第7話 S―提灯山道―FEOH


〈山道に浮かび上がる幽玄の灯り〉


【S―提灯山道―FEOH】

未知の存在・心霊及び超常現象を指す。


登場人物紹介


PN・夕闇(男3X才)

俺だ。●●●●●県に住む。ピクシブで「夕闇」という名で数々の小説とゲームブックを投稿している。ファッションが個性的と言われる(黒のカーゴパンツに浴衣の帯をベルト代わりに使用。赤いポロシャツに黒の3角タイ(金色のアクセサリーで留めている)を着用。羽織着物をジャケットのように着ている。灰色のキャスケット帽を愛用している。長い黒髪をポニーテールにしている。俺自信も蒐集癖があり、ネット通販で様々なサイコロを集めたり、老舗ブランドのフィギュアを集めたりしている。口調はクレバーで丁寧語。

一人称はどんな時も「俺」

しばしば女子校生に間違われる。


PN・朝霧(女17才)

女子高生。何にでも興味を持つ好奇心と行動力、ずば抜けたスタイルの良さと女子力を持つ。子供っぽさと大人の落ち着いたクールさを併せ持つ。スケートボードで移動する事もある。アルビノで毛は白く目は赤い。青色のキュロット、黒色のシャツ、緑色の羽織、赤色の帽子を着ている。



PN・爽夢(女、17才)

聖メンヘラ女学院の2年生。一度夜、自分が暮らす団地の裏手の山道を散策中に、不思議な現象を目撃した女子校生。彼女は好奇心旺盛で、神秘的な事柄に強い興味を持っている。


プロローグ

俺、夕闇が語る。アナタは「提灯山道」を知っているだろうか●●●●●県の山中に存在するこの道では、乾季の雲一つない夜に突如として無数の灯りの灯った提灯が高さ3〜4メートルにまで舞い上がりやがて上空を漂う提灯も現れる。果たしてこの幽玄の灯りはナニが何のために灯した灯りなのか?


ストーリー

金曜日の夜、俺達はアニメ「ポケモン」を見ながら夕食をとっていた。するとスマホが振動する。出ると知らない人からだった。

「ハイ、もしもし。夕闇です。(夕闇)」

[夜分すいません。私、聖メンヘラ女学院2年生のPN・爽夢と言います。明日の10時喫茶〈ハゲだよ〉でお会い出来ますか?(爽夢)]

「えぇ、構いませんよ♪(夕闇)」

[ありがとうございます。ソレでは明日、よろしくお願いします。(爽夢)]

電話が切れた。

「相談の電話〜?(朝霧)」

「あぁ。明日朝イチで喫茶〈ハゲだよ〉に行くぞ。(夕闇)」

「ワ〜イ♪ハゲだ〜♪ソレでなんて人から?(朝霧)」

「あぁ、爽夢さんって女性からだ。聖メンヘラ女学院の学生さんらしい。(夕闇)」

「えぇ!?聖メンヘラ女学院の爽夢!?私の幼馴染みだ〜♪(朝霧)」

「へぇ~。朝霧の幼馴染みか。てことは朝霧も聖メンヘラ女学院に通ってるの?(夕闇)」

「中学までは同じだったよ。でも進路で爽夢とは違う学校に通う事になってね。私は聖アバズレ女学院に通ってるんだよ。ちなみにこの町内にある3つの女学院は姉妹校なんだ。〈聖メンヘラ女学院〉〈聖ヤンデレ女学院〉そして私が通っている〈聖アバズレ女学院〉。伝統ある学校なんだから♪(朝霧)」

