第5話 特別報酬

 


 マイルームに戻りマチェットと丸盾などの武器をベッドの横に置く。


 ズボンと上着を脱ぎ、パンツとシャツだけの姿になる。


 ワイシャツとネクタイは休憩時に外した。激しい動きをしていたらワイシャツの脇がビリッと破れたことから、魔法での衣服の強化は上着とズボンだけだと分かったからだ。その結果、シャツの上に守衛服というなんとも締まらない格好になっていた。


「ふう……」


 タオルで汗を拭ってはいたが、全身が汗でベタベタしていて気持ち悪い。


 学園の守衛となってからは、身だしなみにはかなり気をつけるようになった。女子高生に臭いとか汚いとか言われたくないからな。


 そうなると習慣化してきて、汗臭さが気になってしょうがない。戦時中は何日も森の中で、血と汗と泥まみれになっていても気にならなかったのに変われば変わるもんだ。


 風呂に入りたい。といってもこんな牢屋みたいな部屋に風呂があるわけもなし。


 腕時計を見ると18時を少し回ったくらいだった。


 もう少ししたら広場の噴水で水浴びでもするか。いや、顔の傷で怖がられてるのに全裸は不味いな。刺された痕や銃創もあるしな。


 そういえばショップの生活用品に、ボディペーパーが50DPくらいで売っていたなと思い出す。とりあえずそれで拭くか。


 そしてついでに魔石も換金するかとリュックを手に、魔水晶が置かれている机へと向かい魔水晶に触れる。


 すると半透明の画面が現れ『ショップ』『魔石・アイテム買取り』『鑑定』のアイコンの中から魔石・アイテム買取りをタップ。


 次に【魔石買取り】【アイテム買取り】というアイコンが現れたので魔石買取をタップすると、《魔法陣に魔石を置いて買取ボタンを押してください》と表示された。


 指示通りリュックに無造作に入れていた魔石を全て出して置く。そして買取りボタンを押すと、魔法陣が光り魔石が一瞬で消えたあと画面に《Fランク魔石142個4,260DPとなります。よろしいですか? はい/いいえ》と表示された。


「ふむ、ホーンラビットの魔石はFランクなのか。142個で4,260DPってことは……一個30DPか。予想通りの価格だな。やはりホーンラビット一匹倒しただけじゃ飯にはありつけない設定か」


 0を一個足せば日本円という感じだから、4万2千円ちょいか。まあ休憩抜いて7時間労働でこれだけ稼げれば上出来だな。


 狸の皮算用通りの買取価格になった事に満足しつつ「はい」をタップする。


 続いて銅貨も精算しようと【アイテム買取り】をタップし、まずは大きい銅貨を4枚。次に小さい銅貨を16枚換金していく。その結果、大銅貨は一つ100DPで銅貨は一つ10DPだった。合計560DPとなった。


 全ての換金を終え右上のDP残高を見てみると、もともと残していた10DPと合わせて4,820DPと表示されていた。


「残高4万8千円か」


 この調子で1日4,000DP稼いでいけば2ヶ月掛からずに5級スレイブが手に入るな。いや、もっと深い階層に行けば魔石の単価も上がるだろうから、上手くすれば1ヶ月掛からずに買えるかもしれない。


「いやいや、買うなら2級以上だろ。妥協は良くないな。我慢だ我慢……ん? これはなんだ?」


 大トロを狙っているのに目先の赤身に下半身が持っていかれそうになるのをグッと堪えていると、DP残高の横にあったベルのマークに「1」と表示されていることに気づいた。


 ベルマークってことはお知らせか何かか?


