドホン‼︎
Veroki-Kika
第1話 話題の投稿
「なあなあ!
「んー?」
昼休みに入ったばかりで騒がしい教室のある一角。
男子が、
「月詠!これみてくれよ!」
「ん?なーに?
霊璽は月詠の前の席に腰掛けて、椅子を反転させ月詠と向き合う。
持っているスマホには、動画イラスト投稿アプリのログイン途中の画面が映っていた。
「
「そうそう!今めっちゃ話題になってる『STAR MOON』の今日上がった新作イラストがめっちゃ良くて!」
そう言いながら霊璽はスマホの画面を操作して、月詠にずいっと突きつけるように見せる。
スマホ画面には、少年のイラストが映っていた。
「ふ〜ん」
「この色とか、めっちゃ良くないか!?この淡い水色が、この少年の儚さを演出してるんだろーなー!」
「そうかもね」
「あとあと…!」
霊璽は頬を赤くさせて、マシンガントークで話し続ける。
(よくここまで勢いよく早口で喋れるな〜)
それを片耳で受け取って片耳で流しながら、月詠はもう一度、スマホに映っているイラストを見た。
淡い寒色系の色合いで統一されて描かれている少年は、斜め上をどこか寂しそうに見つめている。
その視線の先には青く光っている蝶が描かれていて、ふわりとした羽の様子まで繊細に描かれている。
まだ投稿されて数時間で、いいね数一万超え。
画面をスクロールさせて他のイラストを見てみると、他にもイラストや楽曲が山ほど出てきて、そのどれもがバズっている。
どれもこれもどこか寂しそうな儚いイメージのある、イラストに楽曲の動画のサムネイル。
(やっぱり…同じような雰囲気のものが多いな)
ふと、霊璽はマシンガントークをやめた。
「月詠はさ、こーいうのみんの?」
「ん〜どーだろ…あんましみないかも…。動画とかイラストって、あんまキョーミないんだよね」
「ふ〜ん…じゃあさ!そのいつもつけているヘッドホンからは、何が流れてんの?」
霊璽は目を輝かせて月詠のつけているヘッドホンを指差す。
月詠はヘッドホンに軽く手を当てた。
ヘッドホンは白く、黒いラインが入っている。
「これ?……音楽かな」
「へぇ〜!どんなやつ?」
「説明がむずいけど…う〜ん…落ち着いた感じのやつ。なんか聞いてると、心が落ち着いて、喋る前とか、そーいうときになんか慌てたりしずに落ち着いて話せたりするんだよね」
「ふ〜ん。それ、授業中も休み時間も、ずっとつけてるよな〜。お気に入り?」
「うん」
「へ〜」
モッキュモッキュと食べながら、霊璽は口を開く。
「ふぉーいえふぁ、ふひひょ、ひっへる?おういはわ、なんかうかひのおはななひみはがひてるらひいね」
「なんて?全くわからない。解読不能。飲み込んでから喋れよ」
「そーいえば、月詠知ってる?王子はさ、なんか昔の幼馴染探してるらしいね」
「ふ〜ん…」
霊璽はスマホの画面を操作して、ニュースアプリを開く。
「この話、
ずいっと突きつけられたスマホには、ツキヨと書かれている下に、茶髪で赤目の少年のイラストが描かれている。
探しています、というタイトルと、横には発行者として王宮と書かれている。
「ツキヨ…つきよ…お前と同じ名前じゃん!」
「ほんとだね」
霊璽は目を見開くが、月詠は特に動揺などせず、平然と自身のヘッドホンに触れた。
「まっ。僕らみたいなインキャ男子が、そんな王子様に目をつけられるなんてありえないからね〜。同姓同名の人違いでしょ」
月詠はそんなことを言いながら伸びをすると、霊璽も、確かにそうだな、と言った。
「珍しいよな。つきよって名前」
「そうかもね」
「俺は好きだぜ!その名前!」
「それはどーも」
そんなことを話していると、霊璽が顔を綻ばせた。
「それよりもさ、今日からだぜ!あれ!」
「あれ?」
「そうそう!あの『STAR MOON』のイラストライブ!今日から明後日まで、八時から十時まで!」
「え〜またSTAR MOONの話?」
「いいからお前も一回家帰ったらみてみろって!めっちゃイラストも曲もいいから!」
霊璽の目がキラキラと輝いてスマホを操作。
そこにはさっきと同じアカウント・STAR MOON。
下には今朝投稿された少年のイラストの下に、昨日投稿された、ライブのお知らせ、と書かれたポスターが描かれている。
霊璽はそれをタップした。
ポスターはポップな雰囲気で、文字と、アカウントに使われている茶髪でヘッドホン姿の少年のイラストが添えられている。
「今日は春イメージの女の子!明日は夏イメージの男の子!明後日は秋イメージの女の子!STAR MOONのライブ配信って初だからさ…」
またもやマシンガントークで話し始める霊璽を横目に、月詠は窓から外を見る。
校庭や花壇には、昼休みということもあって人が多い。
ある一角には、大量の女子の人だかりができていて、真ん中には高身長の男子生徒が立っている。
(…苦手なタイプだな…ヨウキャってやつ…)
月詠はそこからすぐに目を逸らして、霊璽のマシンガントークに珍しく集中した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます