第6話「笑顔の“練習”」

 放課後の校舎は、音が軽い。

 昼間は人の気配が壁に染みていて、どこを歩いても擦れる。夕方になると、それが薄くなる。廊下の端に残った声も、掃除の箒の音も、遠くでほどけていく。

 それでも、焦げは残る。

 喉の奥に貼りつく匂いは、夕方の冷えで濃くなる。暖房の効いていない階段を上がると、胸の中で焦げが息に混ざる。混ざると、世界の輪郭が少しだけずれる。ずれが、今日という一日の終わりに影を落とす。

 俺は生徒会室の前で立ち止まった。

 扉のプレートは綺麗だった。文字は濃い。資料室のラベルみたいな薄さがない。ここは管理が行き届いている。行き届いているものほど、欠けが目立つ。

 扉の向こうは静かだと思っていた。人が残っている気配がない。けれど、俺の右目が微かに疼いた。熱い針が奥で息をするような感覚。痛みが来るときは、選択の直前だ。

 今日はもう、選択を増やしたくない。

 増やしたくないのに、足が動く。廊下の床が一度だけ鳴る。音が遅れて返ってくる。遅れが、俺だけに分かる程度に短い。

 扉の隙間から、灯りが漏れていた。

 生徒会室の照明は消えている。漏れている灯りは、別の場所のものだ。細い線。線が、扉と床の境目に沿って伸びている。線を見ると、糸を思い出す。糸を思い出すと、縫い目を思い出す。縫い目を思い出すと、黒い手袋が浮かぶ。

 俺はノックをしなかった。

 ノックの音は、誰かに自分の存在を固定する。固定された存在は、狙われる。狙われるのは俺だけで十分だ。巻き込みたくない人間がいる。いるのに、その人間の方が寄ってくる。

 扉に指先をかけると、金属が冷たい。指先が一瞬、貼りつく。貼りつきは現実の証拠だ。証拠を頼りに、俺は扉を少しだけ押した。

 きい、という音が出る前に、音が止んだ。

 校舎の遠くの声も、掃除の音も、外の車の音も、すっと薄くなる。無音ではない。無音の手前で、世界が息を止める。あの膜だ。放送室で感じた、音が切れる直前の膜。

 俺の右目が焼けた。

 視界の端が白く滲む。蛍光灯の白ではない。焼けた空の白だ。喉の奥の焦げが、さらに濃くなる。

 扉の向こうに、彼女がいた。

 会議机の前。鏡がある。鏡は生徒会室の備品ではない。どこかから持ってきた全身鏡が、壁に立てかけてある。鏡の前に、彼女が立っている。

 黒い手袋の右手。

 左手は素手。右手だけが黒い点として、白い照明に浮いて見える。

 彼女は鏡の中の自分を見ていた。見方が、敵を観測する目だった。自分自身を相手にしているのに、距離がある。距離があるから、笑顔が上手く作れない。

 彼女は口角を上げた。

 上げた瞬間、頬の筋肉が固まる。固まったまま、目だけが置いていかれる。目が笑っていない。笑っていない目は、空気を冷やす。冷えた空気が、俺の皮膚に刺さる。

 彼女はすぐに口角を戻した。戻す動作が、わずかに乱れる。乱れた指先が、右手の手袋を押さえる。押さえる力が強い。手袋の縫い目が、糸みたいに浮く。糸の線が、鏡の縁の直線と重なる。直線は図形になる。図形が重なると、空間が切り分けられる気がする。

 彼女はもう一度、笑おうとした。

 今度は歯を見せない笑い。柔らかい笑いのはずだ。けれど、喉の奥が引っかかったように、笑いが途中で崩れた。崩れたところに、音が落ちる。落ちた音が、床に当たって跳ね返らない。跳ね返らない音は、穴に吸い込まれている。

