敬虔なせい女、リース
◆ Side リース ◆
私はリース。一応、聖女と呼ばれています。
それは私が5歳だった頃、初めて教会に参拝した時の事です。妖精像の前でお祈りをした時に、私は何かを感じたのです。それ以降、私は毎日教会に通ってお祈りするようになりました。
「ひょっとしたら、聖女の素質があるかもしれないわね」
「そうね。5歳の頃からほぼ毎日、ここで祈ってますものね」
「ええ。きっと神性に通ずるものがあったのよ」
なんて噂が現実となり、私は固有魔法〈せい女〉に目覚めました。
これは味方を回復したりバフをかけたりする、サポートタイプの魔法のようです。
「素晴らしいわ! 王都の魔術学園に行きましょうね!」
「あそこなら、貴方の力を鍛え、役立てることが出来ると思うわ!」
「分かりました。まだこの力について分からない事だらけなので、魔術学園で沢山学びたいと思います」
こうして私は「敬虔な聖女」として魔術学園に通っている。
……というのが周りから見た私のイメージ。しかし、実際には――
「どうしてこうなった?」
神性に通ずるものを感じ取った? そんな訳ないでしょう?!
あれはただ、「わあ、この妖精像、裸だ~。めっちゃエロいな~」って思ってただけですよ?!
今から考えると、すっごく失礼ですよね。だけど、ちょっとおませな5歳児って大人の
数年後には、妖精像をそういう目で見ちゃだめと分かりました。
だからといって、唐突に敬虔な信徒になるはずもなく、「私もあんな風に大きくなると良いなあ」「美人で可愛いお嫁さんが欲しいなあ」など下心100%で祈ってました。
「それで得られるのが〈せい女〉って……」
これって、「君は聖女ではなく
実際、〈せい女〉に含まれている魔術〈せい域〉の詳細はこんな感じで――
1. 自身と味方の体力を持続回復するエリアを展開する。
2. 自身と味方のスタミナを増幅する。
3. これらの魔法は寝室で発動すると効果が3倍になる!
一見すると聖女のようで、よく見ると
なんですか「寝室で発動すると効果が3倍」って?!
「こんな魔法を授かるなんて、やはり『神は全て知っている』という事でしょうか?」
なんて思いながら学園に入学。
初回の授業で「固有魔法は皆様の強い願いを反映した奇跡です。己と向き合う事でより強力な物になります」と教わって、自分が情けなくなりました。
私って人よりも性欲が強いのでしょうか?(←正解)
魔術学園に入学してからおよそ一か月が過ぎました。
貴族とか豪族に交じって生活するという環境にも慣れ、平和な日常を送っているのですが……。
「リースちゃん、やっぱり素敵だなあ~。恋人とかいるのかな?」
「まっさかあー! だって聖女様だよ? そういう目で見ちゃダメでしょ!」
「確かにそうだね! もし告白しても、きっと『私は神に仕える者なので』って断られるよね~」
という風に、敬虔な聖女という印象が広がってしまいました! 本性は真逆なのに!
本音を言えば、可愛い恋人を沢山作りたいのに! 両手に花を超えて両手両足に花な
このままだと、幸せ甘々ハーレム生活を送れない!
しかし、そこに転機が訪れた。
「あれは……編入生のユイさん? あっ、メメさんが……」
私のクラスに編入生が来ました。困ったようにきょろきょろしていました。
それに気づいたメメさんが、ユイさんに話しかけました。
「そうだ、新しくこの学園に来た子なら……!」
ユイさんは私の前評判を知らないはず。それならば、私の恋人になってくれるかもしれません!
そう思った私は、ユイさんに話しかけました。
「はじめまして、ユイさん。私はリースです」
「はじめまして。ええっと聖女様?」
ユイさんは私の顔を見てびくっと体を強張らせました。
もしかすると、聖女という二つ名を知って萎縮しているのかも。
「リースでいいですよ。固有魔術が〈せい女〉なだけで、私自身は普通の女の子ですから。それに――」
私の本性は聖女ではないですから。
あなた達に話しかけたのも、下心があっての事ですし。
ユイさんも、そして隣にいるメメさんも、とても魅惑的です。この二人を恋人にできたら、凄く幸せだろうな。
目をつむって結婚後の生活を
時刻は19時半。私たちは一緒にお風呂に入っています。
リース『三人だとぎゅっと詰めないと湯船に入れないですね。ぎゅっ!』
ユイ『はわわわ……』
メメ『えへへ///』
二人をぎゅっと抱きしめて一緒に湯船につかります。
リース『二人ともお肌スベスベですー』
ユイ『もう、リースちゃん///』
メメ『くすぐったいよー///』
私が我慢できずに二人の
ユイ『お返しに私も……えいっ!』
メメ『恋人だもんね、私も触っちゃうぞ!』
リース『もー、二人とも甘えん坊なんだから///』
――良いです、とっても良いです!!
決めた、この二人は意地でも私のお嫁さんにします。
しかし、いきなり下心全開で近づいたら警戒されるでしょう。
徐々に仲良くなって、親友になってから告白するのが流れでしょう。
私が目指すべきは「親しみやすい聖女」です。
困っている子に「大丈夫? 良かったら私と友達にならない?」って声をかけるような素敵な人。
だから私はメメさんの方をジッと見ながら決意の言葉を口にしました。
「それに、私よりもメメさんの方が、ずっと聖女だと思いますよ」
そこへソラさんとカナさんも加わって、ユイさんとお話ししたり、学園内や学園周辺を案内したりしました。
その日以降、私達はよく話すようになりました。
夢のハーレム生活に一歩ずつ着実に近付いているのを感じます。
ふふふ、親しみやすさを演出しつつ下心はしっかり隠す計画は、何もかも順調に進んでいます!
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