零 4
彼らに逃げられてしまった以上、自分達はどうしたらいいのだろうか。
よし、こうなったら___。
「おっきろぉ~!!零~~!!!おはよぉ~!!!!」
愛の声で目が覚めた。それにしても彼女は声がでかい。せっかく熟睡していたのに、一瞬で目覚めてしまった。
「うるさい。そんなでかい声出さなくたって俺は起きる。」
「あっ、零!起きたときにおはようって言わなかった!!言わないと朝じゃない~」
「はいはい、おはようございます。」
なんだか母親が戻ってきたみたいだ。口うるさいところが本当にそっくりである。
俺達が軍から脱出して1週間が過ぎようとしていた。今のところ追っては来ていないし、多分、このまま一生ここで愛と暮らすことになるだろう。
ん?待てよ。愛と一生を過ごす?それってほぼ結婚じゃ…。
「っっ…!」
声にならない声が俺の喉から発せられた。だって、異性と同じ家で一生暮らすなんて、カップルか夫婦くらいだろう。(※零の主観です。)
つまり、俺達は付き合っているのだろうか。でも、告白なんかしていない。一体俺達はどういう関係なんだろう…。
私の相棒の零はいつも冷静で、堅苦しかった。正直、そんなところが苦手だった。だけど最近は少しだけ笑ってくれるようになって、感情表現もしてくれるし、そんな彼を見ているとなんだか安心する。ああ、彼だって人間なんだって。
「ねえねえ、零」
「なんだ。」
「零って、やっぱり人間なんだね」
「今更なんだ。馬鹿にしているのか?」
突然愛に変なことを言われた。人間なんだって、そりゃそうだろう。そうしたら彼女は、
「いいや。なんでもない」
と言った。全く、意味が分からない。
「それより、これからどうするのか決めたのか?」
話題をそらした。そうしたほうがお互いのためだと思ったからだ。
「え?だからジャーナリストになるって」
「そうか。決意は変わらないんだな。」
「うん。零はどうするの?」
「そうだな。俺もジャーナリストになるよ。どうして俺達があの暴動の責任を取らなきゃならなかったのか知りたいしな。」
「零もジャーナリストになるのかぁ。じゃあ、二人一組でやろうね」
「そうするか。」
俺達はあの暴動の全貌を暴くため、ジャーナリストになることにした。
零軍曹と愛軍曹に逃げられたあと、僕らはこっぴどくしかられた。昇進も無しになった。昇進があれば、収入も上がって家族にもっといい暮らしをさせてあげれたかもしれないのに。
全ては彼らのせいだ。僕は彼らに復讐することに決めた。
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