第18話 三人目、決定

峻は視線を下げたまま、フッと笑った。

もうこれは、鼓動に任せて踊るしかないだろう――。

峻は肩幅に足を開き、両手をズボンのポケットに入れた。


奥苑峻おくぞのしゅん翠徳すいとく高校2年C組。身長172cm、6月25日生まれ、蟹座のB型。好きな食べ物は焼き肉で、嫌いな食べ物特になし。ヨロシク」


照れ隠しなのか、ぶっきらぼうに自己紹介をすると、二人から逸らすように視線を斜め上に向ける。

――そのせいで、突進してくる二人に気付く事ができなかった。


「峻ー! ありがとう! 俺めっちゃ頑張るから!」

「本当にありがとう! 良かったー!」


大型犬と小型犬に挟まれて、もみくちゃにされる。

峻の目には、ちぎれそうなほど振り回される尻尾が見えていただろう。


(まぁ、思ったより悪くはない――)


峻は、他人と深く関わるのが苦手だと思っていた。

けれど、もしかすると未経験だっただけかもしれない。

しばらくはこの不思議な感情に振り回されそうだ。

――そう思っていると、急に陸叶の動きが止まった。


「……ちょっと待って? さっき峻、2年・・って言った?」

「言ったけど」


真顔でピースをする峻。

海吏と陸叶の顔がサーッと青くなる。


「あ、え、ごめん! じゃなくて、ごめんなさい!?」

「俺たちずっとタメ語で……」


慌てる二人を見て、峻にほんの少し悪戯心が芽生えた。


「いや、いいよ。俺に尊敬に値するような貫禄が無いのがいけないんだ……」

「そんなことない! ……ですよ!」

「そうだよ……じゃなくって、そうですよ!」


峻は我慢できなくなり、噴き出した。


「嘘。冗談だよ」


二人の顔が安堵する。


「今さら敬語使われても、こっちもしんどいし」

「いいの?」

「どーしても『先輩』って呼びたいなら付けてもいいよ?」

「あ、いや、大丈夫! 大丈夫ってのも何か変だけど」


海吏の慌てっぷりが面白く、ついからかってしまう。

少しの間、きっとこのネタで遊んでしまうだろう。


「しょーがねぇ。特別だぞ」


峻は、拳を二人に向けて突き出した。

次に海吏が――そして陸叶も、同様に突き出して拳を合わせる。

こうして、三人目のメンバーが決まった。

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