第15話 再び畑へ・だが新たな問題編

王都での宴と小さな陰謀が収まった数日後、リードは再び自分の畑に戻った。


「やっと戻れた……」

久しぶりに深呼吸する大地の匂いが、リードの心をゆったりと満たす。緑の畝の間を歩きながら、土の温もりを手で感じる。これこそが、彼にとっての“平和”だった。


ミリィも嬉しそうに飛び回る。

「リードさん、やっぱり畑は落ち着きますね!」

「そうだな……少しだけでも、ここで静かに過ごせれば」


だが、その静けさは長くは続かなかった。畑の隅で、微かに光る小さな渦――どうやら魔力の残滓が集まって暴走しかけているらしい。


「……ああ、やっぱりそう簡単にはいかないか」

リードは杖を取り出し、軽く魔力を流して渦を落ち着かせる。小さな渦は消え、土は再び平穏を取り戻した。


しかし次の瞬間、遠くの森から小型竜が飛んできて、畑の作物を蹴散らす。ミリィが慌てて追いかけるが、竜はリードの膨大な魔力を感じ取ると、急に畑の隅に止まりおとなしくなる。


「……もう、本当に平穏とは無縁だな」

リードはため息をつきつつも、竜を優しくなでる。


さらに、街から届いた便りによると、ルンフェルド周辺で小規模な魔力異変が再発しているとのこと。どうやら、塔や王都での事件の影響が、まだ完全には収まっていないらしい。


「……まあ、少しの間は畑でのんびりさせてもらおう」

リードは微笑みながらも、次なる騒動に備えて杖を手元に置く。スローライフの願望は変わらないが、現実は常に彼を試す。


ミリィは肩越しに小声で言う。

「リードさん……平穏は束の間でも、こうして楽しめる時間もありますね」

「そうだな……畑の土と、この穏やかな時間があれば、少しは我慢できるかもな」


こうして、リードの畑でのスローライフは再開された。しかし、静かな日常の裏では、次なる騒動がじわじわと近づきつつあった。リードは杖を握り直し、微かな笑みを浮かべながら、それでも今日の平穏を噛みしめるのだった。


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