第6話 S―墓場村―UR
〈今日も聴こえるあの歌が〉
【S―墓場村―UR】
地域・戦争の記録・風習文化を指す。
登場人物紹介
PN・夕闇(男3X才)
俺だ。●●●●●県に住む。ピクシブで「夕闇」という名で数々の小説とゲームブックを投稿している。ファッションが個性的と言われる(黒のカーゴパンツに浴衣の帯をベルト代わりに使用。赤いポロシャツに黒の3角タイ(金色のアクセサリーで留めている)を着用。羽織着物をジャケットのように着ている。灰色のキャスケット帽を愛用している。長い黒髪をポニーテールにしている。俺自信も蒐集癖があり、ネット通販で様々なサイコロを集めたり、老舗ブランドのフィギュアを集めたりしている。口調はクレバーで丁寧語。
一人称はどんな時も「俺」
しばしば女子校生に間違われる。
PN・朝霧(女17才)
女子高生。何にでも興味を持つ好奇心と行動力、ずば抜けたスタイルの良さと女子力を持つ。子供っぽさと大人の落ち着いたクールさを併せ持つ。スケートボードで移動する事もある。アルビノで毛は白く目は赤い。青色のキュロット、黒色のシャツ、緑色の羽織、赤色の帽子を着ている。
PN・マクロベータ(男3X才)
俺と仲の良い派出所勤務の警察官。
熱く優しい真面目な警察官。
プロローグ
あなたは、「墓場村伝説」を知っているだろうか? ●●●●●県の山中にある廃村「墓場村」では、廃寺の墓地から女性の美しい歌声が聞こえてくるという。その歌声は何かを誘う歌とも何かを追悼する歌とも言われている。果たしてその真意は?歌い手だけが知っている。
ストーリー
金曜日の夕方、俺と朝霧は縁側でくつろいでいた。
「夕闇クン、今晩何食べる?(朝霧)」
「ん~~?朝霧の作るモンなら何でも良いヨ〜。(夕闇)」
「また1番困る答えを〜!ねぇ夕闇クン、知ってる?最も夫婦喧嘩が起きる原因は晩御飯何食べるか聞いて返ってきた返事が【何でも良い】なんだヨ?(朝霧)」
「へ〜〜〜。でもさ、朝霧の作る献立って、美味いだけじゃなく栄養バランスとか完璧に決まっててスゲェ美味いからな~♪もう俺が特別何かリクエストする必要すらないくらい美味いからな~♪(夕闇)」
「もう♪じゃあ食器洗いはお願いね?(朝霧)」
「あたぼうよぉ♪(夕闇)」
「………。オマエ等、そのやりとり、夫婦がするモンなんだヨ…。(マクロベータ)」
いつの間にか庭にマクロベータさんがいた。
「あ、マクロベータさん♪本日もお勤めご苦労さまです♪(夕闇)」
「オマエな………(マクロベータ)」
「あ、もしよろしければマクロベータさんも晩御飯どうです?(朝霧)」
「お♪良いのか?ではありがたくいただくとしょう。(マクロベータ)」
数時間後
俺達は朝霧が作った晩御飯を食べ終え、くつろいでいた。
「いやぁ~!実に美味かったよ!ありがとうな、朝霧クン♪(マクロベータ)」
「は~い、ありがとうございま〜す♪(朝霧)」
「な?美味いだろ?朝霧の御飯?(夕闇)」
「もう、オマエ等夫婦だろ?(マクロベータ)」
朝霧が3人分の湯呑みに緑茶を入れて戻って来る。
「ソレでマクロベータさん?今日何しに来たの?願わくばウチの晩御飯を頂きに来た、じゃないよね?(夕闇)」
マクロベータさんは熱い緑茶をグイッと飲んで
「あぁ、実は明日一緒に来てほしい所があるんだ。(マクロベータ)」
「へぇ、何処行くのさ?(夕闇)」
「霊園だ。(マクロベータ)」
「は?(夕闇・朝霧)」
「なんだ………。霊園も知らんのか?墓地だよ墓地。はーかーば。墓場だ。(マクロベータ)」
