第15話 A―紅白永遠戦争―WHITE
〈ソレは永遠に終わる事の無い戦争〉
【A―紅白永遠戦争―FEOH】
異常性物質・歴史文化を指す。
登場人物紹介
PN・夕闇(男3X才)
俺だ。●●●●●県に住む。ピクシブで「夕闇」という名で数々の小説とゲームブックを投稿している。ファッションが個性的と言われる(黒のカーゴパンツに浴衣の帯をベルト代わりに使用。赤いポロシャツに黒の3角タイ(金色のアクセサリーで留めている)を着用。羽織着物をジャケットのように着ている。灰色のキャスケット帽を愛用している。長い黒髪をポニーテールにしている。俺自信も蒐集癖があり、ネット通販で様々なサイコロを集めたり、老舗ブランドのフィギュアを集めたりしている。口調はクレバーで丁寧語。
一人称はどんな時も「俺」
しばしば女子校生に間違われる。
PN・朝霧(女17才)
女子高生。何にでも興味を持つ好奇心と行動力、ずば抜けたスタイルの良さと女子力を持つ。子供っぽさと大人の落ち着いたクールさを併せ持つ。スケートボードで移動する事もある。アルビノで毛は白く目は赤い。青色のキュロット、黒色のシャツ、緑色の羽織、赤色の帽子を着ている。
〈大人の心〉
1m程の大きさのパッと見、巨大な足の裏に見える非公認妖怪。上の方に漢字で[大人]の字がある。中央に巨大なタラコ唇がありよく蛇のような舌を出している。踵にあたるトコロから1対の足首があり歩いたり跳ねたり出来る。野太い男の声で喋るが気怠げでドラァグクイーンのような口調で喋る。夕闇と朝霧の家族。
PN・焼酎(男35才)
チェス愛好家。
プロローグ
チェスは、二人で行う盤上競技の一種であり、盤は縦横とも八列の市松模様で、白・黒(白・赤等のバリエーション有り)それぞれ6種類16個の駒を盤上に配置し、敵のキングを追い詰め、自分のキングは守るゲームである。 ルールは将棋に似ているが、取った駒を再び使うことはできないという違いがあり、この違いにより将棋とはかなり異なったゲーム展開となる。
出典:ウィキペディア
ストーリー
金曜日の夜、俺達はいつも通りの時間を過ごしてくつろいでいた。すると俺のスマホに着信が入る。画面には〈PN・焼酎〉と表示されている。俺は電話に出る。
「もしもし、夕闇です。(夕闇)」
[あ………、夕闇さん?僕です。PN・焼酎………。明日、僕ん家に来て欲しいんだ………。(焼酎)]
「焼酎さん?大丈夫か!?アンタ、またいつもの悪い癖か!?(夕闇)」
[うぅ………、ソレもそうなんだけどさ……………、ちょっとね………、凄いの引き当ててしまったみたいなんだ………。(焼酎)]
「ちなみにアンタ、今どうなんだ?腹減ってるとか、物凄い睡眠不足とか!?(夕闇)」
[両方……………。(焼酎)]
俺は眉間を揉み
「わかった。睡眠不足は何とか出来そうだ。空腹はわかってるな?とにかく、明日アンタん家行くから!歯食いしばって待ってろ。(夕闇)」
[ごめんよ……………(焼酎)]
俺は通話を終える。
朝霧が俺の隣に座る。
「ねぇ、夕闇クン?知ってる人?取り敢えず殴っちゃ駄目だよ?その人弱ってるんでしょ?(朝霧)」
「良いんだヨ。カインよりマシ位のどうしようも無い奴だから。あ…そうだ、朝霧、確かアロマの資格持ってるって言ってたよな?(夕闇)」
