第4話
次の日会社に行くと、1人の同僚から声をかけられた。
「溝野さん昨日のニュース観た?」
「昨日のニュースって?」
「ほら、女子高生が殺害された事件よ。」
思わず心臓がドキリと跳ねる。
「あぁ観ました。犯人まだ捕まってないみたいですね。」
「そうなのよー!早く犯人捕まって欲しいわよね。確か溝野さんのアパートの近くでしょ?」
「そうですね…。」
「怖いわよねぇ。溝野さんも気をつけるのよ。貴女まだ若いから。高校生ほどではないけどね。」
「はい、気をつけます。」
冗談っぽく日常会話のように話す同僚に、そう返すのでいっぱいいっぱいだった。
仕事中も女子高生殺害事件の事ばかり考えてしまう。
もしかして…
そう思わずにはいられない。
あの血だらけのストラップはその女子高生の物だったんじゃないか。
だとしたらとんでもない事をしてしまったんじゃないか。
ぐるぐるとそんなかんがえが頭の中を巡っていた。
「ふぅ。」
家に帰りベッドに倒れ込む。
今日は全然仕事に集中できなかった。
あの女の子はどうなったんだろう…
事件に進展があったかテレビを付ける。
ニュースにすると、今日も彼女は取り上げられていた。
依然として犯人は行方不明なままわかっておらず、警察が必死に捜査をしているらしい。
何か知らないことがないかと番組が呼びかける。
「そんなの、私だって知りたいよ…。」
思わず呟くと、携帯電話を持ったまま、友人と一緒に仲良く写真に写る女子高生の姿が映される。その携帯電話にはしっかりと、かつて洗って捨てた物と同じストラップが映っていた。
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