第11話 N―命の骸―UR
〈その生は死があるからこそ生がある事を忘れてはならない。また死は生があるからこそ死がある事も忘れてはならない〉
【N―命の骸―UR】
科学・ 地質・法医学ならび監察医の領域案件を指す。
登場人物紹介
PN・夕闇(男3X才)
俺だ。●●●●●県に住む。ピクシブで「夕闇」という名で数々の小説とゲームブックを投稿している。ファッションが個性的と言われる(黒のカーゴパンツに浴衣の帯をベルト代わりに使用。赤いポロシャツに黒の3角タイ(金色のアクセサリーで留めている)を着用。羽織着物をジャケットのように着ている。灰色のキャスケット帽を愛用している。長い黒髪をポニーテールにしている。俺自信も蒐集癖があり、ネット通販で様々なサイコロを集めたり、老舗ブランドのフィギュアを集めたりしている。口調はクレバーで丁寧語。
一人称はどんな時も「俺」
しばしば女子校生に間違われる。
PN・朝霧(女17才)
女子高生。何にでも興味を持つ好奇心と行動力、ずば抜けたスタイルの良さと女子力を持つ。子供っぽさと大人の落ち着いたクールさを併せ持つ。スケートボードで移動する事もある。アルビノで毛は白く目は赤い。青色のキュロット、黒色のシャツ、緑色の羽織、赤色の帽子を着ている。
PN・マクロベータ(男3X才)
俺と仲の良い派出所勤務の警察官。
熱く優しい真面目な警察官。
PN・ゆい(女、17才)
穏やかな女子校生。眼鏡をかけ、髪は三つ編み。かつて夜に裏山の頂上で天体観測をしていたところ、〈命の骸〉を見つけ、たまたま持っていた豆菓子〈ブレンドナッツ〉の中から〈ヒマワリのタネ〉を〈命の骸〉に入れたら異常な速さでヒマワリが育ち、花が咲いたという。
プロローグ
「生きるとは、死と直面して戦うことである。そこに真の生き甲斐がある」という言葉を残したのは、人生における苦難や困難を避けるのではなく、それに立ち向かうことこそが人間らしい生の輝きと生き甲斐をもたらすという、彼の芸術哲学と人生観を表明するためです。避けがたい「死」という存在を認識し、その中で精一杯生きる姿勢にこそ、真の生きる意味が見出せると訴えています。
〜岡本太郎の死生観に関する名言〜
ストーリー
土曜日の午前中、俺は自室で財団Kが製作したフィギュアのコレクションの1部をデスクに並べて鑑賞してくつろいでいた。
コンコンッ
ドアがノックされる。
「夕闇クーン?入るよー?(朝霧)」
「おぅ♪良いゾー♪(夕闇)」
朝霧が入ってくる。そして朝霧は俺のデスクを見ると
「ん?今日は財団Kブランドのフィギュアじゃないんだ?(朝霧)」
「へ?コレ等も財団Kブランドのフィギュアだゼ?(夕闇)」
「えぇ!でも動物とか妖怪とか古代生物とかじゃないよ!?(朝霧)」
「財団Kはいろんなモンをフィギュアにするからな。こういう名のある芸術家の作品のミニチュアも作ってんだヨ♪(夕闇)」
「え?何かのゲームや特撮のモンスターとかじゃないの!?(朝霧)」
「え………?朝霧、まさか………あの岡本太郎を知らないなんて…言わんよな?(夕闇)」
「あぁ♪仮面ライダーやスーパー戦隊のテロップでよく名前が出てくるね♪あの人芸術家でもあるんだ〜♪(朝霧)」
「ソレは岡元次郎だ!岡本太郎とはなんの関係もないヨ!ホラ………昭和の大阪万博をテーマにした番組でたまに出てくる変な人面の塔があるだろ?あぁいうの作った人だヨ。(夕闇)」
