世界を救うであろう完璧な聖女、の妹が主人公なんです。
美しく聡明で、強大な力を持つ聖女アリシア。その妹であるセレナはちょっと影が薄い。本作の主人公は光を放つ姉ではなく、その影が薄い妹の方。セレナ、すなわち「聖女の妹」です。
あまりに完璧な姉の後ろで、少しばかりの劣等感を感じつつも、姉を慕い、何よりも姉に愛され、やがて、姉のようにはなれなくても自分はこの姉を出来うる限り助けていこうと心に決める妹セレナ。
強大な力を持つ女神のごとき姉。彼女に熱い視線を送る勇者、王族、騎士たち。そこから一歩引いて立つ妹は、姉に対する憧れや嫉妬、愛情、ときに天然ぶりを発揮する姉に母性愛すら感じます。
その感情のゆらぎが一話から描かれていて読者の心を引きつけ、それはずっと続くんです。。
太陽のように輝きつづける姉と、どう頑張っても月でしかない自分。いや下手すれば月どころか小惑星にすらなれない妹。ですが、誰よりも姉を愛し、そして姉に愛されている自分。それを痛いほど分かってもいる。
本作は異世界ファンタジーになるのですが、複雑な設定はなく、ゲーム的要素も皆無です。入り込みやすい世界観の中で描かれる姉と妹の物語。
美しい姉。格好いい姉。ほんとうに頼りになる姉。そして、いつも自分を守ってくれる姉。その姉に愛され、手を引かれて冒険の旅に出発する妹。読めば読むほど、その妹と読者である自分自身が魔法のようにシンクロしていきます。読み進むほどずぶずぶとハマる流砂のよう。
コンテスト参加作品なので、読者選考期間内に最初のところだけ読んでとりあえずレビューを書こうと思っていたのですが、もう無理。途中で抜けることが出来ません。
いったいこの姉はどこまで昇り詰めるのか? 彼女をとりまく男性たちのいったい誰がこの聖女の心を射止めるのか? 姉が主人公でないので、けっこうこのあたりは気楽に楽しめます。
その一方、侵攻してくる魔王軍は強大です。容赦のない敵がもたらす戦禍は苛烈。こちらも目を離せません。なにせ、かなり早い段階で重要な人物が亡くなっているので、もうどこで誰が戦死してもおかしくない。
そして、なによりも、我らが主人公の妹はどうなる? いつまでも姉の後ろにいるの? それともどこかで前に出る? このまま君は影の存在でいいのか!? この誰も注目していない主人公がどうなるのかも、読者の期待をもりもり高めるんです。決してこの子、出来ないわけじゃない。出来ないと思ってるだけなんだよう!
でも、味方の後方を必死に駆けずり回って補助魔法を掛けまくる。これって意味あるのかな?とは、どうしても思ってしまう……。
とにかく、いっけんライトなファンタジーに思えて、底が深い。ちょっと足をすすぐつもりが、気づくとどっぷり首までつかって、もう後戻りできないところにある。足湯のつもりが、これでは雪原の露天風呂だ。
いつものぼくなら、正直30万文字もある長編を読もうとは思わないのですが、いまはすっかりその30万文字が期待の数値でしかないです。
ああ、セレナ。ぼくは最後まであなたについていくことに決めました。姉ではなく、妹のあなたに!
太陽のように人々を惹きつけ、中心に立ち続ける聖女の姉。 そんな姉は誰よりも妹を大切に想い、慈しんでくれます。けれど、周囲の目が姉にばかり注がれるなかで、妹はいつしか自分を「ただのおまけ」だと思い込むようになってしまう。
姉の愛を信じているからこそ、言葉にできない寂しさ。 自分の凄さに気づかず、一歩後ろで微笑む彼女の健気さに、胸が締め付けられます。
でも、読者である私は「もっと彼女を見て! 褒めてあげて!」と叫びたくなる衝動が止まりません。 彼女の頑張りが正当に報われ、世界にその名が響き渡る日を楽しみに、最後まで追いかけたいと思います。
猫屋敷むぎさんの、
雰囲気の良いファンタジー作品です。
「おまけの白魔導士」という興味深い立ち位置と、一歩引いた主人公を通して、周囲のキャラクターの魅力が引き立つ描写がお上手で、序盤からワクワクしました(ΦωΦ)
壮絶な過去を持つ姉妹。
貴族たちがこぞって引き取りたいと願う、光のような姉。
幼い頃から優しく、魅力的で、誰からも愛される存在。
そんな姉に憧れながら育った妹セレナと共に、
二人は孤児院からアカデミーへと進みます。
案の定、姉は光として称賛され――
妹セレナは支援として、静かに影になっていく。
「聖女の妹」
そう呼ばれるようになり、それでも変わらず、
優しく在ろうとする姉。痛む心。
そして、セレナは考えます。
「姉が聖女なら――私は、何になれるんだろう?」
十四話時点で、
ひとつのよく出来た序章のようでもあり、
この先の展開がとても気になる作品です。
第一章・アカデミー編までを拝読してのレビューです。
魔族との戦いの中にある国、家と領地をなくした白魔法を持つ姉妹が主人公です。
姉は早くから聖女の輝きを持つ……となれば姉妹格差ものかと思うでしょうが、この姉妹は強い絆で結ばれています。
関わることになる勇者やタンク、エルフたちもどうやら悪人ではなさそう。やや鼻につく言動をする同級生の貴族すら、なんだかおかしみをたたえています。登場人物たちが記号ではなく人間的なあたたかさを持っていることが、この物語のいちばんの推しポイントだと感じました。
凛と貫かれているのは主人公の空気感だけではなく、作品全体をおおう「誰かを想う心」です。
人々の弱さ、そして強さをあますことなく描いていく物語の先行き。また姉妹が痛みを乗り越えた先にどのような幸せを選ぶのか。楽しみに追わせていただきます!
少しずつじっくり読み進めたいと思い、まだ序盤までしか読めていませんが、その段階でも確かな文章力を感じました。
描写がとても丁寧で、文を追うごとに情景が自然と頭に浮かんできます。
何より読みやすく、物語の世界にすっと入り込める点が印象的でした。
私自身も、こうした文章を書けるようになりたいと感じさせられます。
タイトルや、ヒロインが事故死するという導入からは、いわゆる流行りの転生ものを思わせますが、物語を追っていくうちに、王道ファンタジーとして素直に読み進められる印象を受けました。
作者様のプロフィールにある
「基本、甘々だけでは終わらない試練多めのハッピーエンド派。
“ざまぁ”も好きですが、苦い薬のように効かせたいタイプです。」
という言葉にも共感しています。
カクヨムでは本当にさまざまなタイプの作品に出会えるのが魅力だと感じていますが、その中で、本作のように自分の感性に自然と寄り添ってくる作品に出会えたときの喜びは、また格別です。