「うん♪持ってるよ♪(朝霧)」
「じゃあさ、心地良く眠れるの作れる?(夕闇)」
「うん♪良いよ♪(朝霧)」
「悪いな。料金は●●●●円で良いか?(夕闇)」
「え………良いけど、良いの?(朝霧)」
「良いんだヨ。ツケとしてアイツから定期的に徴収するから。(夕闇)」
「程々にね?(朝霧)」
「いや、アイツだ。手ぬるい事しちゃダメだナ!(夕闇)」
「どんな人なの………?その焼酎さんって………?(朝霧)」
「上品気品という皮被った………馬鹿!!…………だナ。(夕闇)」
「そんな、馬鹿を強調しなくても………(朝霧)」
その後俺は朝霧の部屋で朝霧のアロマ作りを見ていた。朝霧の部屋は恐竜や怪獣の玩具と同じ位、アロマに関する物がある。だから朝霧の衣服やスケートボードは良く良い匂いが染み込んでるし、なんなら恐竜や怪獣の玩具にもアロマの匂いが染み込んでいる事さえある。基本プラスチックやビニールで出来た恐竜や怪獣の玩具にだ。いつだったか、朝霧の部屋にある〈公害怪獣ヘドラの玩具〉を持った時ふんわりと良い匂いがした時は驚いたナ。
土曜日の朝、俺は焼酎さんの家の前に来ていた。とても大きく広い洋風建築の屋敷。朝霧は目を丸くして
「うわぁ~。大きいお家ですねーーー。コレが焼酎さんのお家なの?夕闇クン?(朝霧)」
「あぁ、アイツが自分で建てた家だ。サスペンスだと何人か殺られた上で家主が最後に惨殺されそうな家だよナ〜〜〜♪(夕闇)」
「夕闇クン、そんな事言っちゃ駄目だよ?(朝霧)」
朝霧に軽く注意されながら、俺はインターホンを鳴らす事にする。
「へぇへぇ、わかったヨー。ほら、ちゃんとノックするから〜〜〜?(夕闇)」
キキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキンコーン♪
「おはようーーー!!焼酎ーーー!!入るゾ、コラァーーーーー!!(夕闇)」
「夕闇クン!!!(朝霧)」
朝霧が声を荒げる。恐竜好きがティラノサウルスみたいな顔してるヨ。
「良いんだヨ。朝霧も家の中見て、焼酎を知ったらわかるだろうからサ♪(夕闇)」
「だからって………親しき仲にも礼儀ありって云うでしょう?(朝霧)」
俺は構わず玄関へ向かいドアノブを掴む。
ガチャ………
「閉まってる?(夕闇)」
「そりゃそうだよ~。どんな人か知らないけど、戸締りはちゃんとするでしょう?(朝霧)」
「生活がド阿呆だからな~。どれどれ………(夕闇)」
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
ドアノブを回す。
「閉まってるな?(夕闇)」
「壊れるよ!!(朝霧)」
次に俺はドアをノックする。
コンッコンッコンッ
ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン!!
「出ろよナー!?(夕闇)」
「迷惑だよ!!(朝霧)」
「まぁまぁ。ソレより朝霧?庭行くゾ?(夕闇)」
「え?(朝霧)」
俺達は庭へ行く。朝霧が目を輝かせる。ソコには
黒色の巨石で作られたチェス駒と白色の巨石で作られたチェス駒が並んでいた。地面は黒色の升は芝生、白色の升には白色のタイルがはめ込まれていた。庭そのものが巨大なチェスのような庭。
朝霧がチェス駒の隣に立ち
