第5話 ライゼン


 ポン!とライゼンが転移した先は、灼熱のマグマが噴き出す火口の淵だった

 ドロドロと煮え滾る真っ赤なマグマがボコボコと音を立て吹き出して居る


「此処にフェニックスが現れるのか?」

「うわっ!?ビックリしたあっ!!?」

 真剣な表情で火口を見詰めていたイクリプスに声を掛けると、文字通り飛び上がって驚いた


「えっ!?ラ、ライゼン?何故ここに!?えぇ?」

「貴様が何処に隠れようが、私には丸っとお見通しだ、馬鹿者」

「いや、そう言う事じゃ無くて …… んっ、静かに!」


 イクリプスはライゼンの肩を引き寄せ身を隠す

 ( …… !! )

 ライゼンはいきなり抱き寄せられて真っ赤になった


「ピイイイーーー!!」


 火口から炎の塊が吹き上げられたかと思ったら、眩く輝く火の鳥が飛び立つ

 フェニックスだ

 イクリプスは弓に矢をつがえると、フェニックス目掛けて矢を放つ

 ヒュッッ、トスッ

「ピィ!」

 矢に射貫かれたフェニックスは火口へと落ちて行くが、イクリプスがそれを空中でキャッチした


 ところが受け止めたフェニックスの身体は、バラバラの炎と為り変わり手から溢れ落ちて消えてしまう


「ああっ、クソ!また駄目だった … 」

 どうやら何度も同じ失敗を繰り返している様だ


「アンタ、馬鹿じゃ無いの?フェニックスは死んだら炎に戻るの当たり前じゃない」


「え、でも …… 」

「肝が欲しいなら、生捕りにしなくちゃね」

 ライゼンはそう言うと岩陰に身を隠す


「何してんのよ?アンタも早く隠れなさいよ」

「あ、うん …… 」

 イクリプスがライゼンの隣に来ると、意図せず肘が当たる


「ひょっ!?何で私の体に触るのよっ?」

「えぇっ、ゴメンよ?って言うか、ちょっと当たっただけじゃん」

 ライゼンは顔を真っ赤にしてイクリプスをビンタした

「この変態っ!!」

 パシーーーーン!ゴキッ!!

 イクリプスの顔がグルリと一回転して白眼を剥いた


「あっ?御免なさい!イクス?ちょっと、しっかりしなさいよ」

 その時、復活したフェニックスが再び飛び立つ

「!!」

 ライゼンはイクリプスを放り出すと、フェニックスを魔法障壁で囲い捕獲した


「良しっ、これを大司教様に届ければ良いのよね?」

 イクリプスの返事は無い

 ただのしかばねのようだ


「あ〜、と、取り敢えず私が届けておくわね?感謝なさい!」

 ライゼンはそう言うと白眼を剥いたままのイクリプスを置いてミカエラの元へ転移する


「お母さま、フェニックスを捕まえて参りましたわ」


「あら、ありがと …… イクスはどうしたの?」


「えっ、ちょ、ちょっと疲れたから、少し休んで帰るって言伝りましたわホホホ」


「なんだ、ライゼンに押し付けて情け無い奴だわね。帰ったら根性叩き直してやらなきゃ」

「オホホホホ♡で、では私はこれで失礼致しますわ!ごきげんよう、お母さま!」

 ライゼンは誤魔化す様に転移して消える


「師匠〜、ライゼンがフェニックス生捕って来ましたよ」

「あら、ご苦労様 … イクスはどうしたの?」


「あの子は転移出来ませんからね」

「そうだったわね」

 

 

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