第21話 ブレイカーという壁
「陸叶!」
メッセージは送ったものの、一刻も早く話したくて、休み時間に陸叶のクラスを訪れた。
「おはよー」
どうやら、まだスマホを見ていないらしい。
海吏は興奮してまくし立てる。
「来た!」
「何が?」
「ブレイカー!」
「ぶれいかー?」
「転入生!」
「そういや、来るって言ってたね」
「まだ分かんない!」
「来たんじゃないの?」
「だから、来た!」
「えぇっ?」
焦り過ぎて、陸叶には全く伝わっていない。
海吏はもどかしさでジタバタしたが、いったん落ち着いて呼吸を整えた。
「転入生が来たんだけど、そいつ趣味・特技ダンスの『ブレイカー』だった! 他のジャンル踊れるかは、まだ分かんない!」
やっと伝わったらしい。
「おぉー」と言いながら、陸叶は小さく拍手をした。
「自己紹介がてら踊ってくれたけど、場の盛り上げ方とか、空気の作り方とか……エグかったわ」
あの瞬間、確かに教室はステージだった。
空気の動きや熱量が、海吏の目に見えるようだった。
――『重信銀河』は、確実に場を掌握できるタイプのダンサーだ。
「どうする? 誘うの?」
陸叶が問いかける。
海吏は顎に手を当て、少し考え込んだ。
「誘いたい気持ちはあるんだけど……」
「根っからのB-BOYだったら、他ジャンルやってない可能性もあるよね」
陸叶は、海吏の不安をピンポイントで当ててきた。
あれだけブレイクが上手ければ、ブレイク一本でやってきた可能性も大いにある。
「どうやって聞くかだな……」
下手な聞き方をしたら不快にさせてしまうかもしれない。
「ブレイク以外も踊れるならチームに誘いたい」だなんて、ブレイクをあれだけ極めている人間にとても失礼な話だ。
だからといって、現メンバーがブレイクを踊れるわけでもない。
海吏は少しだけブレイクも習っているが、峻は倒立ができる程度だ。
陸叶に至っては、倒立もできない。
「ブレイクチームにもできねーしなぁ……」
ただ、海吏の目指すチームには、ぜひとも欲しい逸材であることには間違いない。
それに、ピンポイントで大技を入れられるのは、チームにとって強い武器になる。
「峻に相談してみる?」
「そうだな……いいアイディア貰えるかも」
海吏はポケットからスマホを取り出した。
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