エピローグ

「ねぇ、ジーニー。

やっぱりレントゲン室やめようよー。」


「この先のことを考えると、私は造影室は残しておいた方がいいと思いますよ。」


「あっ、じゃぁ、もう一部屋を繋げちゃうとか?」


「隣の部屋は借りている方がいらっしゃいます。」


「あっ、あっ、じゃぁ、それなら…」

「上の部屋も埋まっています。」


「し」

「下の部屋も同様です。」


「もー、ジーニー食い気味で言わないでよー。」


ガチャッ


診断室のドアが開き、花村さんが顔を出した。


「ごめんなさい、患者さんが帰られたから報告しようと入ろうとしたら、お話し中だったので少しドアの前で待っていたため聞こえてしまいました。

何のお話をされていたんですか?」


何となく焦っている様子で、目を左右に忙しなく動かしながら御門先生が口を開く。


「えっ、いやー、あのー、

花村さんのおかげで、これから患者さんが増えるかもしれないから部屋を増やそうかなって

ジーニーと相談してたんだよ。」


「はい。花村さんが患者さんと真摯に向き合っている間、「御門先生がすることがないからゲーム用の部屋を作ろう」という相談を受けてました。」


「ちょ、ちょ、ちょっと、ジーニー!」


御門先生がそう言いながらモニターを抱え込んだ。


(先生、ジーニーって口はありませんよ…。)


この話は、スルーした方がよさそうだ。


「それにしても……造影室なんて、あるんですか?」


「ッゴ、ゴホン……。

そうなんだよ。ほら、そこにドアがあるでしょ。その部屋はレントゲンが撮れるようになっているんだよね。」


そう言って、御門先生は診断室の右側にあるドアを指さした。


少しだけ真面目な声になる。


「霊に憑かれた人って、咳が止まらなくなる症状が出やすいんだ。

そうすると肺に影が映って、肺癌を疑われることが多い。

だからね、このクリニックにもレントゲンはあった方がいいと思って、一応機材を揃えたんだ。


……ほら、病院感も出るじゃない。」


(こんな調子だけど、やっぱり御門先生は患者さんのことを

ちゃんと考えているんだな。)


「やはり御門先生。

以前から提案させていただいている、オンライン診断についてですが——」


「また始まったよー。

ジーニーのオンライン診断勧誘がー。」


いつもの光景。

いつものコント。

息の合った二人(?)と、見習いカウンセラー。


原因不明の体調不良がある方。

一度、このクリニックに足を運んでみませんか。


その症状——診断いたします。

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Unleash Lab 〜原因不明の不調を診断します〜 3.母を求めて… @hachio_haru

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