第16話 新たな訪問者・平穏をかき乱す編

穏やかな朝、リードは畑でゆったりと土を耕していた。光に包まれる畑の中、風が葉を揺らす。これこそが、彼の望むスローライフだ。


「……やっぱり畑は落ち着くな」

ミリィも嬉しそうに飛び回り、草花の世話を手伝うように見える。


しかし、その静寂は突如として破られた。畑の入り口から、豪華な馬車が砂煙を巻き上げながら突進してくる。


「な、なんだあれ……!」

リードは杖を握り、目を細める。馬車が止まると、中から現れたのは、王都の使者――しかも何人もだ。


「リード・フェルンガルト殿、国王より再びの召集命令です!」

「……ああ、やっぱり来たか」

リードは軽くため息。平穏は束の間、彼の畑生活はまたもや脅かされる。


だが、その使者たちだけではなかった。馬車の陰から、小型の冒険者ギルドの面々がぞろぞろと現れる。どうやら、リードの膨大な魔力を目当てに、同行して調査や護衛をするつもりらしい。


「リードさん、今回は私たちも同行します!」

「……いや、今回は一人で静かにやりたいんだけどな」

リードは肩をすくめつつ、微かな笑みを浮かべる。


突然、馬車の脇から小型竜が飛び出し、畑の作物に突進。ミリィが慌てて制止するも、竜はリードの膨大な魔力を感じ取り、急におとなしくなる。まるで「こいつなら大丈夫」と言わんばかりの態度だ。


「……やっぱり、平穏とは無縁だな」

リードは杖を振り、畑を一瞬で元通りにする。


使者たちは恐縮しつつも、事態の重要性を説明する。どうやら、近隣の森で魔力異変が再び発生し、調査と鎮圧のためにリードの力が必要とのこと。


「……まあ、やるしかないか」

リードは杖を握り直し、微笑を浮かべながら小さな魔力の波を畑に流す。畑の作物は光を受けて輝き、まるで応援しているかのようだ。


ミリィは肩越しにささやく。

「リードさん……スローライフはまたもや遠のきましたね」

「……まあ、今日の畑は少しだけ満喫できたからいいさ」


こうして、リードのスローライフは再び脅かされるが、彼の平穏を願う心は揺らがない。杖を握る手には余裕すらあり、今日もまた巻き起こるドタバタに向かって歩き出すのだった。



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