第8話 次のステージへ

それから、季節は何度か巡った。

今まで交わることのなかった二人の人生が交わったとき、それは時に、思いもよらない大きなエネルギーとなることがある。

習っているスクール、得意なジャンル、好きなダンサー等々……二人が交わした言葉は、お互いのダンス人生に大きな広がりを見せた。


陸叶・・のここの抜き、やべーわ」

「いやいや、海吏・・のアイソレの方がエグいでしょ」


いつしか名前で呼び合うようになり、しょっちゅう二人でダンス談義に花を咲かせる。

お互い認め合い、高め合いながら、練習を重ねた。

地元のダンスイベントもいくつも観に行ったし、遠出してワークショップに参加したこともある。


「今度この曲やろうぜ!」


時には二人で振付を作ったりもした。

どこに出すわけでもなかったが、それらは全て動画に収めている。

今見返せば、最初の頃の作品など見るに堪えないほど拙かったが、それでも、あの時間は最高に楽しかった。




「やーばっ……何この繰り返し。ダサくねぇ?」

「海吏、自分で作ったんじゃん」

「久しぶりに見るとハズいね」

「それは同感」


二年前の動画を見て、二人揃って苦笑する。

画面の中のあどけない少年たちは、今や声変わりをして、お互い20cm以上も身長が伸びていた。


「受験終わったしさ、そろそろイベントでも観に行かねぇ?」


思いつきを提案するのは、相変わらず海吏の方だった。


「いいね! 久しぶりに思いっ切りダンス浴びたい気分」


陸叶も言い出しこそしないが、気持ちは大体同じ方向を向いている。

一緒にいすぎたせいなのか、成績も似たり寄ったりの二人は、示し合わせたわけでもないのに同じ高校を受験していた。

そして同じように合格して、来年も同じ学校に通う。

それに気付いたときは、妙にくすぐったい気持ちになった。

受験中控えていたダンスを、やっと解禁できる喜びも合わさっていたかもしれない。

海吏は、はやる気持ちを抑えられず、最も早く開催されるダンスイベントを検索した。




「それでは! これより、桜まつりダンスコンテストを開催したいと思います!」


出場チームを応援する保護者、友人がひしめき合う中、後方にダンスに飢えていた無関係の男子中学生二名。

結果発表を見終えるまでずっとその場にいたので、端から見たら関係者に見えたかもしれない。


「めっちゃ良かったな……」

「うん……」


帰り道も余韻に浸っていた。


「出場チームもだけどさ、あの、ゲストショーケース!」

「そう! あのロックチーム圧巻だったよね!」

「一人中高生くらいのメンバーいたよな?」

「いたいた! めっちゃ上手かった!」


受験明けの二人にとって、それは砂漠に水を撒かれたような時間だったのだろう。

彼らの中に、驚くほど急激に『目標』が生まれた。


「なぁ……俺ら、チーム作らねぇ?」


海吏の言葉に、陸叶は力強く頷いた。


「俺も同じこと、考えてた」

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