「霊園が何かくらい知ってるヨ!何で墓場へ行くのかって話だヨ?いきなり過ぎてワケわかんないヨ!ホラ、見なヨ?朝霧があまりの意味不明さにホラ!!(夕闇)」
俺が朝霧を指差し、マクロベータさんが朝霧を見る。
朝霧が大きな恐竜のソフビ玩具を持って
「ワ〜イ、アシタレイエンイクンダッテ〜〜〜(朝霧・裏声A)」
「ヘェー。レイエンイクンダー。オミヤゲタノシミニシテルネー(朝霧・裏声B)」
「タクサンオミヤゲカッテクルカラネー(朝霧・裏声A)」
幼児帰りしていた。
「何か、スマン。でもって、ぬいぐるみとかじゃないんだな!?なんだアレは?(マクロベータ)」
「朝霧の今1番の新しいお気に入り〈アンキロサウルス〉だ。(夕闇)」
「ハァ〜。明日場合によっちゃ〜、何か恐竜買ってやるか〜。(マクロベータ)」
「あ〜。ソレは辞めた方が良いヨ?(夕闇)」
「何でだよ?(マクロベータ)」
「朝霧よく自慢してるモン。市場で売られている恐竜のグッズは全て買ってきた。持ってないのはまだ発売されてない新商品のみ!!って。(夕闇)」
「マジかよ。(マクロベータ)」
俺、朝霧の部屋良く行くケド、恐竜に混じってウルトラ怪獣やゴジラ怪獣のソフビも沢山あったな。
しばらくして朝霧が幼児帰りを辞め
「えっと、マクロベータさんの身内や知人がその霊園で寝ているんですか?(朝霧)」
「いや、そういうワケじゃないんだ。実は犯人逮捕の時に偶然見つけたんだ。(マクロベータ)」
「詳しく。(夕闇)」
マクロベータさんが詳しく話してくれた。
「3日前俺と同僚達は連続窃盗犯が盗品を隠しアジトにしている廃寺の情報を入手し、その廃寺へと向かったんだ。(マクロベータ)」
「な…何を盗んだんですか?その犯人は。(朝霧)」
「女子高生を標的とした連続下着泥棒だ。被害はゆうに100件を超えている。その犯人は尻フェチでな………(マクロベータ)」
「あの………、もう…もう良いデス。ハイ。(朝霧)」
「………。あぁ、コチラも配慮が欠けていた。すまない。何か欲しいモノがあれば何でも買おう。(マクロベータ)」
「それなら〈ミニホネ恐竜第●弾〉を大人買いで♪(朝霧)」
「な…なんだ…?ソレは?ソレも恐竜の何かか?(マクロベータ)」
朝霧の圧力でマクロベータさんが少しひいてる。俺も最初ひいたな。
「恐竜系の玩具菓子だヨ。(夕闇)」
「………。そうか。(マクロベータ)」
「ソレと朝霧。ハイ。(夕闇)」
俺は朝霧の胸に恐竜のソフビ玩具を押し付ける。
「大人しく聞こっか?(夕闇)」
「ハ〜イ♡(朝霧)」
俺はマクロベータさんに向かい
「続けて?(夕闇)」
続きを促す。
「おぅ。続けるぞ。俺達は見事犯人を取り押さえ逮捕する事が出来た。が、その時だ。廃寺の霊園から女性の歌声が聞こえてきたんだ。(マクロベータ)」
「犯人が仕組んだワナ………つまり何か、女性ボーカルの歌を自動再生したモノとかは?(夕闇)」
「いや、犯人も驚いてたし、同僚の若いモンに聞いてもベテランの人に聞いても知らない曲だと言う。ソレにアレはどう考えても生の歌声だったな。ラジカセとかのクセみたいなモンが無かった。(マクロベータ)」
「普通に考えても墓場や廃墟で歌ったりしないよ。まさか…本当にホラーなのかな?(朝霧)」
「あぁ。だから俺達に一緒に来いって話になるんだ?(夕闇)」
「そういう事だ。スマンが………(マクロベータ)」
「良いよ。行こうヨ。俺ちょっとその生歌ライブ聞きたいな♪(夕闇)」
「ゆ…夕闇クン!?(朝霧)」
「朝霧………(夕闇・微笑む)」
「な…ナニ…?(朝霧)」
「………行こう………(夕闇)」
「………帰りに恐竜、買ってね?(朝霧)」
