第4話 過去の不幸な記憶(3)

《ブル》


《ブル、ブル》


 と、自分の着衣しているスーツの上着のポケットに入れているスマートフォンのバイブ機能が揺れるから。


 あの時の僕は自分のスーツの上着のポケットへと手を入れ──スマートフォンを掴みながら。


 僕は何だろう? と首を傾げた。



 ◇◇◇



 ……ん? 桜場からか? 一体何だろう……?


 僕は、自分の机の上に商品サンプルを置き──。僕の上司だった一課の課長が『相沢君、今日はもう帰宅をしてもよろしい。お疲れ様』と労いの言葉をくれた。


 だからの僕は自分のA4タイプのカバンのショルダー部分を鷲掴みすれば、自分のスマートフォンのバイブ機能が鳴り、揺れたから、誰だろう? と思うことはなく。


 何故か? 外回りの予定もなく、何故か、人事課の方から外回り……。人事課の用事をしてきてくれないか? と人事部の部長に頼まれて、取引先なのか? まあ、僕にもよくわからない、急な用事で会社を出て……。


 その後、体調不良を理由に会社を早退……。直帰した沙也加が、病院へといき、帰宅をしたから、心配をしないでくれと連絡……。L○NEへと電話か、メールかな? と思いながら。


 僕は……。確か自分のスマートフォンを確認してみたと思う?


 すると冒頭のシーンの通りだ……。


 僕のスマートフォンには元カノ、婚約者だった沙也加ではなく、桜場からのメールだった。


 だから僕はLINEを開き、桜場からのメッセージは何だろう? と思いながら確認をすれば。


「(沢口課長代理からの早退電話、俺が受けたのだけれど。課長代理はとても気だるげで、身体の体調が悪いような声音だったから。もしかすると病院へとまだ行かずに、自分のマンションへと戻り、寝ているかも知れないから、相沢、お前が早くマンションへと行き、看病をしてやれよ。課長代理は、お前の嫁さんになるのだろう? だから早く課長代理の部屋へと行ってやれ! この色男が!)」と。


 桜場は、僕へとプンプンと怒りのスタンプまで添えてL〇NEでメールを送ってきた。


 早く自分の上司である沙也加の許へといき、介護をして労ってやれと友人らしく、僕と沙也加へと気遣いをしてくれた。


 この後に僕の身に大変なことが起こるとはアイツもしらないから。


 僕が桜場から送られてきたL〇NEメールを見て『ニヤリ』と苦笑いを浮かべながら、アイツの方へと視線を変え、僕は桜場へと無言でありがとうと微笑むと。


 桜場は『いいや、いいや』と僕に気にするなと、自分の首を振れば。今度はアイツ、自分の顎を突き出し、事務所の勝手口の方へと向け──顎を何度もクイクイ! と突き出し、僕に早く会社を出ろ! そして沢口課長代理のマンションへと早く行け! と急かしてきたから。


 僕はコクリと頷き、また桜場へと無言でお礼を告げれば。


「……では課長! 課長代理! そしてみなさん、先にあがりますね、後はおねがいします」と。


 僕は事務所にいる上司達や会社の者達へと声をかけ、会社を先に上がるけれど申し訳ない、後は頼みますと嘆願をすれば。


 僕の愛車のミニクーパーが停車している会社の駐車場へと慌てて向かうのだった。



 ◇◇◇



 う~ん、僕はとにかく、あの日! あの時! 自分の愛車を慌てて走らせたかな?


 自分の婚約者が熱に魘され、病院へといかずに、自分の部屋のベッドで丸くなり。


『うぅ、ううう』と魘されながら寝ている可能性があったからね。


 だから彼女のマンションへと遊びにいった時にいつも利用をしているパーキングエリアへと僕は愛車のミニクーパーを停車すれば、僕は慌てて彼女のマンションへと駆け足で向かった。


 そしてエレベーターの前へと到着すれば僕は、エレベーターの前で地団駄を踏むではないけれど。


 僕は駆け足! マラソンをするフリの足上げ! 踏み! を落ち着き無くしながら、一階の自分の許へと中々降りてこないエレベーターの各階表示を見詰めながら。


 早く! 早く! エレベーターがこないかな~! 早くエレベーターよ、こいよ! さぁ~、早く! 早く~! 早く僕の許へとこないとエレベーターのドアを蹴り、破ってしまずぞ! と。


 僕と会話のできないエレベーターへと向けて、僕は阿保で馬鹿な間抜けな年下彼氏だったから、子供みたいなことを思いつつエレベーターが自分の許へと一秒でも早く降りてこないか? と思いつつ、トイレにでもいきたいような、真っ青な顔で見詰めつつ地団駄を踏む悪態をついていたと思う?




(お願い)


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