 彼女は手袋を押さえたまま、息を吸った。

 吸った息が少しだけ速い。速いのに、乱れているほどではない。その「少し」が怖い。彼女にとっての少しは、世界にとっての切れ目になり得る。

 俺は扉のところで、動けなくなっていた。

 見てはいけない。そういう感覚だけが先に来た。見れば固定される。固定されれば、彼女の「練習」が俺の記憶に刻まれる。刻まれれば、次に同じ場面が来るかもしれない。

 それでも、視線は離れない。

 鏡の中の彼女が、俺を見た。

 鏡越しの視線は直接よりも鋭い。反射が一枚挟まると、感情の匂いが消える。消えた分だけ、事実だけが残る。事実は逃げ場を作らない。

 彼女は笑うのをやめた。やめたまま、こちらを見た。扉の影に俺がいることを、最初から知っていたみたいに。

「入って」

 彼女が言った。

 声は小さい。小さいのに、空気が従う。従う空気は、俺の足を動かす。動かされると、自分の意思がどこにあるのか分からなくなる。分からないまま、俺は生徒会室に入った。

 扉を閉めると、外の音がさらに遠くなった。遠くなった音は、二重に聞こえる。片方は現実の音。もう片方は、遅れて追いかけてくる音。遅れの中に、薄いノイズが混じる。

 ジ、と短い。

 放送のノイズと同じ質感。

 俺の喉が乾いた。唾が飲めない。右目の奥が熱い。手のひらが冷える。冷えた手のひらで、俺は自分のズボンの縫い目を握った。糸の感触を確かめる。糸がほどけないことを確かめる。

 彼女は鏡の前から動かなかった。

 動かないまま、鏡の中の自分の顔を見ている。見ているのに、自分の顔を信用していない。

「見てた」

 彼女が言った。責める調子ではない。事実の確認。

「……偶然だ」

 俺は短く答えた。言い訳は増やしたくない。言い訳は説明になる。説明は固定になる。

 彼女は頷かなかった。否定もしない。頷きも否定もせず、右手を少しだけ上げて、手袋の甲を指でなぞった。縫い目をなぞる動きが、癖みたいに滑らかだった。癖は反復する。反復は記号になる。

「上手く笑えない」

 彼女が言った。

 言葉が短い。短いのに、ここへ至るまでの経緯が見える。何度も練習した。何度も崩れた。崩れるたびに、右手を押さえた。押さえるたびに、何かが内側で揺れた。

 俺は喉を鳴らしそうになって、やめた。喉を鳴らす音が、今の静けさの中では大きすぎる。大きい音は、継ぎ目を刺激する。

「誰に見せるためだ」

 俺の口から出た言葉は、自分でも意外なくらい平らだった。問いの形をしているのに、答えを求めていない。答えを聞いたら、俺は何かを選んでしまう。

 彼女は鏡を見たまま言った。

「みんなに」

「……みんな?」

「そうしないと、楽だから」

 楽、という言葉は軽いはずなのに、彼女の口から出ると重い。重いのは、楽でなければならない事情があるからだ。事情を聞けば、俺は近づく。近づけば終わる。

 俺は鏡の中の彼女の口元を見た。口角が上がりそうで上がらない。上がらないまま、唇が乾いている。乾きが、俺の喉の乾きと重なる。

「笑わなくていい」

 言ってはいけないと、分かっていた。

 分かっていたのに、言葉が先に出た。

 言葉が出た瞬間、世界が一度だけ止まった。

 ノイズが止む。外の車の音が止む。換気扇の低い音も止む。空気が動かない。動かない空気は、肌に貼りつく。貼りついた冷えが、背中を撫でる。背中に汗が出る。汗が冷える。

 俺の右目が焼けた。

 痛みは鋭くない。鋭い針ではなく、焼けた金属を押し当てられるみたいな熱。熱が広がる。広がる熱は、思考を削る。削られると、言葉が出なくなる。

 彼女は鏡から視線を外し、俺を見た。

 その視線は、さっきまでの観察とは違った。観察ではなく、確認。俺が今、彼女の側へ踏み込んだことを確認している。

「……言った」

 彼女が小さく言った。

 俺は返せなかった。返す言葉を選ぶと、また何かが固定される。固定された言葉は、次の世界でも同じ重さを持つ。重さを持つ言葉は、武器になる。武器は、刺さる。

 彼女は一歩、こちらへ近づいた。

 近づくと、空気が軽くなる。軽くなると、床が沈む。沈む感覚が、終末の入口に似ている。似ているのに、目の前の彼女は普通の制服のままだ。普通が、いちばん危ない。

 彼女の右手の手袋が、わずかに震えた。

 震えは寒さのせいには見えない。屋内は暖かい。震えは内側から来ている。内側から来るものは、止めにくい。

 俺は反射で一歩引きそうになって、止まった。

 止まったのは勇気ではない。単に、足が動かなかった。動けないとき、人間は「選ぶ」ことすらできない。選べないなら、世界が選ぶ。世界が選ぶと、終わりが来る。

 彼女は俺の目を見た。右目を見た。

「痛いの?」

 彼女の問いは短い。短い問いは、逃げ道を潰す。逃げ道が潰れると、俺は嘘をつくしかなくなる。

「大したことじゃない」

 俺はいつもの嘘を言った。

 嘘を言うと、喉がさらに乾く。唾が飲めない。焦げが濃くなる。焦げの匂いが、ここにも混ざる。生徒会室の紙とインクの匂いに、燃えた紙の匂いが重なる。空棚の前で感じた冷えが、掌に戻る。