「オマエ等、子供かよ………(マクロベータ)」
土曜日の午前中
俺達はマクロベータさんが運転するパトカーに乗って、件の廃寺へと向かっていた。乗り心地は最悪だった。ガタガタガタガタ揺れる揺れる。尻が痛い。
「………!?ナニ…この悪路!?(夕闇)」
「お尻痛いよーー!?(朝霧)」
「廃寺への道がコレしか無かったんだ。他の道は土砂崩れとか倒木とかで通れないし!(マクロベータ)」
「ナニその犯人からしたら完璧なロケーション!?(夕闇)」
「しかも人為的に起こされたっぽいんだよなぁ。(マクロベータ)」
「どういう事です?(朝霧)」
「あぁ、どの土砂崩れにも焦げた紙の破片が見つかるわ、火薬臭がすごいわ。倒木はどれも斧かナニかで斬られた痕跡が普通にあるわ。(マクロベータ)」
「ソレって、逮捕された犯人がしたのかな?(夕闇)」
「奴が言うにはしてないってよ。そんな事する位なら戦利品と共に過ごしたいとか気持ち悪い事抜かしやがる。(マクロベータ)」
「本当に気持ち悪いですね。(朝霧)」
「あ、そういえば犯人逮捕の時に俺達が感じた事なんだが………(マクロベータ)」
「?ナニさ?(夕闇)」
「終始、周囲から複数の視線を感じてな。犯人も潜伏中「時折感じる視線で気が狂いそうになった」とか言ってたな。(マクロベータ)」
「もぅ、絶対何かあるじゃん!(夕闇)」
「俺達も犯人逮捕した時、周囲をチェックが誰もいなかった。(マクロベータ)」
「他にも別の犯人がいたんでしょうか?(朝霧)」
「もしくは得体の知れない奴等がいるとか?そういえば、聞こえてきたんだ曲ってどんな曲なの?(夕闇)」
「あぁ、俺からしたら確かに良い曲だったが知らない曲だったな。ただ同行してたベテランの人は「なんて懐かしい曲だ」って言ってた。(マクロベータ)」
パトカーは悪路を走り続ける。
暫くして俺達は件の廃寺に着いた。中に入る。
!!?
いくつかの視線を感じる。
「その時もこんな感じだったんだ?(夕闇)」
「あぁ。そして時間もその時とちょうど同じだ。(マクロベータ)」
廃寺はYouTubeや心霊特番とかでよく見る廃寺だ。そして近くに古ぼけた墓地がある。
「アレ?なんかお墓自体はどれも古そうなのに雑草がそんなに生えてない?(朝霧)」
「ん?言われてみればそうだな。(マクロベータ)」
「誰かが管理しているのは確かみたいだよ。ホラ、あの廃寺の中。(夕闇)」
俺は廃寺を指差す。朝霧とマクロベータさんが廃寺を見る。
「確かに廃寺という割になんか綺麗なような?(朝霧)」
「そういえば、犯人逮捕した時もそんなに埃っぽく無かったな。(マクロベータ)」
「とりあえず、犯人逮捕した時の現場まで案内してヨ?(夕闇)」
「おぅ。ついて来い。(マクロベータ)」
俺達は廃寺の中は入る。
実際に廃寺の中を探索すると廃寺って感じはしなかった。何もかもがキチンと管理されていた。仏具も特有の燻銀の輝きすらある。
「今にもお坊さんが出てきそうだね。(朝霧)」
「ん~~?おかしいな!?(マクロベータ)」
「どしたのさ?(夕闇)」
マクロベータさんが足を止める。
「いや、ちょうどココなんだよ。犯人取り押さえた所。結構荒れた逮捕だったからな。結構滅茶苦茶にしてしまったんだよ。ソレにココにはまだ回収しきれていない盗品が沢山あったんだ。引っ掛けられる所全てパンツだらけだったんだよ。あのときゃ、花畑かと思ったゼ。(マクロベータ)」
「ちなみに盗品は被害者には………(朝霧)」
「あぁ、被害者集めて盗品を見せたら大合唱だったよ。「気持ち悪い」「もう要らない」最後は「ありがとうございます」の大合唱で皆足早に去っていった。(マクロベータ)」
