第2話 ガンは健康な人でも常時発生して、そして免疫にて排除されているのですか?

結論から言うと、はい。がん細胞は健康な人の体内でも日常的に発生し、免疫によって排除されています。

これは現代の腫瘍免疫学でほぼ共通認識になっている考え方です。

ただし、ここで誤解が生まれやすいので、「どの程度」「どういう仕組みで」「なぜ時に破綻するのか」を整理してみます。


🔬 1. 健康な人でも“がん細胞の芽”は毎日生まれる

細胞分裂は常にエラーを伴います。

そのため、正常細胞の中に

- DNA の複製ミス

- 放射線・活性酸素による損傷

- 代謝ストレスによる変異

などが起き、がん化の方向に進んだ細胞(前がん細胞)が日常的に生まれます。

推定では、

- 1日に数千〜数万個レベルの“異常細胞”が生じている

と言われることもあります(あくまで概算モデル)。


🛡 2. 免疫がそれらを常時監視し、排除している

これを 「免疫監視(immune surveillance)」 と呼びます。

主に働くのは:

- NK細胞(ナチュラルキラー細胞)

→ がん化した細胞を“異常な自己”として即座に破壊

- キラーT細胞(CTL)

→ がん細胞の表面に出る異常タンパク質を認識して攻撃

- マクロファージ

→ 異常細胞の残骸を処理し、炎症環境を調整

つまり、免疫は「毎日発生する小さながん」を掃除し続けているという構造です。


⚖ 3. では、なぜがんになる人がいるのか?

免疫が完璧でも、以下の条件が重なると“監視の網をすり抜ける”ことがあります。

■ ① 変異の蓄積が免疫の処理能力を超える

- 加齢

- 喫煙

- 放射線

- 慢性炎症

などで変異負荷が増えると、免疫が追いつかなくなる。

■ ② がん細胞が「免疫逃避」を獲得する

がんは進化するので、

- 免疫に見つかりにくい表面構造に変化

- 免疫を抑制する物質(PD-L1など)を出す

- 周囲の環境を“免疫不活性化モード”に変える

といった 免疫回避戦略 を身につけることがあります。

■ ③ 免疫側の弱体化

- 加齢

- ストレス

- 栄養不良

- 免疫抑制薬

などで免疫監視が低下すると、がん細胞が増殖しやすくなる。




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AIに放射線や最先端ガン医療について聞きました @Kshama

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