 彼女は右手を押さえる指に、少しだけ力を入れた。

 手袋の縫い目が白く浮く。糸みたいな線が、彼女の手首の周囲に輪を描いているように見える。輪は図形になる。図形が、封じる印に見える。

「……私」

 彼女が言いかけて止まった。

 止まると、静けさが戻る。戻った静けさの中で、遠くの誰かの足音が二重に響く。片方が遅れてついてくる。遅れの中に、ジ、と短いノイズ。

 俺の右目がまた熱くなった。

 彼女は息を吸った。吸った息が少し速い。速いのに、まだ保っている。保っているところが危ない。限界の手前は、最後の支えが折れる場所だ。

「私が笑うと」

 彼女が言った。

 その言葉だけで、俺の背中が冷えた。汗が出る。汗が制服のシャツに貼りつく。貼りつきが現実の証拠なのに、証拠が増えるほど現実が薄くなる。

「何かが壊れる気がする」

 彼女はそう言った。

 断定ではない。気がする、という逃げ道のある言い方。逃げ道があるのに、逃げられない言葉。逃げられないのは、彼女自身がその言葉の重さを知っているからだ。

 俺は、喉の奥の焦げを飲み込んだ。

 飲み込んでも消えない。消えない焦げは、記憶の味だ。

 壊れるのは、何か。

 彼女は言わない。言えない。言えば固定される。固定された瞬間に、彼女の笑いが発動条件になる。発動条件が明確になれば、世界はそれを踏みに来る。

 俺は言葉を探した。

 慰めの言葉は避けたい。慰めは感情語を増やす。増えた感情語は、彼女の中の揺れを大きくする。

 代わりに、俺は事実を選びたかった。

 事実はまだ言えない。

 だから、選択だけを言う。

「……笑わなくていい」

 二度目だった。

 同じ言葉を繰り返すと、言葉が記号になる。記号は反復される。反復は、次の世界でも出てくる。出てくる言葉は、彼女の支えにも、引き金にもなる。

 彼女は瞬きをした。

 瞬きの回数が多い。目の乾き。乾きは、内側の緊張の証拠だ。緊張が解けないまま笑うと、笑いが割れる。割れると、壊れる。

 彼女の視線が、俺の右目から少し逸れた。逸れた先は、俺の口元だった。口元を見るのは、言葉を確認するときの癖だ。癖は、積み重ねの証拠だ。

「それ、困る」

 彼女が言った。

「困る?」

「私は、うまくやらないと」

 うまくやらないと、という言い方が曖昧なのに具体的だった。彼女には「うまくやる」べき相手がいる。相手は、学園か、誰かの組織か、世界そのものか。

 俺は、それを尋ねなかった。尋ねれば、彼女は答える。答えたら、俺は踏み込む。踏み込んだら、終わる。

 彼女の右手の手袋が、鏡の光を拾って少しだけ艶を見せる。艶は黒の深さを強調する。深い黒は、穴に見える。穴は、世界の底に繋がる。

 俺は自分の手のひらを見た。

 手のひらには、昨日の竹刀のざらつきの赤みがまだ残っている。赤みは現実の証拠。証拠を見て、俺は自分の足を固定した。

 ここで逃げたら、彼女は一人で練習を続ける。

 続けて、崩れる。

 崩れたら、誰かが彼女の笑顔を必要とする場所で、壊れる。

 壊れるのは、世界。

 その確信が、言葉にならないまま、胃の奥に沈んでいる。

 彼女が、鏡の前に戻った。

 戻って、口角を上げようとする。上げようとして、止まる。止まった指が、右手の手袋を押さえる。押さえる力が強い。縫い目が糸みたいに浮く。

 俺は、その糸を見てしまう。

 糸は縛るためにある。縛るためにある糸は、切るための道具にもなる。切れば、解放される。解放されれば、抑制が外れる。

 笑いが、抑制解除。

 その言葉が頭の奥で形を取りかけて、右目が焼けた。熱い針が、思い出すな、と刺す。刺されると、記憶の扉が閉じる。閉じる扉の向こうで、世界が何度も終わっている。

 彼女は、鏡の中の自分に向かって言った。

「……大丈夫」

 自分に言い聞かせる言葉。大丈夫という言葉は便利で、危険だ。便利な言葉ほど、穴を作る。

 俺は、口の中で息を整えた。

 整えるだけで、喉の乾きは消えない。乾きは、今の空気が薄い証拠。薄い空気は、継ぎ目が近い証拠。

 彼女が、俺の方を見た。

 そして、ほんの少しだけ笑った。

 さっきの「練習」の笑いとは違う。筋肉で作った笑いではない。けれど、それでも音がない。音がない笑いは、発動条件に触れている。