「夕闇クン♪凄いよ♪凄いよ♪庭そのものがチェスになってるよ♪まるで〈鏡の国のアリス〉みたい♪(朝霧)」
「すげぇだろ?コレ、アイツが作ったんだゼ?(夕闇)」
俺はあるチェス駒を探す。
「確か、黒色のキングをチェックできるって言ってたのは、コレだったな。(夕闇)」
俺は左側の白色のナイトの駒の後に立つ。
「コイツを前へっと!!(夕闇)」
俺はナイトを押す。すると白色の巨石で作られたナイトの駒はスルスル前へ動く。ナイトの駒の下には穴があり、鍵があった。俺は取り敢えず動かしたナイトの駒を力の限り蹴り込んで倒す。
ズドーンッ……………
元に戻すの、絶対重機いるだろうナ。
「朝霧ーーー。鍵見つけたから玄関へ戻ろうゼーーー♪(夕闇)」
「倒す必要あったの!?(朝霧)」
俺はドヤ顔で
「まぁ………、ぽくなったから………良いんじゃね♪(夕闇)」
朝霧が溜め息をつき、ソレから両手で俺の頬を軽く引っ張る。
「何ドヤ顔してるのよ………?(朝霧)」
朝霧はそのまま俺の頬を揉み込む。
朝霧にひとしきり頬を好き放題された後、俺達は再び玄関へ行く。そして鍵を使ってドアを開け、中に入る。
「入んゾ、コラァーーー。(夕闇)」
「おじゃましまーす。(朝霧)」
俺達は居間へ行き着く。壁に沢山棚が並んでいた。棚には2つ折りの箱がズラッと並んでいた。
「ねぇねぇ、コレナニが入ってるの?(朝霧)」
「見るか?(夕闇)」
俺と朝霧はそれぞれ6箱持って来る。
「ねぇ夕闇クン?もしかしてこの箱って全開にして裏返すとチェス盤になる?(朝霧)」
「なるゼ♪(夕闇)」
俺達は箱を開く。中にはチェス駒のセットが並んでいた。デザインも多種多様で人や馬、建物がリアルに作り込まれた駒や抽象的なデザイン、江戸時代の人々をモチーフにしたデザイン、とにかく様々なデザインのチェス駒が現れる。
「うわぁ♪いろんなデザインがあるんだね〜〜〜♪(朝霧)」
「焼酎はチェスの愛好家でな、こんな風にチェス駒を集めたりもしてるんだ。(夕闇)」
俺達は12セット分のチェス駒セットの箱を開けている。本当にいろんなデザインの駒が沢山あるな。
「よし。取り敢えずテキトーに混ぜとくか♪(夕闇)」
「やめてっーーーーーーー!!(朝霧・焼酎)」
居間の奥から、くたびれたスーツを着て髪の毛が寝癖で凄い事になってる眼鏡の男が現れた。
「おぅ、おはようーーー。っていうか、起きてたんなら出ろよナーーー?何処まで生活能力阿呆なんだヨーーー?(夕闇)」
「2時間前にようやく眠れてたんだよ………。そしたらインターホンを物凄い連打してくるわ、ドアノブを滅茶苦茶回すわ、ドアを滅茶苦茶叩くわ、挙句庭の駒が倒れるわ………。急いで出て来たら夕闇さんが今にもチェス駒達を混ぜようとするわ………。(焼酎)」
「てか、オマエ今7時半だゾ?ソレで2時間前に寝たって、またいつもので寝不足を極めてんのか?(夕闇)」
「うぅ〜〜〜〜〜。(焼酎)」
朝霧が俺の肩をチョンチョンつつく。
「えっと…この人がPN・焼酎さん?(朝霧)」
「あぁ、そうだヨ。一応社長なんだゼ?株式会社デスメタルキッズっていう玩具の会社の社長でな、リアルな生物のソフビやフィギュア、ボードゲームを作って販売しているんだヨ。朝霧が集めてる恐竜のソフビ調べてみ?いくつか[Death MetalKid'sTM]って刻印があるハズだゼ?(夕闇)」
