三つの影と半分の月
JACKPOT031
三つの影と半分の月
夜の公園に、影が三つあった。
ひとつは、僕のもの。
ひとつは、知らない誰かが置いていったもの。
もうひとつは、人間のようでなにか違うもの。
夜空に浮かんだ半分の月は、
スポットライトのように影を順番に照らし、
数を数えているみたいだった。
知らない誰かが置いていった影は、
少しずつ大きくなり、僕に近づいてきて
「名前は?」
と、尋ねてきた。
答えようとした矢先、
妙な浮遊感と共に、
胸の奥が空っぽになり、
声も体も月に吸い込まれていった。
気がつくと、ぼくは地面に寝そべっていた。
体は真っ黒に塗りつぶされていた。
その夜から、ぼくは公園に留まった。
誰かが、影を連れてやってきた。
半分の月は、今日の主役たちを照らそうとしている。
今度は、ぼくから名前を聞いてみよう。
三つの影と半分の月 JACKPOT031 @JACKPOT031
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます