第11話 特別報酬2
マイルームに戻りリュックを机の下に置き、鉄の小盾、革の籠手、革鎧、革の脛当ての順に装備を外しベッドの横に置く。
装備を外したら強化守衛服を脱ぎ、シャツとパンツを脱いでシャワールームへ。
ボディーソープの刺激だけで臨戦態勢に入る息子をなだめつつ汗を流す。
サッパリし時計を見ると18時を回っていた。
今日は結局11時間ダンジョンにいたのかと思いつつ、机の前の椅子に座りショップを開いて炭酸飲料を購入。
ビールが売ってれば最高なんだがな。なぜ酒類は売っていないのか? 確かにテスターは未成年がほとんどだが、年齢制限して売ればいいじゃないかと内心で愚痴を吐きながらグイッと炭酸飲料を飲む。
そして心身ともにサッパリしたところで……
「さて、やはり特別報酬はあったか」
ジュースを買った事で、6,020DPと表示されている残高の横で点滅するベルマークを見ながら俺は笑みを浮かべた。
しかもベルマークの横には『2』と表示されている。これは2つ報酬があると言う事ではないだろうか。
前回は魔石を20個売った者が先着10名まで、1万DP相当のシャワールーム増設が報酬だった。
恐らくはテスターの中で初めて1階層ボスを倒した俺には何をくれるのだろうか。
内心楽しみにしつつベルマークをタップすると、その内容が表示された。
〈初回階層守護者討伐報酬として、20,000DP(1/1)が贈られます。受け取りますか? (はい/いいえ)〉
〈全テスターの中で初めて階層守護者を討伐した特別報酬として、50,000DP(1/1)が贈られます。受け取りますか? (はい/いいえ) 〉
「7万DP! ボス……いや階層守護者か。それを倒しただけで70万円もらえるとは」
2つ目の全テスターの中で初めて討伐した報酬に関しては俺だけというか、今回だけっぽい気がしないでもないが。それでもこれだけ大量のDPをもらえるとなれば、スレイブを購入できる日はそれほど遠くではないのではないだろうか?
ん? 報酬の隣のカッコ内の数字はなんだ? 1/1? ああ、1分の1という意味か。5人で討伐したらこれが1/5になって報酬も5分の1になるんだろう。でないと数が多い方が報酬をたくさんもらえる事になるからな。
パーティ制度とかなかったはずだから、DPでの報酬に関しては守護者討伐時にその場にいた者たちで等分されるんだろう。そして各自が帰ってから魔水晶で受け取ると。分け前で揉めなくて結構だな。
「まあソロの俺には関係ないことだ。さて、とりあえず今日の精算を全て終わらせるか」
俺は特別報酬を全て受け取ったあと【魔石買取り】を押し、足元に置いていたリュックを持ち上げ中身の魔石を全て魔法陣の上に置く。すると魔法陣が光り魔石が消えた後、空間ディスプレイに計算結果が表示された。
〈Fランク魔石316個とF+ランク魔石1個で9,570DPとなります。よろしいですか? (はい/いいえ)〉
「300匹以上倒してたか」
昨日より100匹近く多く倒しているのは、単純に探索時間が昨日に比べ2時間ほど長かったこと。それと2階層では3匹ずつエンカウントしたからだろう。
そして1個だけあるF+ランクの魔石はまあ、あのビッグホーンラビットの魔石だろうな。316×30DPで9,480DPだがら、その分を引くとF+ランク魔石は1個90DPとなる。通常のホーンラビットの3倍か。まあそんなもんといえばそんなもんか。
〈はい〉を押し魔石をDPに換金した後は、続けてアイテムの換金も行う。といってもポーションは貯めておくつもりなので、大銅貨6枚と銅貨30枚だけだ。これが100Dp×6、10DP×30で900DPとなった。
特別報酬 70,000DP
魔石換金額 10,470DP
元々の残高 6,020DP
合計 86,490DP
「おお、86万円相当になった」
たった3日でこれだけ稼いでしまった。しかも装備は全て宝箱で揃っている。
ちなみに今日の宝箱の戦果をまとめると
5等級ポーション×2
4等級ポーション
ナイフ
革の籠手
棍棒
革の帽子
革鎧
鉄の小盾
大銅貨6枚 銅貨30枚
銅の宝箱があったのでなかなかの戦果だ。特に4等級ポーションと革鎧と鉄の小盾は嬉しい。