「確かにいくつかの恐竜に[Death MetalKid's,TM]って刻印があったよ。この会社の玩具高いんだケド、ソレに見合った仕上がりで良いと思うよ。(朝霧)」
「お………おやおや、アナタは我が社のユーザーさんでしたか♪今度は恐竜の他にもいろんな商品に興味持って下さると嬉しいです♪(焼酎)」
「はい♪(朝霧)」
「無駄だゾ、焼酎。朝霧が食いつくのは基本恐竜と怪獣だ。(夕闇)」
「アヘヘ〜〜〜♪(朝霧)」
「そ………そう………ですか………(焼酎)」
俺と朝霧はテーブルの椅子に座るよう言われた。俺達が待っている間、焼酎は引き出されたチェス駒セットを片付けたり、おもてなしの準備をしていた。そして、焼酎がトレーを持って戻って来る。
「はい、夕闇さん。はい、朝霧さん。(焼酎)」
焼酎は俺達の前に緑茶の入ったグラスと〈スルメ一匹〉をそれぞれ出す。
「さ♪どうぞ。〈からすこ〉美味しいですよ♪(焼酎)」
「からすこ〜?(夕闇)」
「あれ?夕闇さん知りませんか?美味しくて健康的なんですよ?〈からだ健やかty………〉(焼酎)」
俺は焼酎が言い終わる前に焼酎の顔を殴る。
「わかっとるわ!!客人に対するもてなしが〈からすこ〉と〈スルメ一匹〉ってどういう事だ!?居酒屋か!?(夕闇)」
「ま……………まぁまぁ?そうおっしゃらずに。どちらも美味しいですよ♪(焼酎)」
そう言って焼酎は自分のスルメからヒレをハサミで切り取り口に入れて食べる。焼酎の口からカツンカツンカツンととても食べ物を咀嚼しているとは思えない音がする。
「おい、そんなに堅いのかよ?ますますもてなし向けじゃねぇだろ?(夕闇)」
朝霧が俺の肩をチョンチョンと叩く。
「夕闇クン♪このスルメ美味しいよ♪程よい硬さで♪私のスルメもう足4本になっちゃった♪(朝霧)」
俺は朝霧が笑顔でスルメの感想を言い終わるのと同時に水自分のスルメの胴を噛みちぎり食べる。
確かに程よい硬さでとても美味い。どちらかといえばやや柔らかいよりの硬さだ。たちまち食べ終えてしまう。つまり
「焼酎、オマエ相当弱ってるな?(焼酎)」
「えぇ………寝不足で。1ヶ月は寝てないかな。ソレで食べる気力も弱くなって………まぁ溜まってた有給を消化出来てるから良いのかな?(焼酎)」
焼酎は微笑しながら語る。
「オマエ………命も有給も人望も無くなるゾ………?(夕闇)」
「だから、相談に乗ってほしくてね。(焼酎)」
まぁ、話が済んだら俺が何か注文しといてやるヨ。借金が出来たな?後、朝霧が睡眠作用のあるアロマ作ってくれたゼ。朝霧にも借金が出来たな?(夕闇)」
「夕闇さん、朝霧さん、ありがとうございます。(焼酎)」
俺は椅子に座ったまま、焼酎の足を蹴る。焼酎が顔をしかめテーブルに突っ伏す。
「ソレで、何か凄いモン引き当てたって、言ってたケド、ナニ手に入れたんだヨ?(夕闇)」
「実は、2ヶ月前コレをアンティークショップで
見つけてね。たまらず購入したんだ。(焼酎)」
そう言って焼酎はチェス駒セットの箱をテーブルに出す。
「なんの金で買ったんだ?(夕闇)」
「つい、生活費も半分位使っちゃってね。(焼酎)」
俺は頭をかく。
「やっぱな。もう会社後の人に任せて死ねヨ。(夕闇)」
「夕闇クン!!?(朝霧)」
