第4話 元の世界は10年後



 俺はノアからの説明を受けた後にノアの案内で人間界に戻ってきた。



 太陽が眩しいぜ。ずっと暗闇にいたからな。



「それで魔王様。最初はどちらへ行かれますか? さっそく復讐を開始されますか?」



 ノアと俺は空中に浮いてる。

 ちょっと怖い感じもするが下には俺の住んでいた△△島が見えた。



「とりあえず島に戻ってあいつらの様子を見る」



 俺が車に轢かれて死んだのを見て奴らが今どう思っているのか見てみたい。

 間違っても泣く奴はいないだろうが。



「しかし魔王様。魔王様の復讐の相手である同級生はもうあの島にはいらっしゃいませんよ」


「なんだって? いないだと?」



 ノアの言葉に驚き俺は聞き返した。



 右藤たちがもう島にいないだと?

 奴らはもう島を出て都会に引っ越したのか?

 定期船は週に一度しか来ないはずだが。



「はい。人間界では魔王様が亡くなられてから10年の歳月が流れております」


「へ? 10年?」


「はい」


「俺が死んでからもう10年も経っちまったのか!? 嘘だろ!?」



 どういうことだ? あの世には1日か2日しかいなかったはずだぞ。



 暗闇にいたから時間感覚がおかしくなっていてもさすがに10年もあの暗闇にいたはずはない。

 するとノアが淡々と答える。



「あの世と人間界は時間の流れ方が違いますから10年ぐらいの時間差が出てもおかしくないかと」



 なんだと? そんな話聞いてねえぞ。



 そして俺は重要なことに気付く。



「ちょっと待て。じゃあ、急いで復讐しないとじゃねえか!」



 俺は焦りを覚えた。

 あいつらには俺の復讐で死んでもらわないと困る。

 勝手に寿命やら病死されたら俺が魔王になって復讐しにきた意味がなくなるじゃねえか。



「まあ、そうなりますねえ」



 ノアはあくまでマイペースだ。



「では復讐を始めますか?」


「いや、待ってくれ。その前に調べておきたいことがある」


「何でございましょう?」


「俺が死んだ事故のことだ。事故の後にどうなったか調べたい」



 右藤のせいで俺は死んだんだ。

 あの後に右藤は警察に捕まったのだろうか。

 もし刑務所とかに入れられていたら少しは溜飲が下がるというものだ。



「分かりました。では事故の記録が保存されている警察署に行きましょう」



 俺とノアは瞬間移動した。



「ここの警察署の書庫に魔王様の事故の案件の書類がございます」



 ここは島の交番を管轄する内地の警察署らしい。

 俺とノアは警察署に入るが誰も俺たちに気付かない。

 魔王の能力の一つで俺たちは姿を消しているからだ。


 書庫に入った俺は膨大な捜査資料の中から自分の事故の捜査資料を探し出す。

 探すのも魔力で該当する事故の書類を頭の中で思うだけで書類が勝手に棚から抜き出されて俺の手にくる。



 さて俺の事故の捜査はっと。



 ペラペラと捜査資料を捲って確認する。



『〇月✕日。△△島での交通事故の件について』



 俺は捜査資料を読んでいく。



『松嵐幸人、18歳は道路に飛び出し乗用車に轢かれて死亡。乗用車を運転のAさんも死亡』



 閻魔大王の言ったとおり運転手も死んだらしい。

 だがあの時に閻魔大王にも言ったがそれは俺のせいではない。



『なお、松嵐幸人が飛び出した姿を複数の同級生が目撃。松嵐幸人は突然走り出し道路に飛び出したとのこと。同級生の証言から松嵐幸人は同級生に以前から「死にたい」との発言を繰り返していた』



 なんだと!? 俺が「死にたい」と同級生に言ってただと?

 そんなこと一度も言ったことはない。少なくとも同級生には。



『以上の証言から松嵐幸人は自殺したものと考えられる。以上で調査は終了とする』



 そんな馬鹿な。あの時右藤に卒業証書の筒を道路に投げられたのは近くにいた同級生たちもみんな分かっていたはずだ。

 しかもその同級生たちの証言で俺が自殺したことで片付けられているなんて。



 警察もこんな簡単に調査終了とかありえねえだろ!

 正義もクソもねえな! やはり俺自身が復讐しなきゃならねえな!



 俺はマグマのように沸々と同級生への恨みが熱く大きくなる。



 あいつら口裏合わせて俺を自殺だと証言しやがって。

 もう許しちゃおけねえ。

 地獄を見せてやるぜ。



「ノア。復讐を始めるぜ」



 俺は自分の心がどす黒くなっていくのを感じた。

 奴らに慈悲など与えるつもりはない。



「はい、魔王様。まずは復讐者リストのナンバー1、木山きやま宏美ひろみですね」



 ノアはリストを見ながら淡々と俺に告げた。



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