5等級ポーションはこれで累計5本となるが、万が一のために取っておく。買取り額は販売額の半額になってしまうというのもあるが、売るのはいつでも売れるのでDPに余裕がある内は売るつもりはない。
「とはいえだ。宝箱はおいしいっちゃおいしいが……階層守護者を倒してワンランク上の宝箱と特別報酬をもらった方がいいな」
木の宝箱と銅の宝箱では雲泥の差があった。
木の宝箱はだいたいが1品。DPに直すと2,000DPを上限としたアイテムが入っている。これは間違いないだろう。それに比べ銅の宝箱は1万DPを超えるアイテムが複数入っていた。
10倍以上の差だ。全ての銅の宝箱にあそこまでたくさん入っていないかもしれない。守護者の宝箱という特別な宝箱だからかもしれないが、それでも通常の銅の宝箱には1万DP相当のアイテムが入っている可能性は高い。木の宝箱の5倍だ。
ならばやはりどんどん先へ進み、階層守護者を倒して通常の通路にある宝箱が銅の宝箱になる階層に行くことが高級スレイブを買う近道だろう。
今のところ生徒たちは、レベルアップと宝箱探索を中心にしている様子だった。横道に入っているグループもいるだろうが、多数ある横道の中で守護者のいるあの横道を見つけるのはもう少し時間が掛かるだろう。
「二日か三日くらいは大丈夫そうか?」
それだけ時間があれば1階層の守護者にたどり着く者もいるだろう。そして守護者を倒した者が他の生徒たちに場所を漏らす可能性もある。
いや、それだけ積極的に探索しているのなら、俺と考えることは同じかもしれない。
つまりしばらく情報を伏せる可能性の方が高い。1階層も入口近くはだいぶ混雑してきたしな。戦う覚悟を持った生徒がダンジョンに次々と入ってきている証拠だ。数日もしない内に稼ぎにくくなるだろうな。
となれば2階層の競合相手がいない状況で、しばらく稼ごうと考えるのが普通だろう。
「どんどん先へ進みたいが、ホーンラビットが4匹出てきた時が問題だな」
俺はDP残高を見ながら考える。
魔法は確か1つ3万DPだったはず。
買えるな。そして魔法があればソロでも複数の魔物と戦えると思う。
ただ……と、俺はスレイブカタログを開く。
あと12万稼げば5級スレイブが買える。今の調子なら恐らくは1週間ほどで20万は貯まる。
高級スレイブ狙いではあるが、手が届くとなるとどうしても心が揺れる。
これまでサラッとしか見ていなかった5級スレイブの一覧をじっくり見る。
正直可愛いと思える子はいない。が、ヤル分には問題ない見た目の子も半分以上入る。貧乳好きや人妻好きや熟女好きとかならまあ楽しめるとは思う。
だがこれなら壁尻の方が気持ちいいだろう。
確かに喘ぎ声や次々と変化していく表情を見ながら色んな体位ができるのは魅力ではある。口で奉仕されるあの感覚も恋しくなってきてはいる。
しかし全財産を叩いて買いたいかというと首を傾げる。
「壁尻が無かったら買っていたかもしれんが」
そして1級スレイブを手に入れるのがどんどん遠のく。その間に本命の水泳部の月ヶ瀬や、毎朝パンを咥えて遅刻ギリギリに駆け込んでくる留学生のカレンが追いついてきた他の奴らに取られるかもしれない。
なんたって俺はソロだ。今後魔物がどんどん強くなり、一度に戦う数が増えれば人数が多く連携して戦う他のテスターたちの方が有利だ。彼らは俺が苦戦している間に先へと進むだろう。
やはり魔法だな。魔法で数の差を補えれば、今のリードを維持できるはずだ。
1回発動するのにどれくらい魔力が必要かわからないが、今夜寝れば上がっている可能性もある。それに現状、身体強化魔法はホーンラビット相手に使う機会は少ない。その魔力を攻撃か防御系の魔法に使えばいいだろう。
3万DPは高いが、ケチって怪我をしたらどうせ買うことになる。なら今の内に買っておいて練習すべきだろう。
1級スレイブ購入は遠のくがこれは投資だ。未来に何倍にもなって返ってくるはずだし、安全にも繋がる。
「買うか」
俺は魔法を買うことを決断し、『ショップ』の【武術指南書・魔法書】をタップし魔法の一覧を表示させるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。