「良いか〜?朝霧?この男はなぁ、仕事は出来るし、社会的地位もあるが、趣味が絡むと生活能力がとんだ糞ド阿呆になるんだ!!まだ会社の金横領しないダケマシだがなぁ、とにかくコイツはチェスが好き過ぎてイカれてやがる!!腕前磨いたり、コミュニティ同士でプレイしたり、本を出したりするは良い。尊敬に値する。だが!!コイツは!!市場でも!ネット市場でも!新しいチェス駒セットが販売されてるのを知った時!コイツはクソボケぶりを発揮する!!ソレがコレだ!!睡眠もおざなり!食事も後回し!ポケットマネーで足りなかったら生活費を使えるダケ使って新発売のチェス駒セットを片っ端から手に入れる!!コイツは部下達からなんて言われてるか教えよう。〈社長はチェスがなければ最高〉だ!今回みたいな事は今まで何度もあった!!阿呆なんだ!!コイツは!!腐れチェスド阿呆なんだヨ!!俺は何度もコイツが家の中で死にかけてるのを何度も見てきた!が!!コイツは!!一切!!懲りん!!たまに迷惑行為に及ぶヲタクの方が健全に見えるレベルだ!!朝霧、街でコイツを見たら気を付けろ?コイツは新しいチェス駒セットを購入する為なら借金する事も厭わないからな!!俺は朝霧の為に言ってんだ!!コイツはいっそ死んだ方が良い位阿呆なんだヨ!!カインと同じなんだヨ!!(夕闇)」
「ま………まぁまぁ………。お…落ち着いて?落ち着こうね?ね?ハイ♪ホラ♪良い子良い子〜〜〜♪夕闇クン頑張ったんだね~♪苦労したんだね〜♪(朝霧)」
俺は朝霧に頭を撫でられて落ち着きを取り戻す。コイツの頭撫でるテク、きっと全人類を陥落させる事が出来るだろうナ。気持ち良いんだヨ。
「やっぱり手厳しいなぁ。夕闇さんは。(焼酎)」
俺は溜め息をつきつつ、テーブルの上の箱を開ける。中には象牙と珊瑚で作られたのだろう、白色と赤色のチェス駒が並んでいた。1つ1つの駒が中世ヨーロッパの人物や馬、建築物がリアルに作り込まれた。誰もが一級品の逸品だと直感で解る、とにかく立派なチェス駒セットだ。俺はチェス駒を見た後、焼酎を見て
「オマエがこんなじゃなければサマになってたんだろうな。馬子にも衣装じゃねぇかヨ。(夕闇)」
「いやぁ~、それほどでも無いですよ~。(焼酎)」
朝霧が顔色を青くしてひいている。ようやくわかったか。
「ソレで、このチェス駒がどうしたんだヨ?(夕闇)」
俺の問に焼酎は真面目な表情でテーブルにCD-ROMとノートパソコンを出す。
「僕はね、寝る前に1セット、テーブルにチェス駒をチェス盤に並べてから、ソレを眺めながら寝るのが習慣なんだ。(焼酎)」
「オシャレですね♪(朝霧)」
「キモいな、オマエ。(夕闇)」
「ソレで………どうもこの駒達、夜に意思を持って動く見たいなんだ。(焼酎)」
「そんな〜♪あの魔法学校の映画じゃないんですから〜〜〜♪(朝霧)」
俺はCD-ROMを手に取り
「その記録が入ってんだナ?(夕闇)」
「うん。手に入れたその日の夜から異変が起きてね。ソレで最近、寝てる時に隠しカメラで撮影したんだ。再生するね。(焼酎)」
俺はCD-ROMを焼酎に渡す。焼酎はノートパソコンを起動してCD-ROMをセットし、画像を再生する。