 気になった俺はベルマークをタップする。すると画面に


 〈1度に20個以上の魔石を換金したテスター先着10名に、特別報酬としてシャワールームが贈られます。設置しますか? はい/いいえ〉と表示された。


 俺は思わずグッと右拳を胸元で握りしめる。


「おお! こんな報酬もあるのか。ということは最初にボス的なものを倒したら、同じような報酬をもらえる可能性もあるな」


 どうやらサキュバスクイーンは女と物で釣っていくスタイルらしい。


 いいぞ、そういう即物的なものは大好物だ。


 もしかしたらDPとかも報酬でもらえる可能性もあるな。これはますます探索を頑張らねば。


 とりあえず「はい」を押す。


 すると入口の左側にあるトイレの隣が光ったと思ったら、浴室によく取り付けられている中折れドアが現れた。


 中に入ってみると現代にある普通のシャワールームで、天井だけ石造りで淡い光を発している。シャワーはちゃんと温度設定できるタイプで、赤い蛇口をひねれば設定した温度のお湯が出てくる。


 しかし部屋はオール石造りの牢屋みたいな内装なのに、シャワールームだけやたら浮いてるな。

 まあいいか、どうせこれも学園の寮にあるシャワー室か何かをコピーしたんだろう。


 寝具も板張りのベッドと毛布しか無かったので、1000DPでマットレスとシーツと掛け布団と枕の寝具セットを購入。後は明日の探索用にタオルを数枚追加し、バスタオルも数枚購入。ボディーソープとシャンプーとリンスも忘れずに買う。


 次にベッドに座りながら飯が食えるようにテーブルを300DPで購入し、替えの下着3日分とダンジョンの地図作成用にメモ帳と予備の筆記用具を買った。


 スマホのアラームが使えないので、デジタル目覚まし時計を100DPで購入。あと部屋が暗いので、300DPで売っていた明るめの電池式の卓上ライトを買いテーブルの上に置いた。これでかなり部屋が明るくなった。