 俺の背中に冷たい汗が出た。

 汗が出ると、彼女は気づく。気づくと、彼女の目が少しだけ細くなる。細くなる目は、観察の目だ。観察されると、俺は動けない。

「……ねえ」

 彼女が言った。

 ねえ、という言葉は柔らかいのに、柔らかいだけじゃない。呼び止めるための言葉。呼び止められると、俺は止まる。

「私、変?」

「変じゃない」

 俺は短く返した。短い返事は、余計な形を作らない。形を作らないために、俺は言葉を削る。

 彼女は少し首を傾けた。

「あなたは、私を見ても逃げない」

 逃げないのではない。逃げるのが遅いだけだ。遅いのは、選択が増えるのを避けたいからだ。避けたいのに、避けられない。避けられない相手が、彼女だ。

 俺は視線を逸らしかけて、逸らさなかった。

 逸らすと、彼女は追う。追われると、さらに逃げられない。

「……逃げたら、困るだろ」

 俺はそう言った。理由は言わない。理由を言えば固定される。固定されれば、終わり方が増える。

 彼女は、しばらく黙った。

 黙りの間、外の音がまた二重に聞こえた。片方が遅れて追いかけてくる。遅れの中に、ジ、と短いノイズ。

 ノイズの糸が、空気を引き裂くみたいに感じる。

 彼女が、右手の手袋を押さえながら言った。

「私が笑うと、何かが壊れる気がする」

 二度目の告白。半分だけ。半分だけでも、俺の体が反応する。息が浅くなる。喉が乾く。指先が冷える。右目が熱い。

 俺は、頷けなかった。頷いたら、それが事実になる。

 否定もできなかった。否定したら、彼女が一人で抱える。

 俺は、選択だけを残した。

「……今は、笑わなくていい」

 彼女は鏡を見た。鏡の中の自分を見て、それから俺を見た。視線の往復が、短い。短い往復の中で、彼女の目に何かが溜まっているように見えた。溜まるものは、いつか溢れる。

 溢れるのが、笑いなのかもしれない。

 彼女の口角が、ほんの少しだけ上がった。

 その笑顔は、練習の笑顔より自然に見えた。自然に見えるのに、俺の背中の汗が冷える。冷えると、終末の匂いが濃くなる。喉の奥の焦げが、ここでも立ち上がる。

 彼女が、音のない笑いで言った。

「……ありがとう」

 ありがとう、という言葉は軽いはずなのに、彼女の口から出ると重い。重いのは、それが救いの言葉ではなく、契約の言葉みたいに聞こえるからだ。

 契約は成立する。

 成立したら、次が来る。

 俺の右目がまた熱を持った。痛みが、思い出すな、と押し返してくる。押し返されると、四つ目の終わり方の輪郭が遠のく。遠のくのに、欠けが際立つ。

 欠けている。

 欠けているのは、俺の記憶。

 欠けているのは、彼女の笑顔。

 欠けているのは、世界の歴史。

 そして、その欠けの中心に、彼女の右手がある。

 俺は言葉を飲み込んだ。

 壊れるのは、世界だ。

 その言葉は、今ここで出せない。出したら固定される。固定されたら、彼女の次の笑いが終わりになる。

 彼女は右手の手袋を押さえたまま、鏡の前で深く息を吸った。吸って、吐いた。吐いた息が白くならない。室内は暖かい。暖かいのに、俺の胸の奥は冷たい。

 彼女は小さく言った。

「練習、続ける」

 続けるという選択。止めるという選択は、今は選べない。

 俺は、扉の方へ下がることができなかった。下がると、彼女は一人になる。一人になれば、崩れた笑顔を支えるものがなくなる。

 だから、俺は扉の前に立ったまま、ただ言った。

「……ここにいる」

 彼女は頷かなかった。けれど、鏡の中で目が一度だけ動いた。俺の位置を確認するように。

 その確認が終わった瞬間、外の音がまた一段戻った。戻り方が少し遅い。遅れの中に、ジ、と短いノイズ。

 糸のようなノイズが、校舎のどこかで誰かを引いている気がした。

 彼女は、鏡に向かって笑おうとした。

 口角が上がる。頬の筋肉が固まる。目が置いていかれる。

 そして、すぐに崩れる。

 崩れた指が、右手の手袋を押さえる。

 俺の右目が、静かに痛んだ。

 痛みの中で、俺はただ、同じことを繰り返した。

 笑わなくていい。

 今は、笑わなくていい。

 壊れるのは、まだ先でいい。

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