第5話 ランク認定と命名式

 教官が咳払いをして、ざわめく会場を収める。


「ランクを発表する。コントロールは、剣が先走り、レイ・メランが後ろを追いかける形であったため、最低評価のEとする。アトリビュートは攻撃・防御、そして連携。炎、氷、そして雷の3つの魂が連携して戦っているようだ。最後にハザードだが、最高ランク、SSSと認定する。よって、総合ランク、SSS!」


 俺は口をポカーンと開けて黙り込んだ。だって、それしかできないだろう。

 落ちこぼれの俺が、もっとも危険でもっとも強い剣を生み出してしまったのだから。

 周囲の空気がガラリと変わるのがわかった。恐怖する者、嫉妬で怒り狂う者、単純に尊敬の声を漏らす者、反応はさまざまだ。

 ――なあ、もう一度言うけど、俺、目立ちたくないから何も起こらないでって言ったよね? お願いしたよね? 神様っていないんじゃないの?


「では、レイ・メラン。所有の剣の命名をしてくれ」


 この王国では、自分で抜いた剣は自分で名前をつけて登録することになっている。俺は少し迷った末、自分の剣のカオスさにぴったりな名前を思いついた。

 おこがましい、か? でも、これ以上にぴったりな名前が思いつかない。


「――ケルベロス。《ケルベロスのつるぎ》にします」

「ふむ、よかろう。3つの魂が埋め込まれているからか。ぴったりだな。――よい試合だった。また手合わせしよう。剣は使い手を選ぶ。だが、剣に使われるでないぞ」


 教官に言われ、やっとのことで感謝の言葉を繰り出し、ひとまず大きなイベントは幕を下ろした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る