第2話

「ところで、仕事はどうなんだ?」

「どうって何が?」

「上手くいっているのか?」

親戚のオヤジみたいなことを言う。


「まあ、英文を読んで聞かせるだけだからなぁ。うちは進学校でもないし」

「しかし、先生と呼ばれるには、それなりの苦労があるんじゃないのかね?」

「う〜ん、確かに人に物を教えるってのは、それなりに苦労はあるかなぁ」

「だろう? それなりに学問を修めると、至らないものを見下す心が芽生えるってもんだ」

「それは、ないかな」

「そうか? 先生と呼ばれるような奴は、何かしら心に歪みが出るもんだぞ」

「偏見が酷いな……」

「そうかね? 昔、吾輩が憑いた奴なんかは、それはもう高名な学者だったが……」

「だったが?」

「その願いを聞けば、若さだの快楽だの。まあ、それが壊れていくさまは見てて楽しかったがね」

「悪魔かよ」

「いやいや、吾輩はただの観察者さ。

 しかしあいつ、なんて言ったかな……」

「覚えててやれよ。可哀想に」


……しかし、その話どこかで聞いたことあるような。


「ああ、確か……ファ、ファ……何だったかな。ここまで出てるんだが」

悪魔は宙を見上げ、自分の首元を切るような仕草をする。


「ファ?(ファウストって言え!)」

「そうだ、ファクラテス! きっとそう!(確信)」

「……たぶん、違うと思うぞ」


お前には、ガッカリだ。

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