「あぁ!あの太陽の塔作った人♪じゃぁ、今夕闇クンがデスクに並べてるのって………(朝霧)」
「そう。その岡本太郎さんの作品のミニチュアだ。良いモンだろ?(夕闇)」
朝霧がミニチュアを1つ手に乗せて鑑賞する。
「へぇ~♪この人面犬可愛いね~♪背中に穴空いてるケド、この人面犬の置物って植木鉢なの?(朝霧)」
「人面犬か!岡本太郎さんも言わなかっただろうな~♪ソレは〈犬の植木鉢〉。死んだ犬の背中から植物が育ち花を咲かせるっていう生と死の循環を表した作品だな♪表裏一体を形にしたり描いたりして表現するのが得意なんだヨ。岡本太郎さんは。(夕闇)」
朝霧は目を輝かせて
「へぇ~♪面白〜い♪じゃあこのトゲトゲは?(朝霧)」
朝霧は〈犬の植木鉢のミニチュア〉と交換するように黒いトゲだらけの鐘を手に乗せる。
「ソレは〈梵鐘〉またの名を〈歓喜〉。叩いて鳴らす梵鐘の全身にトゲが沢山生えている。このトゲが鳴らす者を拒むんだ。トゲトゲの恐怖を乗り越えて梵鐘を鳴らした時に本当の喜びを感じると云う作品だな。実際に寺へ寄贈されているからな?ソレの本物は♪(夕闇)」
「むむむっ!!知れば知るほど哲学的で面白いですね♪(朝霧)」
「本当。私ネットでしか見た事無かったからミニチュアでもこうやって手にとって見る機会に恵まれたのラッキーかも♪」
朝霧の隣に眼鏡をかけた三つ編みの女性が現れる。突然の来客に俺は驚き
「!?君、誰!?(夕闇)」
と、問いかける。
「あ!?はじめまして。こんにちは。私PN・ゆいといいます。よろしくお願いします。(ゆい)」
「あ…あぁ………。ゆいさんだネ?俺はPN・夕闇。こちらこそよろしく。ところで朝霧?聞きたいんだが、こちらのゆいさんは?(夕闇)」
朝霧がキョトンとした表情で
「そうそう、こちらのゆいちゃん、私と同じクラスの娘でね。是非夕闇クンに会いたいって。だから連れてきたの♪(朝霧)」
「朝霧〜?フィギュアよりゆいちゃん先で………しょ!!(夕闇)」
ペチィッ! ポヨヨン♡
俺は朝霧のデカい胸を思いっきりひっぱたく。
「キャン!!?いった〜〜〜い!!(朝霧)」
「もういいから、俺ゆいさん案内するから朝霧はおもてなしの方お願い。(朝霧)」
「あ♪ソレならゆいちゃんがワッフルとアイスティー買ってきてくれたから皆で食べよ♪(朝霧)」
「すいませんネ?ゆいさん。(夕闇)」
なんかゆいさん、プルプルしながら口を押さえている。何か病気かな?
「えっと………ゆいさん?………大丈夫?(夕闇)」
「い………いいえ………!なんか………朝ちゃんの言ってたとおりだな〜って………!普段から朝ちゃんから話を聞く度に………なんか夕闇さんと朝ちゃんって………良いお笑いコンビだなぁって………ププッ!す………すいま………せ…ん。(ゆい)」
笑い、堪えてた!え?俺と朝霧って………お笑いコンビだと思われてんの!?
「お笑い………(夕闇)」
「コンビ?………(朝霧)」
俺と朝霧は膝から崩れ落ちる。
ゆいさんが慌てて
「夕闇さん!?朝ちゃん!?大丈夫!?(ゆい)」
「だ………大丈夫だよ………。ゆいちゃん………。(朝霧)」
「し………心配してくれて………ありがとう………。(夕闇)」
落ち着きを取り戻した俺と朝霧はゆいさんを居間へ案内する。
「では、夕闇さん、朝ちゃん。ハイ、どうぞ。(ゆい)」
そう言ってゆいさんは俺と朝霧の前にワッフルとアイスティーを出してくれた。
