第4話 A―ろくでなしサイコロ―FEOH
〈何で決まった目しか出ないんだ!?〉
【A―ろくでなしサイコロ―FEOH】
異常性物質・風習文化を指す。
登場人物紹介
PN・夕闇(男3X才)
俺だ。●●●●●県に住む。ピクシブで「夕闇」という名で数々の小説とゲームブックを投稿している。ファッションが個性的と言われる(黒のカーゴパンツに浴衣の帯をベルト代わりに使用。赤いポロシャツに黒の3角タイ(金色のアクセサリーで留めている)を着用。羽織着物をジャケットのように着ている。灰色のキャスケット帽を愛用している。長い黒髪をポニーテールにしている。俺自信も蒐集癖があり、ネット通販で様々なサイコロを集めたり、老舗ブランドのフィギュアを集めたりしている。口調はクレバーで丁寧語。
一人称はどんな時も「俺」
しばしば女子校生に間違われる。
PN・朝霧(女17才)
女子高生。何にでも興味を持つ好奇心と行動力、ずば抜けたスタイルの良さと女子力を持つ。子供っぽさと大人の落ち着いたクールさを併せ持つ。スケートボードで移動する事もある。アルビノで毛は白く目は赤い。青色のキュロット、黒色のシャツ、緑色の羽織、赤色の帽子を着ている。
プロローグ
俺、夕闇が語る。アナタこのサイコロの異常性がわかるだろうか? それは、クリアスカイブルーの素材に色砂と貝殻、ヒトデのミニチュアがあしらわれた、まるで海をテーマにしたオシャレなサイコロだ。しかし、このサイコロには奇妙な噂があった。誰が振っても絶対に「6」が出ないというのだ。しかし、持ち主が振ると「6」しか出ないという。
ストーリー
ある日、俺と朝霧は町のホビーショップに来ていた。
「うわぁ~♪夕闇クンの勧めてくれたとおりだ〜♪財団Kのフィギュア皆良い〜♪コレとコレとコレとコレとコレ買う〜♪(朝霧)」
「な?良いだろ?財団Kのフィギュア。どれも最高の出来栄えなんだよ♪ホラ、恐竜以外にも古代生物とか日本の動物とかペット動物とか妖怪とか戦車とか色々あるゼ〜♪(夕闇)」
「〜〜〜♪恐竜が良い〜〜〜♪(朝霧)」
「本当に恐竜好きだナ♪さて、財団Kのフィギュアもある程度選んだし、次はダイスを物色するか♪(夕闇)」
「ねぇ?何でダイスそんなに集めてるの?ダイスなんてどれも同じじゃん。(朝霧)」
「ハァ〜。しょうがねぇオッパイだな〜。ホレ、着いてきな♪(夕闇)」
「?うん。(朝霧)」
俺は朝霧をダイスのコーナーに案内する。
「うわぁーーー!?ナニコレー!?全部ダイス!?(朝霧)」
「何がどれも同じだって〜?(夕闇)」
「よく見るヤツもいろんなデザインがあるーーー!?変なダイスもいっぱいあるーー!?ナニコレー!すごーい♪私も色々買う〜♪(朝霧)」
ふっ♪朝霧もダイス沼にハマったな♪さて、じゃ俺も物色始めよっと♪
俺達は財団Kのフィギュアとダイスを沢山購入して、店内のプレイテーブルで休憩していた。
「良いもんだろ?(夕闇)」
「うん♪(朝霧)」
俺達が楽しく語らっていると
「あ、夕闇さん。奇遇ですね。こんにちは♪」
と話しかけてくる。俺は声の主を見る。
「ガッシュさん!こんにちは♪(夕闇)」
「夕闇クン、誰この人?(朝霧)」
「あぁ、彼はPN・ガッシュさん。トレーディングカードやボードゲーム、アナログゲームの蒐集家だ。ガッシュさん、コチラ同居している朝霧です。(夕闇)」
「こんにちは!私、夕闇クンと同棲している朝霧です!よろしくお願いします!(朝霧)」
「ガッシュです。コチラこそよろしく。(ガッシュ)」
朝霧がガッシュさんをジックリ見ている。確かにガッシュさん、何処かの社長に見えるもんな~。
