卒論妹

「『万能妹に卒論も丸投げ──』」

「！？」

「『卒業論文　妹』で調べてたらヒットしました」

「それどういう検索？　ていうか『卒論』と『妹』って検索窓に同居することあるんだ？」

でもさ──

「僕、これでも一応大学で4年間勉強してきたんだからね！？　高等教育なんだからねっ！？」

一応フル単で、GPAも上位数パーセントで、結構ちゃんと真面目に勉強してきたんだよ……？

なのに、そんな僕がやってる研究が普通の高校生にできると思われちゃ困りますよ。

「兄さんは何についての論文を書いてるんですか？」

「えっと、情報セキュリティ的な？」

「ちょっと見てみたいです」

「……別にいいけど、見てもよく分かんないと思うよ？」

まあ、後でプレゼン用のスライドを見せてあげようかな。

/*a few moments later*/

「ここって、複数回独立に検証を行ったってことですか？」

「え？　あ、ああ、うん……」

……確かに、読者に分かるように明示されてなかったかも──

「あと、ここの計算式の変数名誤字じゃありませんか？」

「……ほんとだ」

高校生に英単語のスペルミスを指摘され──

「この付録に載ってるコードはPythonなので何となくは読めましたが、しかし使われているモジュールの内容が私には分かりませんでした」

「ああ、うん……そう……Python分かるんだ……」

──これ以上はセカンドオーサーに妹を書くことになってしまうから、という情けない理由で僕はPCの画面を閉じた。