第3話 春季キャンプ

「すげえ、テレビで見た人があっちこっちに!」

俺は宮崎のキャンプ地に着くやいなや俺は子供のように大興奮していた。

もうこれで引退しても良いと思うくらいだった。特に俺は山口選手のファンだったので、ものすごく興奮した。山口選手は暗黒期のブルースターズの中でもホームラン王を5回も獲得した物凄い選手だ。

「いっけない。集中しろ!」

「みんな、集合!」

ザザッ

「今日からいよいよ春季キャンプ。今日はいきなりだが紅白戦をしてもらう。これで今後のことも考えていくからよろしく。」

「マジかよ、いきなり紅白戦か!」

「それでは、チーム分けを発表する。

白チーム、スタメン………………そして9番中村!」

「…え!?俺スタメン!?」

「まあまあ、落ち着け中村。これは今年入ってきた奴らの実力をはかるためでもある。要するに『体験入学』ってわけだ。」

「体験入学ですか…。」

「そう。お前のような育成選手は一軍選手と対戦できる機会も滅多になく、チャンスも必然的に少なくなってしまう。だから、一度一軍の球を体感してもらおうと思っているんだ。」

「なるほど。」

「じゃあ、そういうことだから。試合始めて!」

「はい!」

俺が今まで見てきた球で一番の物といえば、近所のバッセンの最高球速150km/hの球くらいだろう。果たしてどんな球を投げてくるんだろう。

そして2回裏、俺の打席が回ってきた。

「っしゃー!来い!」

相手ピッチャーは金剛さん。うちのチームのエースだ。

そして1球目、

ゴォォォォオ……ズドォン!!

「!?」

「ストラーイク!」

(何だ!?今のストレート!?さすがプロだ、次元が違う。)

2球目、

ゴォォォォオ……グググっ‥ズドン!

140km/hのスライダーで2ストライク。

「くそっ!もう追い込まれてしまった!」

そして第3球、

シュュルルル…

「うおぉぉぉ!」

ブオン!

ストン‥

「え?空振り?」

俺はエースに現実を突きつけられた。三球三振という無様な結果になってしまったものの、エースと対戦することができ自分の課題を見つけることができた。


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