「メンヘラだのヤンデレだのアバズレだの、碌でもない名前ばっかりだな………。(夕闇)」

「創設者が世の中にインパクトが残る名前を、て事らしいよ?(朝霧)」

ひとまず朝霧がアバズレ?なのはわかった。俺達はいつも通り夜を過ごした。


俺達は喫茶店〈ハゲだよ〉のテーブルで爽夢さんを待っていた。

「お客様、コチラをどうぞ(スタッフ)」

スタッフさんがカップ2つとウォーターサーバーを持ってきてくれた。ウォーターサーバーの中で沢山の氷が水の中でカランと鳴る。

「スタッフさん、すいません。待ち合わせしてるんです。カップをもう1つお願い出来ますか?(夕闇)」

「ハイ、かしこまりました。(スタッフ)」

数分後、1人の女性が店に入ってきた。女性は店の様子を伺っているのか、キョロキョロしている。朝霧が女性に気付き

「あ♪爽夢〜♪おはよう〜♪ココだよ〜♪(朝霧)」

女性が朝霧に気付きやって来る。

「朝霧〜♪おはよう〜♪アレ?この娘は…アバズレのお友達?(爽夢)」

朝霧に挨拶した爽夢さんは俺を見るなり色々と誤解が爆誕してもおかしくない事を元気良く言う。

朝霧が笑いながら

「違うよ〜♪この人は私が住み込みで働いてるりゅ…(朝霧)」

俺は朝霧の口を軽く塞ぎ

「はじめまして♪俺は昨日アナタからお電話を受けたPN・夕闇と申します。(夕闇)」

「えぇ!!アナタが夕闇さん!?てっきり朝霧のアバズレで出来た友達とばかり……!すいません!!(爽夢)」

とりあえずそれだけ若く見えるとの事だろう。あと、女子高生に見える程俺は少女みたいなのか?とりあえずわかった。

俺達はひとまずメニューを見て商品を注文する事にした。メニューを開くと{秋のオススメ さつまいものクリームと栗を使った旬のサンドイッチ}と大きく紹介されていた。俺達は満場一致で{旬のサンドイッチ}とアイスティーを注文する。

やがて注文した商品が俺達の前に置かれる。俺達は少し遅めの朝食をとる事にした。朝食をとりながら

「ところで爽夢さん。今日はどんな相談ですか?(夕闇)」

爽夢さんは口を拭い、話し始める。

「アレは数週間前、気まぐれで夜、自分が暮らす団地の裏手の山道を散策していた時、変なモノを見たんです。(爽夢)」

「変なモノ………?(夕闇)」

「えぇ、爽夢また変なモノ見つけたの?(朝霧)」

「そうなんだ〜〜〜。(爽夢)」

朝霧が俺に少し真剣な顔で

「実は爽夢って小さい頃から良く変なモノをよく見つけるんだよ?(朝霧)」

「どんな?(夕闇)」

「小さい頃私と爽夢と友達とで鬼ごっこをして、爽夢が鬼役になると必ず一回は変なモノをよく見つけるんだ〜。切断された女性の生首とか、紙幣がたっぷり詰まった鞄とか、洋画で見るような銃とか、赤ちゃんの腐乱死体とか!(朝霧)」

「ソレは変なモノじゃないヨ!?とんでもないモノだヨ!?(夕闇)」

あと飲食店の中で生首とか腐乱死体とか言うな!?周りの人達が怪訝な顔で俺達を見ている!!

「あの…お客様方?あまり不穏な発言はしないでもらえると………(スタッフ)」

「ち…、違うんです!違うんです!違うんですヨ!?コレは…その…す…推理小説!次の推理小説の構成を話し合ってたんです!!ハイ!(夕闇)」

「そ…そうですそうです!私達サスペンスが好きでよくアイデア持ち寄って推理小説を書いたりしてるんです!ハイ!(爽夢)」

爽夢さんが朝霧の口をチョークスリーパーで塞いで俺の援護に入ってくれる。

「そ…そうですか。わかりました。くれぐれも他のお客様を不快にさせる発言はしないでくださいね?(スタッフ)」

スタッフさんが厨房へ去っていく。

「どうもすいませんでした~♪(夕闇・爽夢)」

他のお客さん達も俺達から視線を外す。

助かった…!

「ふぅ~。大変だったね〜。って、ゴメン。(朝霧)」

「まったく!本当にこのオッパイは!って?(夕闇・爽夢)」

俺と爽夢さんは自然と口を揃えて同じ事を言っていた。俺と爽夢さんは少し笑い合い

「大変ですね♪夕闇さんも♪(爽夢)」

「爽夢さんも♪(夕闇)」

朝霧が少し膨れっ面をしていたが、気にしない。

「それで、山道で見つけた変なモノとはいったい?(夕闇)」

爽夢さんが少し戸惑いながらも続ける。

「提灯。提灯が沢山あったんです。(爽夢)」

「提灯?別に変じゃないよね?何かお祭りがあったとか?(朝霧)」

「でも朝霧?私が住んでる団地の近くに祭事なんて無かったよね?(爽夢)」

「あ、確かにお正月の餅つきや餅撒きの祭だけだよね。(朝霧)」

「正月の餅祭で関係無さそうな山道に提灯を飾るなんて事も考え難いしな。ソレに数週間前って事からどうやら正月とかは関係無さそうだ。ちなみにその日の天気とかは?(夕闇)」

