第25話 徴収

 



 —— テスター生活12日目 テストダンジョン1階層 階層転移室 真田 夜雲——




 1階層の転移部屋に着くと、多くの生徒たちが転移陣を囲むようにたむろしていた。


 彼らは全員2階層へと進めたパーティだ。


 俺が4階層を探索している3日間の間に結構増えた。そして元は10メートル四方の広さだったこの部屋も、今では倍の20メートル四方にまで広がっている。


 どうやら転移陣を使える者が増えると、それに応じて部屋も広くなっていく仕様のようだ。


 俺が中央の転移陣現れると、見覚えのある者がこちらを見て舌打ちする。


 キックボクシング部の奴らだ。こいつらも一昨日あたりから転移室でよく見かけるようになった。


 恐らく俺に一番恨みを持っている生徒たちと言えばコイツらだろう。スパーリングという名目で過剰なシゴキをしていたコイツらを、後輩の前で身体だけでなくメンツもプライドも何もかもボコボコにしたからな。


 そんな舌打ちした男たちに視線を向けると、再び舌打ちをして全員が視線を逸らす。


 俺はそんな奴らを鼻で笑いつつ、転移陣から降りて出口の岩壁自動ドアへと向かった。


 メイン通路に出てダンジョンの出口へ向かい広場に出ると、突然声を掛けられる。


「おい守衛」


 誰だと声のした方を見ると、そこには体育教師の大井田を筆頭に教師陣が立っていた。


「何の用だ」


 面倒くさい奴らに声を掛けられたと、ぶっきらぼうに答えると大井田の眉間に皺が寄る。


「相変わらず口の利き方を知らない奴だな」


「文句が言いたいだけなら帰るぞ」


「チッ、今日から戦えない生徒のために魔石を徴収している。1つでいいから出せ」


「……なるほど」


 食料のみ値上がりした十日目の朝に、引き篭もり組が教師たちに泣きついていたが……


 生徒を放置せずに助けることを選んだか。


 教師という立場じゃそれを選択するのも仕方ないが、さて。


「いつまで続けるつもりだ?」


「……生徒たちが戦えるようになるまでだ」


「戦わなくても食費を援助してくれる者たちがいる状態で、命をかけて戦おうとそいつらが決心すると思うのか?」


 昨日今日と恐らくは引き篭もり組と思われる集団を数組ほど、ダンジョンの入口付近で戦っているのを見掛けた。さすがに食料の値上げで命の危機を感じたのだろう。サービス価格の武器を買って半ベソをかきながら必死の形相で戦っていた。