「ありがとう。いただくよ。(夕闇)」
「ゆいちゃん、ありがとう♪(朝霧)」
俺達はゆいさんが用意してくれたワッフルとアイスティーを口にする。
そしてティータイムをを楽しんだ俺はゆいさんに
「良いティータイムを楽しめたヨ。ありがとう。(夕闇)」
「ありがとうございます。実は私、夕闇さんに聞いて欲しい話があるんです。(ゆい)」
「ほぉ?何があったのかな?(夕闇)」
「実は今年の2月に裏山の休憩所で天体観測をしていた時の事です。望遠鏡を何気なく山の頂上へ向けると頂上にポツンと青く光る何かを見つけたんです。(ゆい)」
「青く光る何か………。(夕闇)」
「ソレでゆいちゃんはどうしたの?(朝霧)」
「気になって頂上へ行きました。裏山と言ってもそんなに高い山ではないから、すぐ頂上へ行けました。そして探す事なくソレを見つけました。山の頂上の小高い丘の上に青く発光する頭蓋骨がありました。(ゆい)」
「標高の低い山………。青く発光する頭蓋骨………。(夕闇)」
「青く発光する頭蓋骨って!?ソレ絶対にヤクザ案件だよ!?ゆいちゃん!!大丈夫!?(朝霧)」
「今どきヤクザをヤクザなんて言うの珍しいゾ?朝霧?(夕闇)」
「ヤクザはヤクザじゃん!!(朝霧)」
「暴力団って言うんだヨ!ソレでゆいさん、ゆいさんから見てその頭蓋骨はどんな感じだったかな?(夕闇)」
ゆいさんは静かに目を閉じ、一呼吸ついて静かに
「不思議と恐怖は感じませんでした。むしろ心地良かったです。(ゆい)」
「見てて心地良い青く光るドクロ?(朝霧)」
「その後は?ゆいさんはどうしたの?(夕闇)」
ゆいさんは目を輝かせて
「不思議と、たまたま持っていた豆菓子の中から〈ヒマワリのタネ〉をいくつか取り出して、その頭蓋骨の目の穴に入れたんです。すると物凄い早さでヒマワリが青い光を纏って育って大輪の花を咲かせたんです!!感動しました。でもおよそ5分程で纏っていた青い光が消えてヒマワリは青い光の粉となって消えてしまいました。(ゆい)」
「うわぁ~♪ナニソレ〜♪凄〜い♪ちょっと怖いケド私も見てみたーーーい!!(朝霧)」
「ソレじゃ今晩皆で見に行くか。(夕闇)」
「えっ?(朝霧・ゆい)」
俺は窓を指差し
「今日は天気も良い。ゆいさん、この後何か予定はある?(夕闇)」
「い………いいえ。特に無いです。(ゆい)」
「じゃあ♪行こうヨ♪(夕闇)」
「は………、はい。行きます!(ゆい)」
「決まりだネ♪ソレじゃ朝霧?俺ちょっと出かけてくるから、ゆいさんと一緒に留守番頼むヨ?(夕闇)」
「うん、わかった。何処行くの?(朝霧)」
「ちょっとネ♪(夕闇)」
それぞれ時間を過ごし、やがて夜になる。
俺の家にパトカーが来た。
警官がドアをノックし、朝霧とゆいさんが出る。
「やぁ、朝霧クン。ソレと君がゆいクンだね?こんにちは。(マクロベータ)」
マクロベータさんだ。朝霧は目を丸くして
「マクロベータさん、こんにちは♪ソレでどうしたの?今、夕闇クンいないよ?(朝霧)」
マクロベータさんはパトカーを指差し
「ヤツならほら、今パトカーに乗ってるよ。(マクロベータ)」
「マクロベータさん………。夕闇クン、ついに何かやったんですね?(朝霧)」
俺はパトカーの窓を開けて
「朝霧ぃ!?その〈ついに〉って何だ!?その〈ついに〉って!?俺がそんな〈ついに〉何かやるヤツに見えんのかヨ!?ひっでぇなーーー!!(夕闇)」