画面は監視カメラの映像と違いノイズが無く、カラー映像。チェス駒が並んだチェス盤のあるテーブルの近くにベッドがあり、焼酎が寝ていた。よく見るとベッドのサイドテーブルには目覚まし時計とスマホ、空の薬のブリスターパックがある。6錠分か?恐らく睡眠薬だろう。
「焼酎、オマエ睡眠薬を6錠飲んだのか?死ぬゾ?あと、オマエの寝顔キモいナ。(夕闇)」
「いやぁ~、駄目なのはわかってるんだけど、もう最近じゃ服毒自殺するつもりの量で睡眠薬を飲まないとあんまり眠れなくてね。(焼酎)」
「うわぁ………。深刻じゃねぇかヨ………。(夕闇)」
するとノートパソコンから
ボーーォ オーーーッ
と法螺貝笛の音が響く。
「あ、異変が起きます!いつもこんな風に法螺貝笛が鳴って、ソレから異変が起きるんです!!(焼酎)」
「法螺貝笛って、世界観ねぇな〜。(夕闇)」
「あ、チェス駒達が動き出したよ!(朝霧)」
チェス駒達が中央のラインに向かって歩き出す。本物の人や馬のように。あと建築物は滑るように動く。やがてチェス駒達が中央のラインに集まると白色のキングと赤色のキングが歩み寄り、睨み合い、罵りあい、やがて互いの顔に平手打ちをし、互いの脚を蹴り合い、そして互いに胸ぐらを掴むと取っ組み合いの殴り合いに発展する。他の駒達も殴り合いを始める。クイーンの駒は互いに罵声を浴びせながら平手打ちを繰り返した後に互いの髪をつかんで殴り合うという見るのもキツい醜悪な戦いをしている。醜過ぎる………。ナイトの駒は互いに前足で蹴り合ったり、唾を吐きあったりしている。ルークの駒とビショップの駒はさながら喧嘩神輿のように激しくぶつかり合う。とにかくチェス駒達の戦いは非常に醜過ぎる。罵声と暴力の応酬。コレはキツい。こんなのが2ヶ月。
「なぁ、焼酎?オマエ、コレ2ヶ月間ずっとこのテーブルに置いて寝てたワケ?(夕闇)」
焼酎は項垂れて
「何処に置いても、五月蝿いんだよ。この争い。地下へ置いても響いてくる。しかもチェス盤に並べす箱に収納して、チェス駒セットを収納している棚に入れても、翌朝には近くのテーブルにチェス盤が展開されていてチェス駒が散乱しているんだ。しかも、収納する時間違えて違う色のポーンを混ぜて収納したら弾き飛ばされるんだよ。(焼酎)」
「本当に仲が悪いんですね?このチェス駒達。(朝霧)」
「たちが悪いナ………。(夕闇)」
映像が終わり、焼酎がノートパソコンからCD-ROMを取り出そうとする。
「おい、焼酎。そのデータ別のCD-ROMにコピーして俺にくれ。(夕闇)」
「え…良いけど。(焼酎)」
「ソレとこのチェス駒セットは俺達の方で管理する。つまり俺達預かりだ。良いな?(夕闇)」
焼酎は勢い良く立ち上がり
「そ………!そんな!!待ってよ!?持ってかないでよ!!(焼酎)」
と、焼酎は俺にすがる。多分この時俺は蛇のような鋭い目つきをしてたと思う。
「………死ぬゾ………!?(夕闇)」
焼酎は顔を青ざめてへたり込み
「………わかったよ………。(焼酎)」
と、納得する。俺は焼酎を立たせて寝室へ連れて行く。焼酎の両脇を俺と朝霧で支える形だ。そして焼酎をベッドの側に連れてくると、俺と朝霧はアイ・コンタクトをとり
「じゃあな、焼酎。おやすみな。(夕闇)」
「おやすみなさい。焼酎さん♪(朝霧)」
「うん?おやすみ?(焼酎)」
俺と朝霧は息を合わせて同時に焼酎のみぞおちを思いっきりぶん殴る。
ズドォッ!!
