第11話 陽助 vs ジャック

 一方その頃、陽助はジャックと交戦しており、彼の能力で操っている翼竜のプテラノドンの骸骨によって陽助を両足で掴んだ状態で、大空をロケットのように空を切り裂いて飛んでいた。


 プテラノドンの体重は約十五キロから二十五キロと言われており、この大きさの動物では考えられないくらい体重が軽い上に、骨の中身が空洞で非常に薄く、一般的に最も重くなる胴体部分の骨格も非常に小さい。


 まさに飛行に特化した体構造をしているため、ほんの僅かな時間であっという間に雲の中へ突っ込んで、高度数千メートルの上空まで到達した。


 そんな中、陽助は自分の身体をつまんでいる足の爪を無理矢理こじ開けて落下していった。掴んでいるものが無いと気付いたプテラノドンの骸骨は、落ちていった陽助の後を追って下降していく。


 そして双方の距離が縮まったところでプテラノドンが大きな嘴を目一杯開けて噛み潰そうとしたその時、辛うじて陽助が咄嗟に上に移動して避けた。


 嘴をパクッと閉じたところを両手で白刃取りのように両掌で合わせるようにガシッと強く挟んで掴み、そのまま乗っかるようにしがみついたが、そんな陽助を振り払おうと頭部を上下左右に動かしてジタバタする。


 たまらず振り払われて天高く投げ飛ばされた陽助を、今度こそ丸呑みしようとあんぐりと口を大きく開ける。このまま落ちてしまえば嘴の中で噛み砕かれてしまうが、それでも避けるどころか敢えてそこに飛び込んだ。


 そして空中ででんぐり返しして回転を加えながら強烈なかかと落としを決め、衝撃でプテラノドンの身体が「ガシャアアンッ!」と木っ端微塵に粉砕された。


 バラバラに空中分解していくそれを尻目に、陽助は彼に地面に着地し、その周りでは骨の雨が降っていた。さぞ焦っているだろうと思い、「どうだ」と言わんばかりの顔で後ろを振り返って目をやると、ジャックは悔しがるどころか寧ろ微笑んでいた。


「フン、それを倒したぐらいで喜ぶとは。余程気分がいいらしいな」と言うと、右手を天に向かって徐に突き上げる。


 すると、分厚い雲の中から数十体の大小様々なプテラノドンの骸骨が出現しあたりを飛び回り、嘴を広げて鳴き声を上げる仕草を取る。


「チッ、不完全な骨格の個体がチラホラいやがる」と、ジャックがそれらの大群を見渡しながら不服そうにぼやく。


 それらの中には、下半身が無かったり、頭が丸ごとなかったり、片方の翼が欠けている状態で辛うじて飛んでいる個体が散見された。やはり化石ということもあって、決して完全な状態で残っているわけではなかった。


「さっき倒した奴と同じのが、こんなにも……」陽助は、まさにこの世のものとは思えない光景に唖然として見ていることしかできず、恐怖すら覚えた。


「まだまだこんなもんじゃないぞ」とジャックがそう言うと、周りにはピナコサウルス、ユンナノサウルス、チアリンゴサウルス、更にはマメンチサウルスといった大型の恐竜の骸骨までもが大きな足音を立てながら近づいてきて、陽助を包囲する。


「ここは多くの恐竜の化石が眠るゴビ砂漠の近くだ。つまり、生き返らせて兵器として使役する死骸を無限に量産できるということさ。一頭倒した程度でぬか喜びしてるようじゃ、骨が折れるだろうよ」


「……こんな時にダジャレかよ。下らねえ」


「フンッ」と、ジャックが突き上げた手を振り下ろそうとしたその時、空中で羽ばたいていたプテラノドンや地上にいる他の恐竜の骸骨たちが、まるで雷にでも打たれたかのように次々と木っ端微塵に破壊されていく。

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