「そりゃそうだ♪でも、その時のままなら荒れてたんでしょ?壁とかにもお花畑見たいに見える位パンツ塗れでもあったんだよネ?でも今は(夕闇)」
そう、今のこの場所には乱闘の痕跡も何もない。壁にはパンツが1枚もない。しっかり管理された寺の1室。マクロベータさんの話がなければ本当に寺の1室。
「間違い無く誰かが管理している。(夕闇)」
「ね…ねぇ?さっきからだんだん視線が強くなってるっていうか、多くなってるっていうか?(朝霧)」
そうなのだ。寺に入った時から感じた視線が多くなっている。
「それじゃ、次はアレをやりますか。(夕闇)」
「アレって、何だ?(マクロベータ)」
「ん~~?墓荒らし。目標は歌う墓…てとこカナ。(夕闇)」
俺達は墓地の探索を始める。
以外と、割と早く見つかった。
墓石の下から女性の歌声が聴こえてくる。そりゃそうだ。俺達は歌声を頼りに探し出したのだ。
「以外とアッサリ見つかったね………(朝霧)」
「目標も分かりやすかったしね。それじゃマクロベータさん?お願いがあるんだケド………(夕闇)」
「何だ?(マクロベータ)」
「この墓石、押して♡(夕闇)」
ゴッ
マクロベータさんに頭を殴られる。
「いったいなぁ!!(夕闇)」
「オマエも押すんだよ!!(マクロベータ)」
「えぇ~?マクロベータさんも知ってるでしょう?ホラ〜?(夕闇)」
俺は腕捲くりをして腕を見せる。白くプルンプルンした腕が出てきた。
「あぁ、そうだったな。この軟弱者が!!(マクロベータ)」
「えへへ~♡(夕闇)」
「夕闇クン?褒められてないの、わかるよね!?(朝霧)」
「うん♡(夕闇)」
朝霧とマクロベータさんが溜め息をつく。そしてマクロベータさんが墓石を押した。
ズズズッズズズッズズズッ
墓石は一定の方向にすんなり動いた。そして、墓石の下には大きな階段があり、マクロベータさんが懐中電灯で照らすと
「キャッ!?何!?何なのよ!?」
昭和ファッションに身を包んだ若い女性がいた。
「えっと、君は?(マクロベータ)」
しかし、女性はナイフを取り出しマクロベータさんに突撃する。しかしマクロベータさんはヒョイッとナイフを取り上げ、女性を拘束する。
「いきなり攻撃する事はないだろう!?(マクロベータ)」
「いやぁ~!!離して!!」
「ねぇ、君は何であの中で歌ってたの?そもそもココは何なの?(夕闇)」
「いや!!言わない!!殺せば良いでしょ!?」
まるで話にならない。困ったな。ココは取り敢えず
「えいっ♪(夕闇)」
「きゃんっ!?♡」
俺は素早く女性の秘部を突いた。こういう女性には取り敢えずコレだよね。ホラ、女性が大きく弱体化した♪
ゴッ
頭を殴られる。朝霧だ。
「女性にソレするの禁止って言いましたよね!!?(朝霧)」
「えぇ~!?でも今はこうするしか無かったじゃん!?(夕闇)」
「あぁ〜、何かウチの連れがスマンな?(マクロベータ)」
マクロベータさんが女性に謝る。
すると女性が笑い出した。
「キャハハッ♪アンタ達いったいナニ!?取り敢えずアメ公じゃないのはわかったケド!!いきなり現れたと思ったら照らすわ秘部を突くわドツキ漫才始めるわ!!アンタ達自由過ぎ!!」
何か警戒心緩めてくれた。て言うか今何か気になる事言ってたな。すると女性の後から人影が現れる。
「タキ?どうかしたのかい?何かあったのかい?アメ公の犬が来たのかい?」
そうか、この女性はタキって言うのか。ていうかアメ公の犬って、タキさんといいこの人といいアメリカ人の事どれだけ嫌いなんだ!?