 次に部屋着用にスウェット上下を購入した。多分これらは校舎や寮の購買で売っている物なのだろう、うちの学園のジャージもラインナップにあったし間違いないと思う。


 一通り買い物をした後は腹が減ったので夕食セットを購入。


 これで残高が2,600DP。


 なんだかんだと生活に必要な物を揃えたら一気に減ったな。


 夕食を食べたあと、さっそくシャワーを浴びながら下着を洗う。


 シャワーから出てサッパリしたあと、炭酸ジュースを買いベッドに腰掛け一息つく。


「ふう……」


 久々に戦って疲れたな。


 飲みかけのジュースを買ったばかりのテーブルに置きベッドに寝そべる。新品の布団に包まれながら今日はとんでもない事に巻き込まれたなと思考する。


 朝起きて寮を出る時にこんな事になるなんて夢にも思わなかった。


 しかしレベルアップはどうしたらするんだろうな。140匹以上倒しても身体強化が使えないとは。


 そういえばこの魔水晶に『鑑定』って項目があったな。


 あれって自分を鑑定できたりしないか? ファンタジー漫画なんかだとギルドの水晶に手をかざすと、ステータスや魔力量を調べられたりできるのが多いんだが。


 どうにも気になった俺はベッドから起き上がり机へと向かう。


 そして魔水晶に触れ、『鑑定』のアイコンを押すと【アイテム鑑定】と【魔力測定】という項目が現れた。


 これはステータスとかは見れなくて魔力量だけ見れるタイプかと思った俺は、魔力測定をタップした。


 すると《魔水晶に手を置いてください》と表示されたので置くと、空間ディスプレイに結果が表示された。


 ——————


 真田 夜雲

 年齢:25

 種族:人族

 保有魔力:G


 ——————


「……Gかよ」


 Gって最低ランクでは? こういうのでHとかIとかのランクとか漫画やアニメでも見た記憶がないしな。バストカップならあるが。むしろ嬉しいが。


「そりゃ身体強化も発動しないはずだ」


 しかしあれだけ魔物を倒しても魔力が増えてないのか。


 だがランクがあるということは、上がる可能性があるということだ。


 もしかしたら魔力は上がりにくいのかもしれない。それかホーンラビットは弱すぎてたいした経験値になってない可能性もある。


 まあまだ初日だ。魔物を倒していけばそのうち上がるだろう。


 幸い身体強化魔法が使えなくても、ホーンラビットは特に苦戦するような魔物じゃないしな。


 そんなことを考えながら再びベッドに横になると、まだ20時前だというのに眠気が襲ってきた。


 体はそこまで疲れてないが、朝から色々あったうえに久々の戦闘で精神的に疲れているみたいだ。


 俺は襲いくる眠気に抵抗することなく、そのまま目を閉じるのだった。




 §




「う……ん……おいおい……こりゃずいぶんだな」


 股間の痛みに目が覚めると、自分の息子がギンギンになっていることに気付く。


「確かにやたらエロい夢を見ていたが……しかし妙にムラムラするな」


 そんなに溜まっていたかなと首を傾げる俺。まったく萎える気配のない息子。


 買ったばかりの時計を見るとまだ1時だった。


 こりゃ一発抜かないと寝れそうもないなと思い、守衛服のポケットに入れていたスマホを取り出す。中にはダウンロードしたエロ漫画や、厳選したエロ動画がたくさん入っている。


「充電切れかよ……」


 肝心な時にと肩を落とす。


 そういえば昨日の夜充電しとくの忘れて、朝見た時には半分くらいしか残ってなかったんだった。


 そのうえ宝箱を開ける時に、スマホのライトで照らしたりしたしな。そりゃ充電切れにもなるか。


 テーブルの卓上ライトを点け、机に向かい魔水晶に触れショップに電池式のスマホの充電器がないか探す。


「無いのかよ」


 目覚まし時計や卓上ライトはあったのにな。やはり学園の購買で売ってる物だけしか置いてないのか? 購買はケーブルは売っていても、携帯充電器は置いてないってことか。


「うーん、どうしたものか」


 何かオカズが欲しい。


「仕方ない。カタログでも見てオナるか」


 スリーサイズやバストカップとか書いてあったしな。それを見ながら買った時の想像をして抜くしかないか。


 でも冬服のバストアップ画像なんだよな。


 せめて夏服だったよかったんだがと思いつつ、【スレイブ購入】をタップする。


 すると〈スレイブカタログ〉〈スレイブ管理〉〈壁尻サキュバス〉と表示されたのでカタログをタッ……


「おい待て! なんだこの壁尻サキュバスって」


 うっかりスルーしそうになったが、こんなの朝にカタログ見た時なかったぞ?


「夜だけのサービスという可能性もあるか」


 サキュバスって夢魔とか言うしな。夜行性なのかもしれん。


 なんというタイムリーさ。しかもエロ漫画でしか見たことのなかった壁尻が体験できるとは……うーむ、素晴らしい。


 俺は迷うことなく〈壁尻サキュバス〉のアイコンをタップすると、各コースが表示された。



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 ☆尻だけコース 30分 300DP

 お尻だけ出ている状態です。


 ☆下半身露出コース 30分 400DP

 腰から下が露出している状態で、足を抱えたり腰を掴みながらプレイできます。


 ☆胸まで露出コース 30分 500DP

 胸から下が壁から露出している状態です。胸を揉むことができます。


 ※注意事項

 ・延長はできません。時間になると消えます。

 ・指名制度はございません。現れる尻は毎回違います。ロリ体型からダイナマイトボディまで様々な肉体をお楽しみいただけます。

 ・ア◯ルプレイ不可。違反した場合は即時消えます。


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「ふむ、安いな」


 尻だけってのは文字通り壁から尻の部分だけ出てるってことか。オナホと変わらないが、それでも生の女体だ。それが30分で3千円は安い。ピンサロ並みの価格だ。


「さてどうするか」


 尻だけってのはどうも味気ない。下半身露出コースは腰も出ているみたいだからガンガン突けるのは魅力だ。それに足も出ているなら、片足を持ち上げるなどの体位も可能になる。


 だが俺は尻は好きだがおっぱいも大好きだ。


 一番高いコースだが今の俺には余裕で払える。なら迷う必要などない。


 コースを決めた俺は胸まで露出コースをポチリと押すのだった。

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