第7話 洸太 vs クロエ①
「陽助えええ!」と、洸太が叫んで救助に向かおうとするも、クロエがビッグディッパーを振って行く手を阻む。
「なぁによそ見してんのよ。あんたの相手はあたいでしょ?」と、強烈な飛び蹴りを繰り出した。
彼女の蹴撃を受けて怯んだ洸太の背後に回り、首を狙って得物を振り回す。洸太はそれを先読みしてしゃがんだところ、クロエが素早く出した足によって頭を踏まれ、そのまま地面に押さえ付けられて身動きが取れなくなった。
「これでお終いね」と、今度こそ確実に首を狙えると踏んだクロエが力いっぱい武器を振り下ろしたその時、洸太が近くにあった飛行機の翼の一部を念力で飛ばしてきて、それがクロエに直撃し、衝撃で数メートル後方へ地面を転がっていった。
そうしてクロエを退けた洸太が陽助のところへ向かおうとしたところで、右足首を掴まれてそのまま一思いに地面に叩き落とされた。
また同じ手を受けまいと、掴まれている足と掴まれていない足を交差させて手首を捻ると、クロエは「うぉ!?」と、体勢を崩して背中から豪快に倒れ込んだ。
そうして、洸太は足で拘束した彼女の手から得物を取り上げようとしたその時、クロエがビッグディッパーを水平に振り、洸太は咄嗟に離れて後ろへ跳んで距離を取る。
着地した瞬間、ビッグディッパーが自分の方へ向かって一直線に飛んできていることに気付き、呆気に取られて避け切れず、柄の先端が腹部を強く突かれた。少し強い力で突かれただけなのでそこまで痛みは感じなかった。
「アッハハハァ! ヒアウィーゴォーウ!」しかし攻撃はここで終わらず、クロエが陽気に叫びながら、空中で留まっているそれを土台にしてピョンッと高く跳躍し、体操選手のように華麗に身体を前後左右に数回捻った後、真横に着地したと同時に先ほどまで使っていたテーブルスプーンを洸太の顔の間近で振る。
「サクッ」という音が響き渡り、洸太は後ずさりする。額の右側の皮膚がスプーンで掬い取られて血を流していた。洸太はこの時、そういえばクロエはテーブルスプーンも使って戦っていたということを思い出した。
その隙にクロエが勢いよく体当たりして洸太を突き飛ばし、彼が態勢を崩したところを狙って、引き寄せたビッグディッパーを握って力強く水平に振る。しかし、クロエがそれを振る直前で、洸太は瞬時に地面を蹴って飛び上がってから数メートル後方に着地したため、免れた。
「くっ……そんな細い体なのに、なんてパワーとスピードなんだ」と、スラッとした華奢な体型と、およそ戦闘に不向きな服装からは考えられない程の卓越した身体能力を持ち、そこから超絶的な身のこなしを遺憾なく披露するクロエの優れた実力。そしてそれを可能にしたシャードの力に、驚きを隠せない様子。
「フンッ、あんたらみたいな模造品なんかと違うからに決まってるでしょ!」と罵倒し、これ見よがしにテーブルスプーンに付着した血を舐めて、ポイッと乱暴に投げ捨てる。
一瞬の油断すら許さない攻撃の連続と、陽助のところへ助けに行けないもどかしさに、洸太は苦虫を噛み潰したような顔つきでクロエを睨み付ける。
「向こうへは絶対に行かせない。あんたはここで死ぬんだからぁ」と、狂った笑みを浮かべ、いつの間にか手にしていたビッグディッパーを両手で握って先程見せた「
「さて、これで本っ当にお終いね」
それを受けて洸太は、クロエに向かって猛ダッシュして距離を詰める。その瞬間、洸太は自分の中で“何か”が再び「ドクン」と鼓動するのを感じた。
≪なっ……ま、まただ……今度は気のせいなんかじゃない……! 何だ、この気持ちは……この衝動は! それに……体が、急に……力が、スピードが、増して……!≫
と、身体共に異変が生じて戸惑うも、今はどうすることも出来ず、クロエを振り切ることに集中しようとする。
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