第7話
このままで良いのか?
なかなか寝付けない日が続き、思い浮かぶのは喫茶店。
行こう。
苦しいまま喫茶店に足を運ぶ。
「いらっしゃいませ。」
相変わらずの怪しいウエイターが待ってましたとばかりにニコニコと微笑む。
「なんだか今日は疲れていますね。ご注文は?」
「ココアを下さい。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
ウエイターがカウンターに戻っていく。
今日も相変わらずウエイター1人しかいない。
「ここはウエイターさん一人でやっているんですか?」
「いえ。主はワタクシ1人ですが、時々手伝ってくれる人もいますよ。」
「そうなんですか。」
一体手伝ってくれる人とはどんな人なんだろう。
そう考えているうちに暖かいココアが運ばれてくる。
「お待たせしました。ココアです。」
「ありがとうございます。」
「今日は随分素直なんですね。」
「素直って…。」
どういう意味だろうと思いながらココアを一口飲む。
いつもの耳鳴りと頭痛が襲ってくる。
《行ったのね弁護士に》
頭に声が響く。
「そう。でも弁護士に相談したけど、警察には行かなくて良い。気にしなくて良いって言われたわ。」
《前回話した通り、警察には言った方が良い》
「なんで…。」
やっぱりそうなのかという気持ちと、行かなくて良いという期待とがせめぎ合う。
「行こうとは思ってた。半分以上くらい行くつもりではあった。」
嘘では無い本心だ。
《弁護士と一緒に行くのが良いね》
「そうなんだ…。」
《でもこの先どんどん悪くなり、困難が待ち受けている。底つき体験をする。でも乗り越えられない試練は与えないから。》
「試練。」
《そう。何回か死にたくなることが待ってる。でも、攻撃をする人もいれば、支えてくれる人もいるから。その事は忘れないで。貴女は他の人よりも2倍3倍は努力が必要になる。ゼロからじゃなくてマイナスからのスタートになる》
「どうしたらいいの…。」
《自分で考えなくちゃいけないわ》
頭の声が消え、現実に引き戻される。
いや、さっきのも現実なのかもしれない。
「いかがでしたか?」
怪しいウエイターが話しかけてくる。
「警察に言いに行こうと思います。」
「そうですか。」
「ココア、ありがとうございます。」
いつも一口しか飲まなかったが、ごくごくと飲み干す
確かに味に問題はないのだ。
むしろ喫茶店で出される飲み物はどれも美味しい。
「喜んで頂けて光栄です。」
飲みきりお財布からお金を取り出す。
「ごちそうさまでした。」
「こちらこそありがとうございました。またのお越しをお待ちしています。」
怪しいウエイターに見送られ、新たな決意をし喫茶店を出たら、外はいくぶん眩しかった。
バットエンドルート 柚木 @Yuzuki--
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