第5話 過去の不幸な記憶(4)
僕のマナーモードになっているスマートフォンには年上の元カノから。
「(今日は昨晩の疲労がでたのかな? 病院へといったら先生にだいじょうぶ、心配はない。今日一日安静にして寝ていれば、明日には脱力感も抜けて仕事にいけるからだいじょうぶだっていっているから。今日は悪いのだけど翔太……。私も安静にしておくから会うのはよしましょう。おやすみなさい)」と。
僕とあの日だけでは、今後のことが色々とごちゃごちゃあるから、仮病を使用してでも会いたくないとL○NEへと長文メールが着ているとも知らずに、僕はエスカレーターが降りてくるのを待ち続け、到着すれば。
僕の目の前で扉が開いた瞬時に慌ててエスカレーター内へと飛び込んだよ。
せめて僕……。エスカレーターに乗ったと同時に、一息つくためにスマートフォンの画面を見れば、僕はあんなにもおぞましく、悪意ある、気が触れ、可笑しくなること……。
そう僕が今抱える精神的な病……。パニック障害と重度の女性不審とアレルギーにはかかり、侵されることはなかったと思う?
だけど僕は、そんな精神的な余裕がないほど元カノのことを心配して、彼女の部屋がある階のエスカレーターのボタンを慌てて押して、余り変わらないだろうと思われる、エレベーターの扉が閉まるボタンを『カチカチ』と押し続けた記憶があるよ。
◇◇◇
《ガチャ、ガチャ》
僕はあの日! いかなくてもいい。こなくてもいい。僕の元婚約者の沙也加がL○NEでメールをちゃんと送ってきて、家にくるな! 絶対くるな! と拒否を示していたのにさ。僕がね、ちゃんと仕事中……。取引先に迷惑をかけたらだめじゃない?
だからね、僕のスマートフォンをマナーモードにしていた。
でッ、そのことに僕は阿保で、馬鹿で、鈍間な、真正直……。相手……。
それがいくら僕の婚約者だろうとも常に猜疑心のある目で見ておかないから、あんな厄災が25歳の今からという年齢……。未来ある年齢……。仕事が上手いけば、いくほど未来が明るく、楽しくなる。
そして会社の方も僕に色々な責任を押し付け、任せてくれるから、自分が更に大人へとなった気分に陥り、仕事に関して更に前向きへとなる、25歳という年齢に厄災がドォ~~~! と堕ちるためのレクイエムを聴き取るために僕は元婚約者の部屋の合鍵を開け扉を静かに開けたよ。
そして僕は玄関に入り、自分の履いている革靴を脱ぐために足元を見た! 確認した!
すると僕の足の先に冴子のパンプスだろうと思われる物と紳士物の革靴……。
それも僕の物ではないものがあるから。
あれ? 誰の革靴だろう? と僕はテンプレ通りに首を傾げた。
しかしあの時の僕は兎ではなく、素直で阿保、馬鹿でドジな亀だから。
直ぐに、あれお父さんかな? と思う。
そして靴を脱いで玄関を上がれば。
「うぅ、ううう」と唸り声……。
「はぁ、はぁ」と荒い気遣いが僕の耳へと聞こえてきたから。
僕の元婚約者が高熱で魘され、荒い息遣いをしているものだとばかり思って、奥のリビングではなく、沙也加の部屋……。寝所へと駆け足で向かい、慌ててアイツの部屋の扉を開けたよ。
そして僕の口からは『沙也加だいじょうぶか?』ではなく。
僕は「あっ!」と驚嘆してしまう。
だってアイツは自分のベッドで僕の見知らぬ男……じゃない……。
そう家の会社の人事部の部長しているあいつ……。妻子もいる爺が横たわる上に沙也加は馬乗り状態で、淫らに自分の腰を振り、陶酔しながら嬌声を漏らしているわけだから。
僕は元婚約者のそんな状態と言うか? 僕と婚約しているのに不倫をした……。不倫をしていた? 不倫を続けていた状態を見て、確認したのだから真っ青な顔で驚嘆するのは当たり前……。
そう先ほど僕が玄関で聞いた声は、沙也加が病魔に侵され呻っている訳ではなく。
沙也加が僕以外の男に自分の身体を任せ歓喜していた声だったと僕は気がついたのだ……。
そうあの日の僕はまさか自分が元婚約者との不倫相手の男との濡れ修羅場に出くわすなんて夢にも思わないから唖然、呆然……。
しかし少しばかり時間が経てば、いくら僕が唖然、呆然としていても、仲良さそうにしている両人も僕の気配に気がついて同じく唖然、呆然だよ……。
沙也加なんか真っ青な顔で、血の気も引いたような顔で「ああ」としか声が出ないでいた。
そして人事部の部長も呆然としていた。
(お願い)
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