第3話

「ところで、何か願いはないのか?」

悪魔はコーヒーカップをテーブルに置きながら俺に尋ねた。


「願いね〜」

俺は悩んだ。

――だめだ、何も思いつかん。


「よく考えろ。何かあるだろう?

 若さを取り戻したいとか、世の中の快楽を全て体験したいとか」

「それはさっき聞いたな」

「あの頃に戻って人生をやり直した〜いとか、気になるあの子とあんなことなこんなことをした〜いとか」

「気持ちはこもってるけど、おんなじこと言ってない?」

悪魔は黙り込んでしまった。

他には無さそうだ。


「何でも良いんだよ。……これだからZ世代は」

「何でも?」

「そう! 何でもだ」

「じゃあ……」

「じゃあ?」

悪魔の目がキラキラ輝き出した。


「帰ってくんない?」


悪魔の目が死んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る