「はい。その日はよく晴れた日でした。その日の夜も雲は余りありませんでした。あ…あとその提灯、少し浮かんだかと思ったら空へと浮かび上がったんです!(爽夢)」

「夕闇クン、コレって?(朝霧)」

「朝霧、今日の天気、特に夕方から夜の天気調べて?(夕闇)」

「うん。(朝霧)」

朝霧がスマホで調べる。

「今日は朝から数日天気は晴れみたいだよ。(朝霧)」

「ありがとう。(夕闇)」

コレは、決まったな。

「爽夢さん。今日再びその山道を散策しましょう。今度は俺と朝霧も同行します。4時なんてどうでしょう?(夕闇)」

「は…はい。わかりました。えっと…夕闇さん?何か知ってるんですか?(爽夢)」

「もしかしたら、俺も前に見たことあるかも知れないんで♪(夕闇)」


俺達は喫茶店を出て、コンビニで軽食を用意し、爽夢さんの家で夕方4時まで時間を過ごした。


そして夕方4時。


「よし。ソレじゃ行こっか♪(夕闇)」

「はい!(爽夢)」「うん♪(朝霧)」

俺達は爽夢さんの家を出て、団地の裏手の山道の散策を始める。秋にもなると夕方でも暗くなるのが早い。5時半あたりで少し暗くなってきた。

「だんだん暗くなるね。アレ?夕闇ク〜ン?爽夢〜?何か道にあるよ~?(朝霧)」

俺達は道の端にあるモノを見た。提灯だ。

「この提灯。私が見た提灯と同じです!(爽夢)」

「やっぱりネ。この先にもっとこんな提灯があると思う。今より暗くなってきたらその辺の提灯を見てみよう。(夕闇)」

朝霧と爽夢さんが俺の意見に賛同してくれる。

俺達は再び山道を歩き始める。陽はどんどん沈み空はオレンジ色に染まり、徐々に空は暗くなる。

「あ。夕闇クン、爽夢。見て?提灯が!(朝霧)」

道端に沢山ある提灯に次々と灯りが灯る。

「夕闇さん。この提灯って、妖怪の本とかに載ってる〈鬼火〉って妖怪の類ですか?(爽夢)」

「う〜ん。〈鬼火〉っていうにはなんていうか禍々しさが無いんだよナ〜。(夕闇)」

山道を歩いていくとどんどん暗くなる。夜になりつつある。すると、道端に沢山ある提灯が独りでにフワッと浮かび上がる。まるで山道を照らすように。

「夕闇さん!朝霧!私が見たのこんな感じです!(爽夢)」

「もうすぐ頂上だ。ホラ、見なヨ?(夕闇)」

「え?あぁ!?山が燃えてる!?(朝霧)」

「山火事にしちゃ大人しいよな?その答えは頂上に行けばわかる♪(夕闇)」

俺達は歩く速度を速めた。

そして、頂上に着いた。

「うわぁ〜♪凄いよ♪夕闇クン♪爽夢〜♪私、こんなの見たこと無い♪(朝霧)」

山の頂上、高さ3〜4mあたりで沢山の提灯が浮かんでいた。そして、提灯達は再びフワッと浮かび上がり星空へと浮かび上がる。

「コレです。私が見たのは。(爽夢)」

「コレは到底〈鬼火〉には見えないな~♪(夕闇)」

秋の澄んだ空気、満天の星空と、伸ばせば手が届きそうな程の月、そして浮かび上がる沢山の提灯。コレほど不思議で美しいモノは無い。

「コレ、天気の良い日にしか見えないし、現れないんだ。(夕闇)」

「本当に不思議な光景ですね(爽夢)」

と爽夢さんが感嘆の声を漏らした。

俺達はコンビニで用意した軽食を食べながら不思議な提灯が沢山混ざった夜空の天体観測を楽しんだ。


深夜零時、提灯は静かに消えていく。空には満天の星空と月だけが残っていた。

静かな時間が流れる。

「帰ろっか♪(夕闇)」

「うん。(朝霧)」

「そうですね。(爽夢)」


俺達は山道を降り、爽夢さんが暮らす家のある団地に着いた。

「今日は本当にありがとうございます。(爽夢)」

「いえいえ、俺達も素敵な夜空を楽しめて何よりです♪(夕闇)」

「ソレでは夕闇さん、朝霧、今日はコレで。おやすみなさい。(爽夢)」

「おやすみなさい。爽夢さん。(夕闇)」

「おやすみ♪爽夢♪(朝霧)」

爽夢さんが団地へ入っていくのを見届け

「俺達も帰ろっか。タクシーあるかな~?(夕闇)」

俺がスマホでタクシーを呼ぼうとすると朝霧がそっと手を乗せ

「歩いて帰ろ?夕闇クン。(朝霧)」

と言う。

「そうだな。(夕闇)」

俺達は家へと歩き出した。


エピローグ

自宅に戻った俺は、提灯山道での出来事を思い返していた。

「綺麗だったね、提灯の夜空。(朝霧)」

「あぁ。さぁ、寝よっか。(夕闇)」

「うん。おやすみ。夕闇クン。(朝霧)」

「あぁ。おやすみ。朝霧。(朝霧)」

朝霧は自室に入り、照明を消した。

「さて、俺も寝るかな。(夕闇)」

俺は居間の照明を消し自室へ向かった。

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