第2話『初級魔法の説明』



登場人物

• ユウ:異世界転生者。気を遣いすぎる

• レイン:魔法教官。褒め上手で話長い

• カイ:先輩勇者。テンション高く、説明が止まらない



本編


(ユウ、魔法陣の前に立ってる)


レイン「では、初級魔法・火球です」

ユウ「はい…本当に出るんですか?」

レイン「出たらラッキーです」

カイ「俺は初日で爆発させました」

ユウ「爆発…初級ですよね…」


(火球発動、小さくポンッ)

ユウ「小さい!」

カイ「ぬいぐるみサイズ!」

ユウ「安全って…火球なのに」


(間)


レイン「では二度目」

ユウ「はい、“我が意思よ、火となれ!”」

(火球、少し大きくなる)

ユウ「出た…って大きくなってますけど」

レイン「いい成長感です」

ユウ「火球で…?」


(間)


カイ「眉毛に力入れると威力上がります」

ユウ「眉毛…?」

カイ「俺は毎回筋肉痛です」

ユウ「魔法関係ないですね…」


(間)


ユウ「今日はここまでですか?」

レイン「いい質問ですね」

ユウ「終わりって意味で」

レイン「魔法に“終わり”はありません」

ユウ「ないんですね…」


カイ「俺も最初そう言われました」

ユウ「結果は?」

カイ「徹夜です」

ユウ「いやいや寝てください」


(間)


ユウ「帰ってもいいですか?」

レイン「もちろんです」

ユウ(後ずさり)「ありがとうございます…」


(間)


レイン「あ、そうだ…」

ユウ「はい?」

レイン「最後に“終わりの魔法”を教えます」


ユウ「え、そんな魔法あるんですか?」

カイ「魔法の中で一番難しいやつです」


レイン「名前は…“オワリマス”」

ユウ「……そのまんまですね」

レイン「でも効果は絶大です」


(レインが魔法をかざすジェスチャー)

ユウ「どうなるんですか?」

レイン「これを使えば、今日の練習も、説明も、私の長話も…全部終了です」


カイ「眉毛筋肉痛も終わります」

ユウ「やっと…帰れるんですね…」


(間)


レイン「使うのは、あなた次第」

ユウ(小声)「じゃあ…今です!」


(ユウが空中で手を振るジェスチャー)

レイン「……おお、見事」

カイ「すごい…本当に終わった」

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