 それでも数組ほどだ。20人か、多くて30人と言ったところだろう。まだ50人は引き籠っているはずだ。


 そいつらは最後の機会を失ったというわけだ。武器を買うDPも使い切り、教師たちに再び泣きついた。


 そんな奴らに施しをしても戦う選択をするとは思えん。


「ぐっ……それは……」


 俺の言葉に大井田は言葉を詰まらせる。後ろにいる他の教師や各部のコーチたちも渋い顔を浮かべている。


 そうだよな。普通に考えて戦うとは思えないよな。


 それでも教師として見捨てることはできない……か。


「やるなら期限を決めておけ」


 俺は忠告としてそれだけを伝えたあと、リュックに手を入れ無造作に魔石を掴み大井田へと差し出す。


 すると大井田は両手の平でそれを受け取った。


「こ、こんなにいいのか? ん? 大きくないかこの魔石……まさか!?」


 二十数個ほどの魔石が手に乗ったことに驚き、そしてその魔石が他の生徒たちから徴収したホーンラビットの魔石より大きいことにさらに驚く大井田。


「面倒だから俺からはもう徴収するな。じゃあな」


 コーチたちならともかく、コイツら教師たちに毎日探索終わりに話しかけられるとか最悪だ。


「ま、待て! この魔石はどこで!?」


「3階層以降に出てくる魔物だ」


 大井田にそれだけを告げ、俺はさっさとその場を離れ自分のマイルームへと向かう。


 さて、いつまで他の生徒が徴収に応じるか見ものだな。


 自分たちが命懸けで戦っている中、安全なマイルームに籠って食費を援助される引きこもり組たち。


 そんな引きこもり組をなんとか助けようと生徒たちから魔石を徴収する教師陣。


 いずれ生徒たちの敵意は引きこもりの生徒だけでなく、教師たちへも向くだろう。


 なんで戦わない奴らのために、俺たちが命懸けで稼いだ魔石をくれてやらなきゃなんねえんだとな。


 そうなった時に、教師たちはそれでも引きこもり生徒たちを見捨てずにいられるかな。


 助けるなら期限を決めろと忠告はした。


 それは期限が来たら見捨てろという意味だ。


 期限を決めず見捨てないなら他の生徒たちに拒絶され、引きこもりたちと心中することになる。


 大井田、お前は俺の忠告を受けて見捨てる覚悟を決めることができるか? それとも心中するか?


 生徒想いなのは分かるが、こんな極限状態でもそれを押し通せるのか?


 もし押し通せたなら見直してやる。まあ無理だと思うがな。しょせん人間なんて自分が一番可愛いもんだしな。俺だってそうだ。



 §



 マイルームに戻りシャワーを浴び終えた俺は、パンツ一丁姿でショップで炭酸ジュースを購入し一気に飲み干す。


 一息ついたところでリュックを手に魔石の精算を行う。


「約25,000DPか。大井田にやった分を入れたらもう2千ほど上乗せだったな」


 ここ二日ほどは魔石の換金額は24,000〜25,000DPくらいだった。今日はモンスターハウス分が加算されていたので稼ぎは多かった。まあその多い分を募金したわけだが。


 次に硬貨を換金すると残高は27万DP越えとなった。


 ちなみに守衛服などを除き、今日の宝箱の戦果も入れると現在の所持装備とアイテムはこんな感じだ。



 ◻︎武器防具


 鉄のマチェット 

 黒鉄のマチェット

 鉄の小盾

 革製の脛当て×3

 革の籠手×4

 革のブーツ×2

 革の帽子×2

 革のズボン×2

 革のベスト×3

 対刃ローブ 

 鉄製ナイフ×15

 鉄製投げナイフ×12

 木の丸盾×7

 木の小盾×3

 棍棒×16


 ◻︎アイテム


 5等級ポーション×34

 4等級ポーション×1

 5等級魔力回復ポーション×16



 走っていることもあり、1日にだいたい10から12個ほどの木の宝箱を見つける。宝箱は一度開けると消え、同じ場所に現れることはない。ただ、4階層のどこかには再出現しているのは確かだ。今日一度調べた場所を再度回った時に、前に宝箱があった場所以外のところに新たな宝箱が見つかったのでそれを確信した。


 ハズレ枠の棍棒はとうとう二桁超えにまでなった。部屋の隅に立てかけていたが、場所を食うので今はショップで買ったスチール製のハンガーラック。洋服を掛けるラックのことだな。これに紐で縛って吊るしている。


 丸盾や小盾はその下に重ねて置いている感じだ。それでも籠手や膝当てなんかもあるので、かなり場所を食ってはいるが。


 ポーション類も大幅に在庫が増えたが、売っても半額買取りなので保管している。場所も食わないし、いつでも売れるものだからな。万が一の時のために取ってある。


 魔力回復ポーションは、4階層ではよく出てくるので一気に増えた。何度か飲んでみた体感だが、回復速度が2倍になる効果時間は3〜4時間くらいなので、これも売らずに保管するつもりだ。


