第8話 広島にて

今日は初めての遠征だ。

「いやー、初の新幹線、緊張するなぁ!」

新幹線の席は中浦さんの隣に決まった。

「おい、お前修学旅行の時とか乗らなかったのか?」

「小学、中学、高校ぜーんぶインフルで休み🎵」

「どんだけ体調崩してんだよー!」

「てへへ……」

ワイワイワイ……

そうこうしているうちに、目的地の広島に着いた。

「ウッヒョー!広島や!お好み焼きや!焼き牡蠣や!」

「おい、中村。」

「あ、久保監督。」

「はしゃぐのはいいが、肝心の試合の時眠くならないようにしろよ。」

「もちろん分かってますよ!14:30球場集合ですよね?今11:10だから昼飯食べないと!」

「やれやれ…。」

俺は初めての広島の街並みに心躍っていた。

(何食べよっかなー!やっぱ広島といったらお好み焼きだろ!)

俺は広島駅構内のお好み焼き屋に吸い込まれるように入っていった。

(広島に来たからには、両方堪能してみたい。おっと、お好み焼きの牡蠣入りがあるじゃねーか!1200円か。よし、これにしよう!)

「すいませーん!牡蠣入りお好み一つ!」

「はいよー!」

確か目の前で焼いてくれるんだよな。楽しみー!

「はい、おまちどうさん!」

「うおぉぉぉ!うまそー!」

熱々の湯気ととてもいい香りが俺の食欲を引き立てる。

「では早速いただきます!」

バクッ!

(なんだこれ!?今まで食べてきたお好み焼きの中で一番うめえ!

広島のお好み焼きならではの薄いクレープ状の生地に甘すぎないソース!

そしてこの焼きそばだ!全てが絶妙にマッチしてとにかくうまい!牡蠣もプリプリでたまらんな!あっちゅうまに食べれてまう!)

ガツガツガツ…

(やべえ、食べ足りねえ!)

「牡蠣入りもう一つ!」

「はいよー!」

俺はその時時間のことをすっかり忘れていた。このお好み焼き屋は大繁盛だったから1時間半待って入った。つまり今は1時過ぎだ。

「いやー、美味しかった!ごちそうさま!」

「ありがとうございました!」

(さあ、まだまだ駅ビル楽しむぞ!)

2時間後………

「さーて、そろそろ球場戻りますか!時間は、15:00ね、はいはい、ってやらかしたー!!!!」

完全にやらかした。もう無理だと思いながら球場に直行で向かう。

「着いた!」

「おい中村。散々言ったよな?はしゃぎすぎんなって。」

(げっ、久保監督。)

「誠にすいませんでしたー!!」

「まあいい、イエローカードな。次やったらどうなるか分かってるよな?」

「はい。すみませんでした。」

中村の戦いは続く。

ー続くー


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