28日のクリスマス

gonnaru

28日のクリスマス

朝から、冷え込みの厳しい、

そんな朝。


ふと、呟いた。


「今日は、28日なんだな。」と。


もうずいぶん、昔の話になるけど、

まだ僕が、若い時の、そんなお話。


今の、時代とは、まるで、働き方が、

違い過ぎて。


働く事が、正義みたいな、そんな流れの時代。


休むってことが、罪の様な、

そんな、空気が、職場にはあったし、

そんな環境で、仕事をしていた僕も、

それが、当たり前だと、思っていた。


こんな僕でも、想う人はいたし、

彼女の優しさに甘えて、仕事ばかりしていた。


今思うと、二人で、多くは出掛けてもいない。


彼女の、行きたい所にだって、そんなには、連れていって、あげられては、

いない。


クリスマスは、二人で、一緒に過ごせたら、それだけで、良いよ。


そう言われていたのに、それすら、

叶えてあげられなかった。。。


24日から、27日まで、びっしりと、

残業コース。帰りも、真夜中。


クタクタに、疲れて、28日の朝。


27日で、夜勤明けから、そのまま、

仕事納めになり、28日から、

やっと、休みに入った。


彼女と、連絡を取り、クリスマスの事を、まず、謝ってから、一緒に、

食事を取りに、出掛けた。


「ごめん。クリスマス、終わっちゃったけど、今日は、好きなもの、

何でも、食べて。」


そう、気まずそうに、言う僕に、

ふんわりとした、優しい笑顔で、


「目の下に、くま出来てるよ。

ちゃんと、眠れたの?」


そう言って、僕の顔を、

両手で、包むと、そっと、目の下を、優しく、親指で、なぞる。


「あ、いや。午前様だったから、

帰りがさ、でも、三時間くらいは、

寝たんだよ。」


そう、苦笑いをする僕に、


「はぁ。」


と、ため息をつく彼女。


「あ、でも、ありがとう。今日は、

朝から、出掛けられて、嬉しいから。」


少し、心配そうな、顔で、彼女が、

微笑んで、そう言ってくれたお陰で、

僕の、気持ちも、少しだけ、軽くなった。


ファミレスで、二人で、ゆっくりと、

過ごす。


彼女は、パスタを頼み。僕は、それに、合わせて、同じものを、注文した。


彼女が、紅茶。僕は、珈琲。


28日の、朝の、ファミレスには、

人が、殆ど、いなくて。

まるで、貸し切りの様だった。


「ねぇ。」


彼女が、嬉しそうに、僕の袖を、軽く摘まむと。


「貸し切りみたい。」


と、嬉しそうに、笑う。


「そうだね。」


僕も、思わず、笑うと、


彼女が、


「28日だけど、今日が、クリスマスだね。」


そう、笑顔で、僕に、微笑んだ。


「えっ?」


気まずそうに、笑う僕。


「24日の、クリスマスだったら、

こんな、貸し切り状態なんて、

なかったんだから。少し、遅れたけど、この方が、良かったね。」


とても、嬉しそうに、微笑む。


その笑顔が、とても可愛くて。


たまらない気持ちになった。


28日のクリスマス。彼女が、そう言った。


その日は、いつもより、少し、

雰囲気の違う、町並みを、二人で、ゆっくりと、過ごした、特別な、思い出となった。


28日のクリスマス。


普通なら、約束を守れなかった僕に、

一言くらい、嫌みを言っても、良かったのに。


そんなことを、思い出しながら、

その時の、優しさに、改めて、

ありがとう。


そう心に、呟いた。


町並みも、少し変わって、あの時の、ファミレスは、もう無いけど。


「思いやりの、ある言葉は、

何時までも、胸に残るね。」


懐かしい気持ちで、そう、呟いた。


28日のクリスマス。


君の、優しさが、作った、ただ、一度だけの、28日の、クリスマス。


昔の、お話。





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