タキさんの後から高齢の男性が現れる。
「村長!?今街?から来た人達が………(タキ)」
村長と呼ばれた高齢の男性は穏やかな印象を受ける。しかし俺達を見る目は猛禽類のように鋭かった。
「我が村へよくいらした。さて、オマエさん達は大日本帝国の誇り高き民か?ソレともアメ公にシッポを振る腰抜けの犬か?(村長)」
うわぁ、こんな凄い挨拶はじめて〜。俺達を代表してマクロベータさんが警察手帳を掲示して
「はじめまして。我々は●●●●●町から来た者です。(マクロベータ)」
村長は痩せこけた手でマクロベータさんの手ごと警察手帳を引き寄せ
「ふむ………。異国の者か?少なくともアメ公共やアメ公の犬に堕ちたバカ共ではないのじゃな?(村長)」
「は…はい。私は数日前この寺に潜伏中の犯人を逮捕した時、たまたまこの墓地から女性の歌声が聞こえた為、本日ココへ調査に来ました。(マクロベータ)」
「ほぅ、コレはまた数奇な………。そしてこの村を見つけたと、そういう事じゃな?そして、ソコの2人もお主と同じく警察なのかえ?やけに警察には見えぬが………?(村長)」
「この2人はなんと言いますか、友人ではありますが一応優れた探検家見たいな者です。私もたまに調査を手伝ってもらっています。(マクロベータ)」
「ほぅほぅ。(村長)」
村長が俺達をジックリ見ている。
「あの…村長、少し良いですか?(夕闇)」
「何じゃ、嬢ちゃん?何でも答えてやるぞぃ。(村長)」
「………すいません、俺男なんですケド………。あと3X才です………。(夕闇)」
「何じゃ、物凄い軟弱者じゃないか。ソレで何が知りたい?(村長)」
「村って、もしかしてこの地下にあるんですか?(夕闇)」
村長はコクリとうなづき
「うむ、そうじゃ。そしてココは我々の最終防衛地点なんじゃ。(町長)」
「そうですか。(夕闇)」
「あの…私からも質問、良いですか?(朝霧)」
「ふむ…。今度は何じゃ?………て………む!!?ムフォッ!!?(村長)」
村長が朝霧を見て驚く。あぁ、朝霧、この容姿だもんな。高齢の方には少々刺激が強すぎたか?
「て…天女様!?天女様では御座いませんか!!?(村長)」
「天女って!?そんな…!!あの…何で地下に暮らしてるんですか?(朝霧)」
「ふむ。コレはもしや我々にも救いがきたのやも知れぬ。天女様、質問の答えは場所を変えましょう!タキよ!天女様達を熱く歓迎するぞ!村の者達にも伝えるのじゃ!!(村長)」
「は…はい!!(タキ)」
タキさんが地下へ走って行く。
「さぁさ、天女様、天女様の御使い様方、我が村へいらして下さい!我々はアナタ方を歓迎しましょう!(村長)」
村長がマクロベータさんの手をとり地下へ案内する。
にしても、朝霧が天女か。見えなくもないな。
村長に連れられ俺達は地下へ来た。ソコは地下配電によって所々豆電球による照明で照らされ薄暗い、防空壕を巨大化させて町にしたような空間だった。そしてそこの住民は衣装が人によってハッキリしている。高齢者と女性は着物だったり、昭和のファッションだったりしている。幼い子供はズボンにシャツだ。男性は全員軍服を着ている。
村長が大きな声で
「天女様の御使い様とその御使い様が来てくださった!!宴じゃ!!宴を執り行なうぞ!!(村長)」
と、宣言する。村の人々は一気に盛り上がる。尚、俺達は一般人である事、朝霧も天女ではなく普通の一般人である事を道中説いたが、それでも天女様の御使いである。
村の特に広い所で村民が集まっている。よく見ればタキさんもいる。
「さぁさ♪御使い様!何かききたい事があれば何でも!(村長)」
俺達は共通の疑問がある。ココは朝霧に代表として聞いてもらう事にした。
「では、アナタ方は普段からこの地下空間で生活をしてらっしゃるのでしょうか?(朝霧)」
「はい。我々の村は汚いアメ公共の空襲に晒され跡形も無く焼けてしまいました。大勢の民が死にました。我々は命からがらこの山の寺へ行き、墓を荒らし、墓穴を広げ巨大な地下空間を作り今の村を作り上げ生活しております。(村長)」
「ではもう1つ。村の入り口でタキさんが歌っていたのは?(朝霧)」