「だって!!だってぇ………。夕闇クンだもん………。何やるかわかんないトコロあるんだもん………。(朝霧)」
「だとよ?夕闇?(マクロベータ)」
「なぁ!?2人共酷くネ!?(夕闇)」
「まぁまぁ、朝ちゃん?私には夕闇さんがそんな人には見えないよ?(ゆい)」
「ゆいさ〜〜〜ん………。俺、嬉しいよ〜〜〜。(夕闇・泣)」
パトカーに朝霧とゆいさんが乗り込む。
助手席に朝霧、後部座席に俺とゆいさん。
マクロベータさんが運転席に座り
「はぁ~。[夜、山の頭蓋骨見たいから乗せてって♡]って言われた時、この阿呆って思ったが、そんなに凄いのか?そのドクロ?って………夕闇!?オマエ、そんなだから〈ついに〉って言われるんだぞ!?(マクロベータ)」
「あぁ〜〜〜!?夕闇クン!?ゆいちゃんに何させてんの!?(朝霧)」
「見りゃわかんだろ?膝枕してもらってんだヨ。あと、頭ナデナデしてもらってる〜♡あぁ〜〜〜♡ゆいさん………、気持ち良いヨ〜〜〜♡傷ついた心が癒されるヨ〜〜〜♡(夕闇)」
ゆいさんは微笑みながら
「良いんですよ?ホラ、お巡りさんも朝ちゃんも怒らないで………ね?(ゆい)」
「ふぃ〜〜〜♡ゆいさんマジ天使〜〜〜♡(夕闇)」
「オマエ!そんなだから〈ついに〉って言われるんだぞ!!そういうトコロだぞ!?すぐに調子に乗りおって!!(マクロベータ)」
「そうだ!そうだーーー!(朝霧)」
「もぅ、そんな目鯨立てんなヨ〜〜〜?きっと今晩、山の頭蓋骨見れば癒されるぞ~〜〜?(夕闇)」
朝霧がムスッとした表情で
「夕闇クンは知ってるの!?その頭蓋骨?(朝霧)」
「あぁ、前に俺も見つけたからな。場所も符号するし。間違い無いだろう♪(夕闇)」
「えっ?夕闇さんもあの頭蓋骨見たんですか?(ゆい)」
「夕闇………、オマエ………、普通頭蓋骨見つけたら警察に通報するだろ………?(マクロベータ)」
「アハハハ。あの時俺にはあの頭蓋骨が単なる白骨死体には見えなかったんだ♪(夕闇)」
「碌でもない死体でもどんな死体でもまずは警察に通報しろ!!(マクロベータ)」
「そういえば……………(ゆい)」
「?どうしたの?ゆいちゃん?(朝霧)」
「私も何故か通報する気にはなれなかったなぁ。(ゆい)」
朝霧が少し悲しそうに
「ゆいちゃ〜〜〜ん……………。(朝霧)」
「ゆいクン………。(マクロベータ)」
マクロベータさんが眉間を揉む。ちゃんとハンドル持ってよ!?怖いなぁ〜。
パトカーは山道を進む。
「にしても、夕闇、ゆいクン。君等が言ってたとおりだな。山頂に何か青く光ってるじゃないか。あの光量だと機械って言われりゃ納得出来るんだが……………。(マクロベータ)」
「ドクロですもんね~。(朝霧)」
「ドクロなんだよなぁ〜〜〜。こちとら1年か半年に1回いろんな所から見つけてるっつうの!なんなら全身の骨も一緒だ!事件でもないわ、碌でもないわ、そんなドクロまで捜さなあかんのか?しかもパトカーをタクシー扱いかよ!(マクロベータ)」
「コレが本当の〈パタトクカシーー?〉」
「ピタゴラ●●ッチ!?(朝霧)」
「夕闇?オマエ、あとで蹴るからな。(マクロベータ)」
「なんで!?(夕闇)」
そして、パトカーは山の頂上に着く。
「うわぁ~。本当に光ってる〜。しかも天気が良いから景色も最高〜〜〜♪(朝霧)」
「本当。綺麗だね♪(ゆい)」
ズバンッ!!