「あの〜。ガッシュさんのお仕事は〜?(朝霧)」
「あぁ、僕は………(ガッシュ)」
と言ってその場でフロアをコンッコンッと足で鳴らす。そして爽やかな笑顔で
「ココ、ホビーショップ〈アレクサンドリア〉の店長をしてます♪先程夕闇さんと朝霧さんが楽しそうに商品を選び購入しているの見てましたよ♪」
「あ…。そうなんですか〜。(朝霧)」
「何恐縮してんだヨ♪(夕闇)」
俺達3人はその場で語らう。
するとガッシュさんが
「ところで今日僕休みなんですよ。有給を使ってね。(ガッシュ)」
「ほぅ、何か御用カナ?(夕闇)」
ガッシュさんは爽やかな笑顔で俺を指し
「アナタにです♪(ガッシュ)」
「俺に…。今日家に行くつもりで?(夕闇)」
「ええ。ただ事前連絡する前に店の様子を見てから事前連絡をしようと思ってたんですが…(ガッシュ)」
「そしたら俺がいた?(夕闇)」
「そういう事です♪(ガッシュ)」
「では、場所変えますか?(夕闇)」
「良いですね。何処にします?(ガッシュ)」
すると朝霧が手を上げて
「で…では近くの喫茶店〈ハゲだよ〉なんてどうでしょう!?(朝霧)」
何か朝霧緊張しているな。だが、そのセンスは良い。
「良いセンスだ♪(夕闇・ガッシュ)」
俺とガッシュさんは口を揃えて朝霧を指差す。
場所を改め喫茶店〈ハゲだよ〉にて
俺達はアイスティーを注文し席に着く。
「やはり良い店ですよね。喫茶店〈ハゲだよ〉。僕も気の合う仲間とココで趣味の話をしてたりするんですよ。(ガッシュ)」
「なんか、わかります!落ち着いた雰囲気で趣味の会話とか勉強とかにも良い場所ですよね♪(朝霧)」
「朝霧…テンション高いヨ…。(夕闇)」
「はぅ………(朝霧)」
俺とガッシュさんは笑う。
テーブルにアイスティーが来た。
「さて、今日僕は夕闇さんにコレを見て欲しかったんです。(ガッシュ)」
ガッシュさんは鞄から小さな箱を取り出しテーブルの中央に置いた。
「………?指輪ですかナ?(夕闇)」
ガッシュさんは微笑み
「違いますよ。コレです。(ガッシュ)」
そう言ってガッシュさんは箱を開ける。箱の中にはとてもセンスの良い6面ダイスが入っていた。クリアスカイブルーの素材に色砂と貝殻、ヒトデのミニチュアがあしらわれた、まるで海をテーマにしたオシャレなサイコロだ。
「うわぁ、綺麗で格好良い♪もし私こんなの手に入れたら自慢しちゃいますよ〜♪(朝霧)」
「ふふっ♪ありがとう。朝霧さん。では…(ガッシュ)」
ガッシュさんは鞄からダイストレーを取り出しテーブルの中央に置き、その中に箱から取り出したサイコロを投げ入れる。出目は6だ。
「………。やっぱりね………。(ガッシュ)」
ガッシュさんの表情が少し曇る。
「では、夕闇さん、朝霧さん。6回ずつこのダイストレーの中にこのサイコロを投げ入れてくれますか?(ガッシュ)」
「?えぇ。良いですヨ。(夕闇)」
「じゃぁ、私振ってみた〜い♡(朝霧)」
「では、朝霧さん。どうぞ♪(ガッシュ)」
ガッシュさんはダイスを朝霧に手渡す。
俺はなんとなくテーブルに置いてあるアンケートに記入する為に常備されているであろう〈ハゲだよ〉のボールペンと紙ナプキンを取る。朝霧がダイストレーにダイスを投げ入れる。
朝霧のダイスロール
1→5・2→1・3→3
4→5・5→2・6→5
「じゃぁ、ハイ♪夕闇クン♪(朝霧)」
俺は朝霧からダイスを受け取る。
「あいよ♪(夕闇)」
「私も夕闇クンのダイス記録するね♪(朝霧)」
「おぅ、頼むわ。(夕闇)」
俺は朝霧にボールペンを渡し、朝霧も紙ナプキンを取る。
