第38話 永遠の誓い

 結婚式の朝。

 

 私は、早くに目が覚めた。

 

 窓の外を見ると、美しい青空が広がっていた。

 

 完璧な天気だった。

 

 リーナとエリーゼが、部屋を訪ねてきた。

 

「水野様、準備を始めましょう」

「はい」

 

 私は、化粧をして、髪を整えた。

 

 そして、ウェディングドレスを着た。

 

 鏡に映った自分を見て、驚いた。

 

 まるで、本当のお姫様のようだった。

 

「水野様、本当に美しいです」

 

 リーナが、感動した様子で言った。

 

 エリーゼも、微笑んでいた。

 

「アレンは、きっと言葉を失うでしょう」

 

 準備が整った後、私たちは式場に向かった。

 

 式場は、王城の大聖堂だった。

 

 巨大な建物で、美しいステンドグラスが並んでいる。

 

 中には、すでに多くの招待客が集まっていた。

 

 国王、宮廷の重臣たち、そして街の人々。

 

 みんな、正装をしている。

 

 私は、聖堂の入口で待った。

 

 中では、オルガンの音楽が流れている。

 

 そして、扉が開いた。

 

 私は、バージンロードを歩き始めた。

 

 ゆっくりと、一歩一歩。

 

 祭壇には、アレンが立っていた。

 

 白い正装を着て、凛々しい姿だった。

 

 アレンは、私を見て、目を見開いた。

 

 そして、微笑んだ。

 

 私も、微笑み返した。

 

 祭壇に到着すると、アレンが手を差し出した。

 

 私は、その手を取った。

 

 二人で、祭壇の前に立った。

 

 司祭が、前に出た。

 

「本日、ここに集まった皆様」

 

 司祭の声が、聖堂に響いた。

 

「我々は、勇者アレン・ヴァルハイトと、異世界の癒し手水野あかりの、聖なる結婚式を執り行います」

 

 司祭は、私たちを見た。

 

「アレン・ヴァルハイト、汝は水野あかりを、妻として迎えることを誓いますか」

「...」

「病める時も、健やかなる時も」

「...」

「喜びの時も、悲しみの時も」

「...」

「生涯、愛し続けることを」

 

 アレンは、私を見た。

 

「誓います」

 

 アレンの声は、力強かった。

 

「水野あかり、汝はアレン・ヴァルハイトを、夫として迎えることを誓いますか」

「...」

「病める時も、健やかなる時も」

「...」

「喜びの時も、悲しみの時も」

「...」

「生涯、愛し続けることを」

 

 私は、アレンの目を見た。

 

「誓います」

 

 司祭は、微笑んだ。

 

「では、指輪の交換を」

 

 ガルドが、指輪を持ってきた。

 

 アレンは、私の左手薬指に、指輪をはめた。

 

 美しい金の指輪。

 

 私も、アレンの左手薬指に、指輪をはめた。

 

「神の御名において」

 

 司祭が、宣言した。

 

「汝らを、夫婦と認めます」

 

 聖堂に、大きな拍手が響いた。

 

「さあ、新郎は新婦にキスを」

 

 アレンは、私の顔に手を添えた。

 

 そして、優しくキスをした。

 

 長く、甘いキスだった。

 

 拍手が、さらに大きくなった。

 

 私たちは、バージンロードを戻った。

 

 招待客たちが、祝福の言葉をかけてくれる。

 

「おめでとうございます」

「お幸せに」

「美しい花嫁です」

 

 聖堂を出ると、外には多くの街の人々が集まっていた。

 

「勇者様」

「おめでとうございます」

「お幸せに」

 

 花びらが、舞った。

 

 美しい光景だった。

 

 披露宴は、王城の大広間で行われた。

 

 豪華な料理、美しい音楽、楽しい雰囲気。

 

 国王が、乾杯の音頭を取った。

 

「勇者アレン・ヴァルハイトと、水野あかりの結婚を祝して」

「乾杯」

 

 グラスが、鳴り響いた。

 

 料理が運ばれてきた。

 

 肉料理、魚料理、新鮮な野菜、果物。

 

 どれも、最高級の料理だった。

 

 ガルドが、スピーチをした。

 

「俺は、アレンの仲間として、長い間一緒に戦ってきた」

「...」

「アレンは、強くて、優しくて、誰よりも正義感の強い男だ」

「...」

「でも、魔王との戦いの後、心を閉ざしてしまった」

 

 ガルドは、私を見た。

 

「そんなアレンを、救ってくれたのが、水野殿だ」

「...」

「水野殿は、アレンに希望を与えてくれた」

「...」

「そして、アレンは再び笑顔を取り戻した」

 

 ガルドは、グラスを掲げた。

 

「水野殿、本当にありがとう」

「...」

「アレンを、よろしく頼む」

 

 拍手が起こった。

 

 リーナも、スピーチをした。

 

「水野様は、優しくて、強くて、賢い方です」

「...」

「いつも、みんなのことを考えてくれます」

「...」

「そして、医療の知識で、私たちを何度も助けてくれました」

 

 リーナは、涙を拭った。

 

「水野様、アレン様、お幸せに」

 

 エリーゼも、前に出た。

 

「私は、幼い頃からアレンを知っています」

 

 エリーゼの声が、少し震えた。

 

「アレンは、私にとって、大切な幼馴染でした」

「...」

「でも、今日、アレンは水野様と結ばれます」

 

 エリーゼは、微笑んだ。

 

「それは、とても嬉しいことです」

「...」

「なぜなら、水野様は、アレンを本当に愛しているから」

「...」

「そして、アレンも、水野様を心から愛しているから」

 

 エリーゼは、私たちを見た。

 

「お二人とも、末永くお幸せに」

 

 大きな拍手が起こった。

 

 私は、涙が止まらなかった。

 

 みんなの祝福が、嬉しかった。

 

 披露宴が終わった後、アレンと二人で王城のバルコニーに出た。

 

 夜空には、満天の星が輝いていた。

 

「水野」

「はい」

「いや、もう水野じゃないな」

 

 アレンは、微笑んだ。

 

「俺の妻だ」

 

 私も、微笑んだ。

 

「はい、あなたの妻です」

 

 アレンは、私を抱きしめた。

 

「今日から、俺たちは夫婦だ」

「...」

「一緒に、人生を歩んでいこう」

「はい」

 

 私も、アレンを抱きしめ返した。

 

「どこまでも、一緒に」

 

 二人で、星空を見上げた。

 

 美しい夜だった。

 

 私の、人生で最も幸せな夜だった。

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