「ウギャーーー!?何すんのさ!?(夕闇)」
「あん?あとで蹴るって言っただろ?(マクロベータ)」
「お尻割れちゃうでしょう!!(夕闇)」
「安心しろ。知ってるだろ?ケツ割れてない奴はいない。皆ケツ割れてるんだよ。(マクロベータ)」
ギャーーギャーーギャーーギャーー
夜、満天の星空の下、山の山頂にて醜い言い争いをする男達。
「夕闇クン………。マクロベータさん………。(朝霧)」
「大変だね………?朝ちゃん?(ゆい)」
「で、アレが例の頭蓋骨か?(マクロベータ)」
「あぁ、そうだヨ。アレだよネ?ゆいさん?(夕闇)」
「は…はい。アレです!。(ゆい)」
俺はパトカーのトランクから用意した物を取り出す。
「夕闇クン。何ソレ?(朝霧)」
「あん?朝霧、まさかコレ知らないの?野外とかの掃除で驚異の威力を発揮するアノ〈竹箒〉じゃん!(夕闇)」
俺は竹箒にまたがって見せる。魔女のマネだ。
「わかってるよ!あと魔女やらない!なんで竹箒用意してるの?ってきいてるの!(朝霧)」
「見たらわかるから♪ソレにホラ?こんなのも用意したヨ?(夕闇)」
俺は昼に購入したモノを見せる。
「ピーマンの種?(朝霧)」
そう。俺の手には小さな袋に入った〈ピーマンの種〉がある。
「え?ピーマン?なんで?ピーマン?(朝霧)」
「だって〜。あとはナスとか〜オクラとか〜キャベツとかは〜あるヨ〜。でも〜、無かったんだヨ〜。花の種〜〜〜。(夕闇)」
「何処で買ったの?(朝霧)」
「△△△金物屋(夕闇)」
朝霧は俺の胸ぐらを掴み
「この変!!あ〜る〜で〜しょ〜!あるでしょう!!△△△金物屋さん普通に花の種あるでしょう!!(朝霧)」
「ちょっとちょっと朝霧、朝霧?言い方言い方!なんか言い方があの〈このハゲーーー!!〉の人見たいになってるよ?{ギリギリギリギリィ………(朝霧が首を絞める音)}ちょ………朝霧?首絞まってる!首絞まってる!首絞まってるヨーーー!!(夕闇)」
「お………おい、朝霧クン!そろそろ辞めようか?本当に死ぬぞ?(マクロベータ)」
「朝ちゃん、辞めてーーー!!(ゆい)」
マクロベータさんとゆいさんがなだめてくれたおかげで助かった。
「ちなみに夕闇、なんでピーマンなんだ?(マクロベータ)」
「今回少しだけ使うダケじゃん?だったら残りを保存して適した時期に蒔いて作物にした方が良いじゃん♪(夕闇)」
「ふむ。ソレもそうだな。(マクロベータ)」
「マクロベータさん!?(朝霧)」
「採れたて1番、マクロベータさんにあげるヨ?(夕闇)」
「お♪そりゃ良いな♪悪いな♪夕闇♪(マクロベータ)」
「民間癒着だーーー!?(朝霧)」
朝霧を宥めた俺達は光るドクロのもとへ行く。
「本当に光っているな。このドクロ。しかも、見てたら〈まぁ、良いか〉って感じになる。(マクロベータ)」
俺は光るドクロの前で屈んで
「ちなみにこのドクロ。名前あるんだヨ?〈命の骸〉って云うネ♪(夕闇)」
「命の骸………(朝霧・ゆい)」
俺はポケットから〈ピーマンの種〉を取り出し、袋の縁を少しあけ、手に4粒種を出す。左右の眼窩に1つずつ、口に2つ入れる。
するとドクロの光が一瞬強くなり、ドクロの周囲が少し光った。
「あ…あの時と同じです!(ゆい)」
「って事は………!ドクロからピーマンが!?(朝霧)」
ドクロの眼窩と口から勢い良く植物が育ち、花を咲かせ、そして花は落ちピーマンの実が育つ。支えも無しで見事ピーマンは4株育った。
「ド………ドクロから………(マクロベータ)」
「ピ………ピーマンが出た………!(朝霧)」が
「あの時と同じです!まさか2度も見られるなんて………(ゆい)」
「いつ見ても良いモンだな。(夕闇)」
その光景を俺達はただ静かに見ていた。
やがて、ピーマンは光の粒子となって消えていった。
「本当に神秘的ですね。(ゆい)」
「アレ?でも最近似たようなのナニかで見たような?(朝霧)」
「おいおい♪朝霧クン。確かに〈命の骸〉の異常性は神秘的ではあったが、こんなのがそうあるワケないだろう?(マクロベータ)」
ザッザッザッザッザッザッ
俺はポケットから密閉袋に入れた財団Kの岡本太郎作品のミニチュア〈犬の植木鉢〉を見せる。
「コレじゃない?(夕闇)」
「あぁ!〈犬の植木鉢〉!!(朝霧・ゆい)」