「そんじゃ、ダイスロールしますか♪(夕闇)」
夕闇のダイスロール
1→3・2→1・3→5
4→2・5→4・6→2
ダイスロールを終えた俺はガッシュさんにダイスを返し
「ガッシュさんもどうです?ダイスロール?します?(朝霧)」
「俺がガッシュさんの記録付けますヨ♪(夕闇)」
俺は再び紙ナプキンを取り、朝霧からボールペンを受け取る。
「実は僕もするつもりでして。後記録を付けてもらうつもりだったんです。ありがとうございます♪(ガッシュ)」
ん?ガッシュさんは自身のダイスロールの記録を見て欲しかったのカナ?
「では、始めますね。(ガッシュ)」
ガッシュさんはダイストレーにダイスを6回投げ入れる。ガッシュさんのダイスロールの記録は
ガッシュのダイスロール
1→6・2→6・3→6
4→6・5→6・6→6
俺と朝霧は驚く。コレはいったい!?
「う…うわぁ~♪ガッシュさんスゴいですよ~♪全部6じゃないですか〜♪(朝霧)」
「そ…そうそう無いですヨ!?こんな事!(夕闇)」
「ソレではもう1度やってみますか?では、順番はまた朝霧さんから♪(ガッシュ)」
「あ…ハイ♪では♪(朝霧)」
俺はまた紙ナプキンを取り記録を付ける。尚、先の記録の朝霧のダイスロールの末尾に1と書き足した。そして朝霧はダイスロールを始める。
朝霧のダイスロール2
1→1・2→5・3→5
4→3・5→4・6→2
朝霧はダイスを俺に渡す。
「ハイ♪夕闇クンの番♪(朝霧)」
「おぅ♪俺の記録頼むわ。あと最初の記録の夕闇のダイスロールの末尾に1って書き足しといて。(夕闇)」
「うん♪わかった〜♪(朝霧)」
「ソレじゃ♪(夕闇)」
俺はダイスロールを始める。
夕闇のダイスロール2
1→5・2→3・3→2
4→3・5→5・6→1
俺はガッシュさんにダイスを返し、再び紙ナプキンを取り、朝霧からボールペンを受け取る。先のガッシュさんの記録にも1を書き足す。
「では、ガッシュさん♪(夕闇)」
「ハイ。ソレでは。(ガッシュ)」
ガッシュさんはダイスロールを始める。結果は
ガッシュのダイスロール2
1→6・2→6・3→6
4→6・5→6・6→6
俺と朝霧は驚きを通り越して血の気が引くのを感じた。ガッシュさんは静かに話し始める。
「何故かこのサイコロ、僕がどれだけ振っても6しか出ないんですよ。(ガッシュ)」
俺と朝霧はガッシュさんの2枚の記録を見る。見事に6しかない。
「ソレと夕闇さん、朝霧さん。お二人の記録を並べて良く見てください。(ガッシュ)」
「私達の?(朝霧)」
「まさか………(夕闇)」
俺達はガッシュさんの言う通りにする。
朝霧のダイスロール1
1→5・2→1・3→3
4→5・5→2・6→5
朝霧のダイスロール2
1→1・2→5・3→5
4→3・5→4・6→2
夕闇のダイスロール1
1→3・2→1・3→5
4→2・5→4・6→2
夕闇のダイスロール2
1→5・2→3・3→2
4→3・5→5・6→1
「えっと、ガッシュさん?コレがいったい………?(朝霧)」
「わからないか?朝霧。俺達の記録良く見なヨ?(夕闇)」
「?私達の記録?……………あぁ!?(朝霧)」
「6、無いでしょう?(ガッシュ)」
薄々感じてはいた。ガッシュさんは語る。
「他の人がこのサイコロをどれだけ振っても必ず6が出ないんです。(ガッシュ)」
ガッシュさんがどれだけ振っても6しか出ない。しかし、ガッシュさん以外の人がどれだけ振っても6が出ない。
「このサイコロが変なんでしょうかね………?(ガッシュ)」
「もしくはガッシュさんの血筋か、もしくはその両方………?(夕闇)」
ガタンッ!!
