第2話 試験と仲魔

 訓練の成果を見せるべくアカデミーへとおもむく。

 担任の教師である"モライ・アラタ"に声をかけ、別室へと進み。

 モライは部屋の窓際にパイプ椅子を置くと腰を掛けた。

「今回の出来はどうなんです?」

「まぁ見ててくれよ。すげぇの持ってきたから」

 そう告げると掌を下に向け、腕を伸ばす。

「──召喚サモン"ブラックハウンド"」

 掌の真下に魔法陣が現れ、そこからブラックハウンドざ姿を見せた。

「ほう……。これは生体魔法の一つである"合成"によって生み出した魔物ですね」

「そうだぜ。それにただ生み出しただけじゃねぇ。見せてやれ!」

 そう言うとブラックハウンドは一鳴ひとなきし。

 足元の影を伸ばすと自在に動かしてみせた。

「これはお見事!きちんと言う事を聞くだけでなく、珍しくも技能スキル持ちですか」

「この技能スキルは"影縫かげぬい"っていうだ」

「実に面白い。そのまま私に攻撃してみてください」

「いやいや。流石にそれはまずいだろ」

「構いませんよ。その為の基本魔法じゃないですか」

「怪我しても知らねぇぜ? ブラックハウンド!"影縫い"」

 ブラックハウンドは指示に従い伸ばした影をモライに向かわせ、鋭い一閃を浴びせようとした。

 すかさずモライは基本魔法の一つである防御魔法"魔力障壁まりょくしょうへき"を唱え。

 自身を魔力の球体で包み込み身を守る。

 魔力障壁にぶつかると影は弾かれ、傷一つ付くこともなく。

 破壊はおろか、亀裂を入れる事さえ出来ずに攻撃は終わった。

「今回は良い出来でしたね。これなら文句のつけようはありません。合格です」

「よっしゃぁぁぁぁぁ!!」

 合格の証であるローブを渡され、それを羽織る。

「また後日入団式がありますからくれぐれも忘れずに頼みますよ?」

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