「アレはタキがではなく村の若い女性が交代制で毎日歌っておるのです。ホラ、地上は何処に入り口があるか解りにくいでしょう?(村長)」
確かに。あのままだったらこの町の入り口なんてわからない。でも、聞き耳をたてて、墓石を力で押したりしたら見つかるだろう。事実俺達はソレでこの町を見つけた。
「ですが、私達は何も知らないまま見つけました。もしアナタ方が言う「アメ公共」に見つかったら、どうするのでしょうか?(朝霧)」
「その時は村の男達が立ち向かう手筈となっております。(村長)」
村長のその答えに合わせて男達が猟銃やら竹槍やら農機具やらを自慢気に掲げる。
間違ってもココの人達を怒らせるのは辞めよう。
「あの、俺からも質問良いでしょうか?(夕闇)」
「確か、学者さんでしたな?良いでしょう。何でも聞きなさい。(村長)」
「では、食…食料についてはどうしてるんです?(夕闇)」
「ほほぅ~♪中々良い着眼点ですな~♪良いでしょう。この村の外れにある階段を登ると深い森に囲まれた田畑があるんですよ。野菜や果物、米はソコで栽培しております。肉は鹿や猪、雉を狩ってますな。そしてこの地下空間にも流れておりますあの川。あの川は天然の湧水でしてな、飲料や生活用水としても使っております。しかも脂ののった良い魚もいますからな。食料に関しては保証されておるんですよ♪(村長)」
凄いな。この村。
「ちなみに俺、最近ド忘れが酷くて酷くて、今何年でしたか?(夕闇)」
「ソレはいけませんな!日頃の食事にもっと魚を取り入れると良いでしょう。で、今何年か?ですな?確か今年は昭和19●●年ですじゃ。(村長)」
「ソレはソレは、ありがとうございます。(夕闇)」
宴は続き、やがて1人また1人帰っていく。
「では、御使い様今宵はコレにて。村の者に宿の手配をさせております。今晩はもう遅いでしょう?今晩は我が村にお泊りくだされ。タキ、後は頼んだぞ?では、私はコレにて。(村長)」
「ハイ。今日はありがとうございます。(マクロベータ)」
村長が1人歩き去っていく。
「ソレじゃ皆さん、私達の村の宿へ案内しますね。暗いから気をつけて下さいね。夕闇さん?暗闇にじょうじて変な事しないでくださいね♪(タキ)」
「タ…タキさん〜〜〜!?(夕闇)」
俺達は楽しく語らいながら宿へ向かう。
そして、宿に着いた。
小さな小屋。だが、村の人々が用意してくれた来賓客用の宿。
「それでは皆さん、おやすみなさい♪(タキ)」
タキさんも帰って行った。
小屋の周りに人は居ない。
小屋の中は1つの豆電球で照らされていた。
朝霧はスマホを操作して
「目覚ましタイマーセットしたよ~♪おやすみ〜。夕闇クン、寝てる間に変な事しないでね?(朝霧)」
「大丈夫だ、朝霧クン♪その時は俺が逮捕してやるから♪な?夕闇?(マクロベータ)」
「ちょ…!?朝霧!?マクロベータさん!?(夕闇)」
しばらく馬鹿騒ぎした後、俺達は床に着いた。
「ねぇ、村の人々が言ってたアメ公ってやっぱり?(朝霧)」
「多分この村は第二次世界大戦のままなんだ。そして終戦を知らない。(夕闇)」
「地域丸ごと浦島太郎か。まるでこの世の終わりだな!(マクロベータ)」
俺達は何とも言えない思いと疑問を抱えたまま眠りに着いた。
♪♪♪♪♪〜〜〜
朝霧のスマホがアラームを鳴らす。
朝が来た。
「ふぁ〜〜〜。夕闇クン、マクロベータさんおはよう〜。起きて〜〜〜。(朝霧)」
「ん?あぁ、おはよう、朝霧。ふぁふぅ。(夕闇)」
「あぁ〜。良く寝た。おはよう、朝霧クン。ホラ夕闇オマエも起きんか!?(マクロベータ)」
ポカッ
俺はマクロベータさんに頭を小突かれる。
「お…!起きてるヨ!!(夕闇)」
「おぅ、そうか。スマンな。(マクロベータ)」
俺達は静かな朝を迎えた。
しかし、違った。
俺達を静かな現実が待っていた。
「よ〜し。オマエ等、宿を出るぞ~。(マクロベータ)」
俺と朝霧はスマホの懐中電灯を起動し準備が出来た事を示す。
カチッ
マクロベータさんが豆電球を操作して照明をきった。そしてマクロベータさんが自分のスマホの懐中電灯を起動すると、豆電球が
パリンッ
