第3話 会敵
今俺たちはささっと買い物を済ませて、今商店街を抜けるところだ。
「ここ楽しいとこだな!」
「食材しか買ってないのにか?」
「いや、景色が楽しい!見るもの全部が初めてなんだ」
ふと、気になって聞いてみた。
「……なあ、研究所?はどんなとこだったんだ?」
「ん?壁床天井全部が白色、全部退屈!研究も僕はひたすら父さんから言われたことをしてさ」
研究……いったい、どんなえげつないことが行われていたのだろう。
「何をさせられていたの?」
「えー……例えば……最近では図形の方程式とか……複素数平面?」
普通の高校数学だ……
「あと、文章を読んで、筆者の気持ちを当てるやつとか」
普通の現代国語だ……
なにかこう、……もっとやばいものだと思ってたけど、意外と普通だな…
「それで、そんな毎日に飽き飽きしてさ、ある時逃げれたから逃げたってことさ」
研究されてるけど、意外と普通だなと思う。
「出てきた判断は間違ってなかったね、外はこんなに素晴らしいものとは……期待以上!あのカップラーメンもはじめて食べたし、はじめて他人の家に上がった!」
まだ彼が「研究所から逃げ出した人間」と確証が得られたわけではないけど、彼の目にははじめて知った喜びを感じされる輝きがあった。
「まあ、喜んでくれてよかったよ」
「ッ……!?」
グイッ
すると、突然 アラタが俺の腕を引っ張って道の外れに走った。
「そっちじゃないぞ!?」
「敵!家出る前になんかいるって思ってたんだ!ちゃんと追われてた!」
敵!?シンさんが通報してくれたのか!?と思っていると、俺たちは空き地に着いた。そこは行き止まり、ここで隠れるのか?というか敵?いるのか?足音も何も聞こえない。
「うわあ!行き止まり!道分からん!」
どうやら普通に迷ってるみたいだ。
「なー戻ろうぜ、誰もきてねーよ?」
「いや本当に誰かがついt……」
ドォン!!
突如謎の物体がものすごい勢いで、彼らに飛んできた。
俺は何が起こったのか分からない。土埃が舞う、あまりの爆音で耳鳴りがする。
「な…に……?」
周囲がはっきり見えてくる。なんと、辺りに舞った土埃はアラタがかざした手の空間の歪みに吸い込まれていった。
驚いたのが俺たち二人とも無傷だったということ。あれほどの衝撃で無傷……
アラタは周囲を囲んでいる建物の屋根を見上げている。おそらく攻撃が飛んできた方だろう。
そこには、黒服にメガネの男がいた。たぶんあの人がなにかを飛ばしたんだ。
「もしもし…発見しました。」
男は電話で仲間に連絡してるようだ。
俺は急いで、俺たちは戦う意思がないことを伝えようとするが。
男は仲間にこう言う
「はい、標的二人、おそらくどちらも逃げ出したものだと思います。」
ひ、標的二人!?俺も入れられてるの!?
「まって!!俺はただの一般市民でー…
男は俺の話を聞く前に再び追撃を放った。
アラタは攻撃の前に男の動きを察知し、
「カズトキ!離れないで!」
ドォン!!ドドォ!!
また土埃!鼻と口を抑え、薄目で周囲を見る。逃走経路?、どうする?、話し合い?なんで俺も巻き込まれてるんだ?、あいつは悪者?いろいろ思い浮かんでくる。
「やはり報告通り攻撃を防ぐか……ここはとりあえず、応援が来るまで閉じ込めさせてもらう」
男が屋根に手をつけると、俺たちがいる空き地と建物の境が光った。
「結界術!?」
アラタがすぐさま反応して、俺を引っ張って空き地から出ようとした。
「この結界術は使用した術師も内に残るという制約で発動が早い。もう、逃げるのは諦めろ」
なんだあいつペラペラと
するとアラタはさっきここに入ってきた道に向かった。結界はもう閉じようとしている。
すると、アラタは地面に触れて、凹みを作った!
ドゴォ!
「早く通るよ!」
俺たちはすぐさま強引に閉じかかる結界と地面の間を通った。
その後、ダッシュでその場を離れる。
一方男、
「………え………まっ………………………俺出られ……………くっそぉおおぉぉ!!」
とりあえず走って逃げてる俺たち
「なんとか逃げきれたね!」
「まって!あの人なんで俺たち攻撃してきたの!?」
「わからん!けどたぶん捕まえようとしてる!」
こういうとき、どうしたらいいんだ?
このまま逃げたら……犯罪者?……いや、まさか、………
「ねぇ!カズトキ!君ん家の他に隠れれる所ない?」
「隠れる……?」
俺ん家以外で……?
その後、再びあの場所
「だからってなんでここに来たんだ!?」
俺は通報者のシンさんなら事情を説明できるんじゃないかと思って、再び訪ねた。「隠れれる所」には相応しくないが、……大人がなんとかしてくれると思ってやって来た。
「いやーこういうときに頼れる人、シンさんしかいないなーって」
「だかrッ……、………ふぅ、まぁ分かった。あと、俺は通報してないからな」
シンさん何もしてなかったんだ。
「俺てっきり通報してくれたもんだと」
「あー、したかったらするだろうと思ってな」
なんだそれは
でも、シンさんが通報者じゃないんならどうあっちに説明したらいいんだ。……このままじゃ俺も追われる……自分は無関係ですよ、そして、戦う意思はありませんよって伝えるのがこうも難しいものとは。
「もしかして俺たち指名手配!?」
「いや、それはないと思うよ」
アラタがベッドの上でアグラをかいて言葉を放った。
「まず、指名手配は犯罪者でしょ。僕たち罪おかしてないもん。たとえ"研究所から逃げ出した危険生物!"ってニュースとかで出ることはないと思う。」
「でも、根拠が……」
「あるよ、今日のニュース、「岡崎研究所で火災、負傷者20名」そもそも僕が逃げ出したってことも伏せられてた。たぶん、あっちは極力僕みたいなのがいたこと、隠したいんだろうね」
確かに……、その事には納得した。けど、そうとすれば……。
最悪な考えが脳裏に浮かぶ。
「俺たち……まさか……消される?」
なんか面白いことになってるな、と思うシンであった。
妖魔怪 有田くん @Aritakun
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