第8話 御神仏様の空中散歩?

「う~ん、それにしても空──。空中での移動は、まだまだ寒い。冷たいの~」


 冬晴れの空──。まあ、何処からともなく女性の嘆きと呟きが聞こえてくるね。


 それも、その声音は大変に凛々しく、神々しく……。まあ、可愛くね……。冬の空はまだ冷たい、寒いのだと嘆きながら呟いている。


 だから嘆きが聞こえた方へと視線を変えてみると、人の肉眼では見えない。映らないから確認をする事が不可能な物……。


 そう物の怪、妖怪、幽霊と言った恐ろしい類の者達ではなく、大変に神々しい者……。神、神仏、女神、精霊、地霊さまたちのような大変に高貴で神々しい御方……。


 自分の銀髪を冬風に揺らしながら、可愛い狐耳をピクピクと動かしつつ、金色の瞳で地上を見詰めつつ高貴な巫女服姿で可愛い彼女……。


 まあ、御稲荷さま、妖狐さまは、御自身のこれまた可愛い銀色の狐の尻尾をフワフワ、モフモフと冬風に揺らし、時よりパタパタと可愛く動かせながら。


 この、うぅ~寒いのぅ~! と誰もが嘆き、呟きたくなる真昼の空を薄着……。紅白の縁起の良い巫女服姿で、人目につかぬようにお忍びで岡山県にある御稲荷さまを巡り、巡回……。


『悪い妖怪はおらんか?』

『悪い霊魂が人に憑りついておらぬか~?』

『厄落としじゃ~!』

『特に悪い子には必ずと言ってよいほど悪霊が憑りついているから~、わらわが稲荷寿司に変わってお仕置きじゃ~?』と。


 まあ、何処かのアニメのヒロインさまのような台詞も妖狐さまは呟きつつ西日本の中を空から巡回しつつ最後の岡山県の視察を終えたから、


 彼女……妖狐さまはね、御自身が住み暮らす西の都は京の小さいが真っ赤な鳥居がある小規模の……。もう地元の人ですら忘れられ放置され、かかっている荒れた稲荷神社へと高速移動の帰宅の途の最中のようだ。


 しかしこの時期はクリスマス……。大晦日……。除夜の鐘が迫っている真冬だから、妖狐さまが神技、妖力を使用して冬風を防ごうとも、やはり寒いものは、寒いから、巫女服姿の薄着で空を飛ぶは嘆き、不満を漏らす。


 しかしお稲荷さま、妖狐さまの嘆きと不満はこれで終焉する訳ではなく。


「う~ん、寒いから、わらわも早く西の都の社へと帰還してストーブに火を入れ部屋にある炬燵こたつへと潜り入って、自身の身体を丸め、温まりたいものじゃ……。あああ……」


 妖狐さまは更に嘆き、不満を漏らす。


 すると妖狐さまは地上のある商業施設……。観光施設……。道の駅と言う物を何気なく見詰めると。


「クンクン」


 妖狐さまは可愛く、御自身の鼻を鳴らした。




 ◇◇◇



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