「ブフッ!!?(焼酎)」
焼酎は白目を向き、口から泡を吹いて意識を失う。俺と朝霧はそんな焼酎をベッドへ倒し、そして寝室を出た。
俺と朝霧は焼酎の家を出る。焼酎にコピーさせたCD-ROMと問題のチェス駒セットを持って。
帰り道
「ねぇ夕闇クン、何でチェス駒クン達はあんな風に争うのかな?(朝霧)」
「付喪神みてぇなモンだろな。コイツらの材質は生き物由来だ。ソレこそTVでよく見る因縁物と化した人形あるだろ?髪の毛は本当に人毛使ってたり、血がついたり、生き物由来の材質で出来てる物が多いだろ?(朝霧)」
「ソレがこのチェス駒クン達にも起きたって事?(朝霧)」
「後は人の念かな〜。チェスや将棋ってアブストラクトゲーム、つまり戦争をモチーフにしたゲームだからな。その上コイツらよりにも寄って滅茶苦茶リアルに作られてるだろ?だから駒の役割とかゲームの定義やルールが念みたいな感じでコイツら付喪神みたいなモンになったんだろな。焼酎はコレをアンティークショップつまり中古屋で手に入れたって言ってたろ?多分永い年月をかけて異常性物質になったんだろな。(夕闇)」
「なるほど〜。ソレで、このチェス駒クン達どうするの?ウチのテーブルに飾る?(朝霧)」
「ソレ良いナ♪実はどうしようか考えてたんだヨ。(夕闇)」
俺達は帰宅し、いつもの時間はを過ごし、居間のテーブルにチェス盤を展開してチェス駒を並べてから、就寝した。
エピローグ
日曜日の朝、今日の天気は快晴。爽やかな朝だ。
だが、俺達は爽やかさとはかけ離れた朝を迎えた。俺も朝霧も殆ど眠れなかったのだ。
「おはよう………。夕闇クン………。(朝霧)」
「あぁ………。朝霧………おはよう………。朝霧も眠れなかったのか………?オマエ、ブラジャー忘れてんじゃねぇかヨ………?(夕闇)」
「あ………ホントだ………。夕闇クンのエッチ………。(朝霧)」俺達のもとへトコトコと足音をたてて〈大人の心〉がやって来る。
「あ………大人クン………おはよう………。(朝霧)」
「おはよう………。ふぁふぅ………。(大人の心)」
大人の心はあくびをした後、その場でピョンピョン跳ねる。
「ちょっと〜〜〜、何なのよ〜〜〜あのチェス駒〜〜〜。深夜に法螺貝笛の音が響いてきたと思ったら、お互いに汚い罵詈雑言と醜い争いを朝までして!!ちょっと夕闇ちゃん、朝霧ちゃん、アレいったい何なのよ〜〜〜?(大人の心)」
「ごめんね?大人クン。(朝霧)」
「悪かったナ。なんとかするから勘弁してくれ。(夕闇)」
ひとまず俺達は居間へ向かう。居間のテーブルの上はチェス駒で散らかっていた。
「面倒くせぇ………。朝霧………手伝ってぇ………。(夕闇)」
「うん………。良いよ~〜〜。(朝霧)」
俺達はチェス盤をひっくり返し、スポンジの穴にチェス駒を1つ1つ入れていく。途中間違えて違う色の駒を入れると弾き飛ばされ顔にベシベシ当たる。コレが地味にくる。こんなのを2ヶ月も耐えた焼酎は凄かったんだナ。やがて全てのチェス駒を収納して、蓋をする。俺と朝霧はその場で倒れ込む。今にも寝てしまいそうだ。
「夕闇クン………どうするの?………(朝霧)」
「あぁ………後は俺に任せな?………そうだ………朝霧………何かUberで朝御飯注文しといて………(夕闇)」
「うん………わかった………(朝霧)」
俺達はなんとか立ち上がりそれぞれ行動する。
俺はチェス駒セットを持って地下へ向かった。
地下の部屋で俺はチェス駒のロック部分を観察する。ツマミを回すとロック出来る仕組みだが、ツマミがリングだった為、この後どうするのかすぐに答えを出せた。俺は棚から〈南京錠〉を用意してチェス駒セットのロック部分に南京錠をセットする。コレで封印第1段階の完成だ。俺は部屋の隅にある鉄金庫を開けて、チェス駒セットを入れてから閉めてロックする。金庫の中はちょうどチェス駒セットと大きさがジャストフィットだ。
鉄金庫をしっかりとロックして鍵を棚の隣の鍵かけスペースにかけてしまう。
多分コレで大丈夫だろう。その後俺は地下の更に地下の土が剥き出しの部分を掘り、鉄金庫を埋めた。コレで多分防音も出来るかな。
こんなに手間のかかるチェス駒、俺見た事無いし今後お目にかかる事は無いんだろうナ。
もし、コレでもまだ駄目ならチェス駒をネットでバラ売りしようカナ。お一人様1個限定で。
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