「ふむ、DPも順調に増えているな」


 20万DPを超えたあたりから、5級スレイブという文字が精算の度に脳裏に浮かぶがスルーしている。


 毎回脳裏に浮かぶのは、やはり喘ぎ声やリアルタイムでの反応を見ながらのセックスや、フェラチオやパイズリをさせたいからなんだろう。


 だがここで買ってしまったら、それだけ1級スレイブの購入が遠のくから我慢だ。


 ピンサロサキュバスとかいう新しいサービスでも出ねえかな、などと考えながら夕食セットを購入。今日は中華でラーメンとチャーハンと餃子が出てきた。


 それらを2食分平らげ30分ほど武具の手入れをしつつ腹を休めた後、お楽しみの壁尻タイムへと突入。


 トップバッターはまたもや年若い新顔だった。


 昨日も一昨日も新顔が必ずトップバッターで、しかも例外なく怯えている。


 他のテスターたちで、サキュバスたちが動けないことを良いことに酷い扱いをしている者がいるのだろうということは容易に想像できる。


 なにせ泉の周囲で昨日壁尻のアソコに腕を入れたとか、中でションベンしたとか自慢げに語っている奴らが何人かいたからな。時間が来るギリギリにア◯ルセックスを試したとか言ってる奴もいた。まあ入れたらすぐに消えてしまったようだが。


 生徒たちもかなりストレスが溜まってきているのと、身体能力が高くなったことで少々乱暴になっているようだ。その捌け口として壁尻のサキュバスが被害を受けているのかもしれない。


「仕方ない」


 今すぐ入れて出したいが、優しく愛撫することにしよう。


 それからサキュバスが怖がらなくなるまで優しく接し、なんとか時間ギリギリで2発出すことができた。


 3日前にE+ランクになってからは8発出さないとスッキリしなくなり、壁尻を4回呼ばなければならなくなっている。


 ちなみに高貴サキュバスは初めてプレイしたあの日から毎日現れている。


 最近は連続で現れたことに恥じらいを見せることはなく、開き直ったのかすまし顔をしている。頬は赤いが。


 今朝Dランクになったことで、恐らくは十発は出さないと眠れないんじゃないかと予想する。となると今夜は5回呼ぶことになるな。まあDPには余裕がある。これも必要経費だ。なんと言っても気持ちいいしな。


 そんなことを考えながら2人目の壁尻を呼ぶと、ドMサキュバスが現れた。


 ここ数日2番手はだいたいメスガキサキュバスかドMサキュバスだ。


 相変わらず嬉しそうに尻尾と尻を振る彼女へ、紐の先に重りをつけた新作の洗濯バサミを両乳首に装着。尻になぜか売っていたローションを塗ってコケシを突っ込み、期待で濡れそぼっているアソコに息子を突っ込む。


 腰を叩きつける度に揺れる乳房。そしてその先にある重り同士がぶつかり合い、乳首に刺激を与える。さらに尻に突っ込んだコケシを奥までグリグリすると、ドMサキュバスの中はその度に締まり、痙攣しイキ果てる。


 それから2発ほど出し消えていく彼女を見送り、休憩の後に現れたのは褐色お姉様サキュバスだった。


 いつもなら三人目は大人しめのJCロリサキュバスなのだが、たまにこうしてお姉様サキュバスが現れる。そして次の日にJCロリサキュバスが現れ、マンガをねだって甘えてくる感じだ。


 いつも通り尻尾の先でクイクイと挑発してくる褐色お姉様サキュバスへ、今日こそはワカラセてやろうと高貴サキュバスによって鍛えられた息子を彼女へ突っ込む。


 それから3発搾り取られワカラサレたのは言うまでもないだろう。


 だが1回だけだが、中イキをさせることができるようになったのは成長の証といえよう。


 そして最後に現れた高貴サキュバスへあの手この手で奮闘し、短時間でキッチリ三発搾り取られ予想通り十発出した所でムラムラが収まった。


 こりゃ俺はいずれインキュバスにでもなるんじゃないか? などと笑えない想像をしつつ12日目のサキュバスタイムを終えるのだった。

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