朝霧が突如立ち上がり俺の胸ぐらを掴む。
「夕闇クン!!今のなんなの!!前から失言の多い人だとは思ってたケド!!いくらガッシュさんと仲良いからって!失礼にも程がありますよ!!(朝霧)」
ガッシュさんがなんとか朝霧を宥めてくれる。
「そういえば、朝霧は知らなかったな。コレ、ちょっとネットで調べてみな?(夕闇)」
俺は朝霧にあるメモ書きをした紙ナプキンを渡す。朝霧は俺から紙ナプキンを受け取りスマホで調べ始める。
「出たよ?(朝霧)」
「読んでみて。(夕闇)」
「えぇっと、犬神持ちの家は富み栄えるとされている。一方で、狐霊のように祭られることによる恩恵を家に持ち込むことをせず、祟神として忌諱される場合もある。て、まさか!?(朝霧)」
「いやぁ、実はお恥ずかしい話、僕の家系は犬神憑きの家系でして。先祖代々そうなんだそうです。(ガッシュ)」
「俺もガッシュさんから始めて「自分の家系は犬神憑き」って話を聞かされた時は驚いたなぁ〜。(夕闇)」
「夕闇クン、知ってたの!?ガッシュさんから聞いてたんだ………。夕闇クン、ゴメン。私ついカッとなって………。(朝霧)」
「まぁ、朝霧は知らなかったし、仕方無いヨ。(夕闇)」
「夕闇クン………。(朝霧)」
「だから今晩、朝霧辱めるネ。お嫁さんに行けなくなるかもだけど♪(夕闇)」
「夕闇クン………!?(朝霧)」
「ソコは和解する話でしょう!?(ガッシュ)」
ある程度落ち着きを取り戻した俺達は再び話し合う。
「まぁ、俺から見るにそのサイコロが異常性を持ってるのは確かだけど、そんなに害のあるモノじゃないでしょう♪遊びとかには使えないケド、コレクションとして大切にするのはどうカナ?(夕闇)」
「そうですね。僕もこのサイコロが特に悪いモノには思えませんし。大切にしていきますよ。(ガッシュ)」
「ソレが良いヨ♪(夕闇)」
「ありがとう。やっぱり夕闇さんに見せて良かった。(ガッシュ)」
俺達は氷の溶けたアイスティーを静かに飲んだ。
エピローグ
喫茶店〈ハゲだよ〉を出てガッシュさんと別れた俺達はデパートへ歩いている。
「夕闇クン、デパートで何買うの?(朝霧)」
「ん~~?ペットショップ。(夕闇)」
「何か飼うの?(朝霧)」
朝霧が目を輝かせている。
「首輪をいくつかね。(夕闇)」
「?我が家に犬とか居ないよ?(朝霧)」
「ホラ、今晩朝霧に使う為にいくつか買わないとじゃん?(夕闇)」
朝霧は顔を青くする。表情コロコロ変わるなぁ。
「夕闇クーーーン!!?さっきの謝るから許してぇーーー!!!(朝霧)」
町に朝霧の悲鳴が木霊する。
今日も平和だ。
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