と音をたてて割れた。
「あぁ。割と古かったからな。また、町長やタキさんに報告しとくか。(マクロベータ)」
「そうだね。行こう。(夕闇)」
「マクロベータさん、ケガしてない?(朝霧)」
「あぁ、大丈夫だ。ありがとう。(マクロベータ)」
俺達は宿を出た。小屋の扉をあけ、外へ出る。すると扉がガタンッと崩れ落ちた。
俺達は驚き見る。そして顔を見合わせ町へ向かった。
村は静かだった。生きた者がいない静寂だけの空間。誰もいない。
「マクロベータさん、少し町を見て回ろっか。(夕闇)」
「そうだな。(マクロベータ)」
「私も行く!!(朝霧)」
俺達は村を見て回る。
どの家にも住民と思しき服を着た白骨があった。白骨は埃をかぶっていた。
「どういう事?(朝霧)」
「何があったんだ!?(マクロベータ)」
「ひとまず地上に出よう!(夕闇)」
俺達は町に入ってきた階段を登る。やがて光が見えてきた。地上へ出る入り口の傍らには見知った服を着た白骨があった。タキさんだ。ココ数時間で死んだんじゃない。遥か昔に死んでいる。その事を証明するかのようにタキさんの白骨も埃をかぶっていた。
俺達は地上へ出て、墓石を元の場所に戻した。
「多分、あの地下空間で籠城している時に煙か毒ガスが蔓延して住民全員が死んでしまったんだろう。(マクロベータ)」
「そして更に憶測。多分寝てる時に悲劇が起きた。だから終戦どころか自分達が死んだ事すら知らなかった。(夕闇)」
「そんな………(朝霧)」
「第二次世界大戦で使われた爆発物には毒素も使われているモノもあったらしいからな。ただでも煙自体人体に良くないからな。まぁ、あそこまでいくと死因もわからんし、時間が経ちすぎてる。(マクロベータ)」
「でも、終戦後に亡くなったって事も?(朝霧)」
「朝霧、思い出して?村長や村の人々の言葉を。彼等はずっとアメリカ人の事をアメ公って言ってた。終戦後なら日本人はまずアメリカ人の事をアメ公なんてそう呼ばないんだヨ。ソレと俺がカマかけたあの質問の答えもホラ………。(夕闇)」
「確か夕闇クンがド忘れしたとかで今年何年か聞いてたよね?それで村長は………、あぁ!!(朝霧)」
「あのじーさん確か「昭和19●●年」って答えてたな!!今は令和だ!2019年に平成が終わっている!なのにあのじーさんは「昭和19●●年」って答えてた!!(マクロベータ)」
「地下空間で籠城していたから誰にも知られずに村民が全員死んだ。本当に墓場だったんだよ。この村は………。(夕闇)」
俺達は村の入り口の墓石に黙祷をして廃寺を去った。
走るパトカーの中俺は朝霧とマクロベータさんに
「あの村の事、公の場に晒すの辞めた方が良いと思うんだケド、どうかな?(夕闇)」
「何で?(朝霧)」
「世間の好奇の目に晒すよりもあのまま静かに寝てる方が良いだろ?(夕闇)」
「そう…だね。(朝霧)」
「俺も仲間に言っとくよ。(マクロベータ)」
俺達は気づかなかった。周囲からの視線を。あの廃寺に入った時から感じた視線を。
エピローグ
若い男性が2人、廃寺に来ていた。男性の1人がもう1人をスマホで撮影する。撮影されている男性が明るく
「ハーイ♪ノソノソチャンネルのマサでーす♪今日は噂の歌声が聴こえる墓場の調査に来ましたー!(マサ)」
「歌が聴こえるってわかりやすく怖いですねー!(カメラマン)」
「ソレを調べて世間に知らせたいと思いまーす♪(マサ)」
「お〜♪マサちゃん、ヒーローだー♪(カメラマン)」
「ソレでは行ってみましょ………(マサ)」
マサが言い終わると同時にマサは頭から血を吹き出しそのまま倒れる。
「は?マサちゃん、コレも何かの演出!?(カメラマン)」
コツン…
カメラマンの後頭部に何かが押し当てられる。カメラマンが持ってたスマホに何かが映り込む。
旧日本兵が沢山いた。
「え…?何で?(カメラマン)」
カメラマンは後頭部から血を吹き出しそのまま絶命する。
2人の人物を殺害した人影達は静かに姿を消した。
暗い森に歌声が響く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます