第4話 ツンデレ


「駄龍が怪我をしたって聞いたけど?」

 ミカエラ邸に久し振りに顔を出したのは漆黒の暗黒龍セレロンの娘、ライゼン


「あら、ライゼン久し振りね」


「お母さま、ご無沙汰して居ります」

 ライゼンはミカエラに対し華麗にカーテシーをキメる

 真っ黒な全身を豹の毛皮のジャケットと白いルーズパンツで包み、チューブトップと靴の赤が良いアクセントに為っていて中々にオシャレだ


「イクスは?またママに甘えてるのかしら?」

「大司教のお使いで出掛けてるわ、フォレストドラゴンの心臓の次はフェニックスの肝が必要みたい」


「はあ?フォレストドラゴン如きにヤられたの?情けないわね!?」

「違うわよ、アタシと遊んでちょっと頚椎と頭骨が折れただけで …… 」

「 …… お母さま?ちゃんと手加減為さいました?」

「当然じゃない、いくら不死身のドラゴン相手でも、無闇に痛い目に合わせたい訳じゃ無いわよ」


 まるで弱いものイジメの言い訳みたいに聞こえる


「それよりお姉ちゃんセレロンは一緒じゃ無いの?」

「お母さまは暗黒星雲中心部のブラックホールを吸収中ですわ。なんでも、放置してるとこの銀河系に悪影響が及ぶとかで … 」

 ライゼンの母セレロンは、50億年前にペンティアムが造った暗黒龍である

 なのでミカエラとセレロンは血の繋がりこそ無いが、互いに姉妹として認識していた


 ライゼンがミカエラの事を母と呼ぶのは、セレロンがルシフェラに頼んでミカエラの子を授かったからで、別にミカエラとセレロンがそう言う肉体関係に在る訳では無い


「ふうん、ちゃんと神龍としての仕事をこなしてるのねぇ、流石はお姉ちゃん♡」

「それで、イクスは何方へ向かったのでしょうか?」

「あら、気になる?」

「そ、そんな訳無いじゃないですか!誰があんなマザコン … 」


「あーーーーっ!!妙な気配がすると思ったら、チビクロライゼン!!」

 リビングに顔を出したクレセントがライゼンを見付けて叫ぶ

「またあの子イクスを虐めに来たのね?そうはさせないわよ!!」


「お久し振りです、クレスさん。それより何ですか、その変チクリンな呼び方は?」

「チビで真っ黒だからチビクロよ、何か文句でも在る?この寸足らず!」

 クレセントはライゼンの目の前に立ち、腕組みをしてガンを飛ばす


「はあ …… チビって、いつの話しですか」

 ため息を吐くライゼンがクレセントと並ぶと、今では僅かにライゼンの方が背が高い

 普段は完全に人型で暮らすクレセントと違い、頭の角と長い尻尾が在るライゼンは見た目のイメージでもずっと大きく感じる


「兎に角、わたくしはイクスの様子を確認しに行きます」

「ん、お願い出来る?」

「お任せ下さいませ、お母さま」

「ちょっと!勝手な真似は許さないわよ?」行きたければこのアタシを倒してから …… 」


 最後まで聞かずライゼンの姿は消えた

 母親セレロン譲りの超探知能力でイクリプスの居場所を特定して転移したのだろう


「あぁーーー!くそっ、あのメスガキ逃げやがってぇ!悔しーーーっ!!」

「落ち着きなさいよ、みっともない」

「だあってミカエラ、あのメスガキってば絶っ対ぜえったいイクスを狙ってんのよ!?ガキの癖に色気付いてえ!?許さないわ!」

 セレロンの元で神龍となる鍛錬を積んでいるライゼンと違い、クレセントは転移出来なかった


「あー、ヨシヨシ」

 ミカエラは甘えてくっつくクレセントの頭を撫でてやるのだった

 

 

 

 

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