マクロベータさんが俺から〈犬の植木鉢〉のミニチュアを受け取り
「確かコレは生と死のサイクルをテーマにした生と死、表裏一体の作品って言われてる岡本太郎の作品じゃなかったか?(マクロベータ)」
ザッザッザッザッザッザッ
俺は人差し指を立てて
「そゆ事♪この〈命の骸〉は生と死のサイクルを具現化したような怪異なんだヨ。(夕闇)」
ザッザッザッザッザッザッ
朝霧が怪訝な顔で
「………。夕闇クン。さっきからナニしてるの?(夕闇)」
「ん?見ての通り掃除だけど?いや〜竹箒用意しておいて良かった〜。蟲の死骸とか落ち葉とかいっぱいだもん。はらえるはらえる♪(夕闇)」
そう、俺は〈命の骸〉の周りを掃除しているのだ。
ザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッ
〈命の骸〉の周りがどんどん綺麗になる。すると〈命の骸〉の周りにローマ数字が彫られた12枚の石板が現れてくる。
「あぁ!石板が出てきた!しかも1から11までの石板の数字が光ってる〜!(朝霧)」
「私全然気づきませんでした。もしかしてこの11って?(ゆい)」
「そ♪〈命の骸〉が育てた植物の数を表しているんだ。そして、この数字が全て光ると凄い奴が現れる。(夕闇)」
「なんだ?その凄い奴って?(マクロベータ)」
「ソイツは自殺志願者が嘘偽りなく誠実に何故自ら死を選ぶのかを告白すれば、ソイツはその自殺志願者の自殺願望を食べてくれる怪異なんだ。(夕闇)」
朝霧とゆいちゃんがキョトンとしている。
マクロベータさんがなんか怖い顔している。
「えっと………?自殺志願者の自殺願望を食べてくれる………とは一体?(ゆい)」
「なんて言うのカナ?自殺志願者の中にある自殺願望………つまり自殺したい気持ちをソイツが原理は知らないケド食べてくれるんだ。で、自殺願望を食べられた自殺志願者は自殺の考えも自殺したいって気持ちも浄化されて、前向きに晴れ晴れした気持ちになれるんだ。心が救われたって人もいるらしいゼ?(夕闇)」
「へぇ~♪そんな優しい怪異がいるんだ〜♪(朝霧)」
「まぁ、もしその自殺志願者が過去に何かしらの罪を犯していて、告白する時にその罪の懺悔をしなかったり隠したりしようモンなら罪の重さに合わせて数日から数年の記憶を消してしまうけどナ♪(夕闇)」
「こ………怖っ!!?(朝霧)」
「えっと、その怪異の名前は?先程から〈ソイツ〉としか言ってませんが………(ゆい)」
「あぁ〜。名前長いんだよな〜。しかも名前にはきこえないし。ソイツの名前は〈憧れは理解から最も遠い感情〉だ。(夕闇)」
「なっが!?(朝霧)」
「どんな姿をしてるんですか?(ゆい)」
「あぁ、かなり独特な見た目をしているな。内部から鉄製の卍字で脳天と側頭部と下顎の四方を貫かれた頭蓋骨で眉間に深々と日本刀が突き刺さっているんだ。時折顎をカチカチ鳴らしている。(夕闇)」
「怖っ!?怖いヨ!!(朝霧)」
「でも、自殺願望を食べてくれるなんて、なんか優しい感じがしますね。姿を想像すると怖いですけど。(ゆい)」
「まぁ、この場所自体あんまり人来ないからな~。そうそうお目にかかれないだろうナ。じゃ、帰ろっか♪マクロベータさん、パトカーお願い♪………?マクロベータさん?マクロベータさ〜〜〜ん?(夕闇)」
なんかマクロベータさんがボーッとしている。俺が声かけたらもとに戻ったケド。
「あ…あぁ!スマンスマン。よし。帰るか!(マクロベータ)」
俺達はパトカーに乗り下山した。静かな夜の山にパトカーのエンジン音が響く。
エピローグ
道中ゆいさんを家に送り届け、そして俺達は家に帰って来た。
「今日はありがとうございます♪マクロベータさん!では、おやすみなさい。(朝霧)」
「いきなりでごめんな。マクロベータさん。ソレじゃおやすみ♪(夕闇)」
「おぅ、おやすみ。(マクロベータ)」
俺と朝霧が玄関まで来た時
「なぁ、夕闇。実は少し相談があるんだが………。良いか?(マクロベータ)」
マクロベータさんが切羽詰まった感じで申し出てきた。
果たしてマクロベータさんが相談したい内容とは?
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