第6話 木山宏美への復讐2
木山義彦は仕事が終わると馴染みのバーに来た。
義彦は新婚三か月。本来なら新婚の妻の待つ自宅に帰るのが自然だろう。
しかし妻の宏美は今日はバイトで帰りが遅くなる予定だ。
そんな日は昔から通っているこのバーで飲んでから帰ることにしている。
義彦がバーの扉を開けるとカウンターにいた男が声をかけてきた。
「いらっしゃいませ。木山様」
その男はこのバーのマスターではない。
自分のいつものカウンター席に座りながら義彦は男に尋ねた。
「君は新人さん? マスターはどうしたの?」
「はい。今日からここでバイトさせてもらっている中村と申します。よろしくお願いします。マスターは今日は風邪でお休みです」
俺は笑顔で義彦に挨拶する。
魔王の能力の一つに別人に姿を変えられるというのがある。
姿を変えた俺はこのバーのマスターにバイトとして雇ってもらったのだ。
そしてこの店のマスターには悪いがマスターを魔力で体調不良にしてしばらく店を休んでもらうことにした。
「こちらこそよろしく」
義彦は俺に挨拶した後にカクテルを注文する。
俺はカクテルなんて作ったことなかったが魔力を使ってカクテルを作った。
まったく便利な力を手に入れたぜ。
そして俺は義彦にカクテルを出す。
「さっき俺の名前を呼んだけどどこかで中村さんと会ったことあったっけ?」
「いえ、マスターからお得意様の特徴を聞いていたので木山様だと分かりました」
「そうだったのか。俺ってそんなに特徴あるかな?」
義彦の外見はスーツを着ていて特別イケメンでもない。
身長もそれほど高くないし身体も少し中年太りしている。
宏美が義彦のどこを気に入って結婚したのかは分からないが平凡な中年サラリーマンというのが一番義彦にはお似合いだろう。
だがそんなことは当然本人には言わない。
「木山様は顔立ちも男らしく仕事のできる男性って感じでいつもグレーのスーツを着ているとマスターから聞いてました」
「ハハ、お世辞でも嬉しいな。中村さんの言葉で当たってるのはいつもグレーのスーツってとこだけかな」
笑いながら義彦はカクテルを飲む。
「それに最近結婚されて新婚さんだとも伺いましたが奥様のことは放っておいてよろしいのですか?」
俺は義彦の宏美への愛情の深さ加減を調べようと探りを入れた。
「いやあ、新婚と言えばそうなんだけど妻は今日はバイトでね。妻がバイトの時はここでお酒飲んで帰るんだよ」
「そうですか。奥様が夕飯作って待ってるって訳じゃないですね。あ、これは失礼なことを申しました」
「ハハハ、いいって別に。実際俺の給料じゃ生活厳しいし。お互いにいい
義彦は笑いながらお酒を飲む。
まあ、宏美は二回も離婚経験者だし年齢も28歳だ。
義彦の言うように甘い言葉を囁き合ってイチャイチャしている新婚ではいられないのだろう。
「でも俺なんかと結婚してくれた宏美には感謝はしているよ。ただ欲を言えばもっと若い女と結婚したかった希望はあるけどね。おっと、これは妻には内緒だよ、ハハハ」
陽気にお酒を飲む義彦に俺はにこやかに微笑む。
義彦はもっと若い女が良かったのか。
それじゃあ、義彦の希望通り若い女を紹介してやるぜ。
お酒のグラスが空になったタイミングで俺は新しいお酒を義彦に出した。
「あれ? 新しいお酒は頼んでないけど?」
「はい。こちらはあちらの女性の方からの差し入れです」
戸惑う義彦に俺が説明すると義彦は女性の方を見た。
そこにはとても美人で若い女性が座って義彦を見ている。
この女性は俺が人形を元にして魔力で作った女だ。
スタイル抜群の20歳そこそこに見える若い女が義彦に微笑む。
義彦が息を呑むのが分かった。
「ねえ、お兄さん。隣の席空いてるかしら?」
その女が義彦に近付いて声をかける。
「ど、どうぞ。空いてますよ」
義彦は女性を凝視している。
「私は
「義彦だ」
「フフ、いい名前ね。貴方とはいいお友達になれそうだわ」
真夜は義彦をジッと見つめる。
義彦はスッカリ真夜の魅力に囚われたようだ。
二人はその後親し気に話をしていたが真夜が義彦の手を取った。
「もっと二人で仲良くできる場所に行かない?」
「ああ。そうだな。行こうか」
義彦は操られるように真夜に手を取られながらバーの会計をすると二人で外に出る。
俺は二人の後を追いかけて腕を組んで歩く二人の写真を撮った。
二人はラブホテルに入っていく。
その瞬間も俺はカメラで写真を撮った。
そしてダメ押しに姿を消して二人がベッドでお楽しみ中の写真も撮ってやった。
ハメ撮りってやつだ。
後はこれを宏美に送り付けてやればいい。
宏美はどんな顔するかな。
俺はその時の宏美の顔を想像して楽しくて仕方なかった。
だが義彦にはもう少し役に立ってもらおう。
真夜との一夜は俺からのプレゼントだ。
ありがたく受け取れよ、義彦。
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