現代に突如現れた初見殺しダンジョン、攻略法が俺のやり込んだ「死にゲー」と全く同じだった件〜天才ゲーマー会社員、配信しながら世界最速で無双する〜
第4話 隠しルートは地獄の入り口。だがゲーマーにとってはご褒美です
第4話 隠しルートは地獄の入り口。だがゲーマーにとってはご褒美です
壁を抜けた先。
そこは、これまでの石造りの城郭とは一変し、機械仕掛けの歯車が噛み合い、無数の巨大な刃が旋回する「殺意の迷宮」だった。
「……ひっ、あ、あわわわ……!」
未央の慌てふためく声が響く。
通路の床からは一定周期で鋭い槍が突き出し、頭上からは巨大な振り子鎌が風を切って通り過ぎる。一歩でも踏み込めば、肉塊になるのは自明だった。
「蓮見さん、戻りましょう! ここ、人間が入っていい場所じゃありません!」
「戻る? バカを言うな」
レンは、これまでの冷淡な表情が嘘のように、口角が抑えきれず吊り上がっていた。
その瞳は、獲物を前にした肉食獣のように爛々と輝いている。
「これ、開発者が『あまりに難しすぎてクリア不可能』って判断してボツにした、伝説の未実装エリア《絶望の回廊》だ。まさか現実で見られるなんてな……最高のご褒美だ」
「ご、ご褒美……!? これを見て、そう思うんですか!?」
レンは仕事用のネクタイを緩め、窮屈なジャケットを地面に捨てた。
シャツの袖をまくり、未央の腰を無造作に左腕で抱え上げる。
「ちょ、ええっ!?」
「噛まないように舌を引っ込めておけ。少し揺れるぞ」
次の瞬間、レンの体が弾けた。
床から槍が突き出す「前兆の振動」を足裏で感じた瞬間、その先端を足場にして跳躍。
直後、真横から迫る旋回刃――。
レンは空中で体を不自然に捻り、刃の平たい部分を靴底で蹴り、さらに加速した。
「い、いやぁぁぁぁぁぁ!!」
未央の視界では、死神の鎌が鼻先数センチを通り過ぎていく。
だが、レンの足取りに迷いはない。
彼の脳内には、かつて解析動画で何度も見たフレームデータと、現実の物理法則が高度に計算された「攻略図」が完璧に展開されている。
(振り子の周期は0.8秒。床の槍は三連動。
安置(セーフティ)は刃の回転軸の真下、半径5センチ以内――)
右、右、左、一拍置いてバク転。
レンにとっては、この死の迷宮も「ただの音ゲー」に過ぎない。
迫りくる刃の音、歯車の軋み、すべてが彼をゴールへ導くメロディに聞こえていた。
「……ここだ。判定消失の0.2秒!」
レンは、巨大な歯車の隙間へと飛び込んだ。
普通なら圧死するタイミング。
だが、歯車が噛み合う瞬間に生まれる「わずかな隙間」を、彼は知っていた。
ドンッ! という衝撃と共に、二人は回廊の出口へと転がり込む。
未央は地面に突っ伏したまま、過呼吸気味に荒い息を吐く。
「死……死んだ……今度こそ、死んだと思った……」
「大げさだな。パターンさえ覚えれば、目を閉じてても通れるぞ」
「できるわけないでしょぉぉぉ!!」
レンは彼女の絶叫を無視し、自身のステータス画面に浮かぶ《深淵の印》を静かに見つめた。その瞳には、恐怖など微塵もない。
「それにしても、このギミックの物理挙動、実に見事だ……。開発者は天才だな。敬意を表して、このエリアの『宝』は一つ残らず回収させてもらう」
レンはシャツに付いた埃を払い、満足げに微笑んだ。
その常軌を逸した「ゲーマーとしての悦び」は、極限の死地にいた未央にとって、迫りくる怪物よりもよっぽど恐ろしいものに見えた。
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ユーザーA: え、待て待て待てwwww今の何???
ユーザーB: 物理演算バグってんぞ運営仕事しろwww
ユーザーC: 槍を足場に二段ジャンプした? 人間の動きじゃねえ。
ユーザーD: 誰か今のスローで解析してくれ。避けてるんじゃなくて、刃の「隙間」を通ってるだろ。
ユーザーE: 待て、今のエリア『アビスⅣ』の没データに出てきた「絶望の回廊」じゃないか?
ユーザーF: ↑マジかよ。それクリア不可能って言われてたやつじゃん……。
ユーザーG: パリィニキ「最高のご褒美」←これガチで言ってるのが一番怖い
ユーザーH: 女子の叫び声が完全に視聴者の代弁で草。
ユーザーI: 会社員がネクタイ外して「ボツエリア」無双するとか、ラノベの設定でも盛りすぎだろwww
ユーザーJ: 【速報】世界中のプロゲーマー、ニキの異次元ムーブに絶望して引退を検討。
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現代に突如現れた初見殺しダンジョン、攻略法が俺のやり込んだ「死にゲー」と全く同じだった件〜天才ゲーマー会社員、配信しながら世界最速で無双する〜 霧島ロジカ @Twilight_Library
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